277神猫 ミーちゃん、狐獣人の赤ちゃんとコラボする。
ルーさんの解体も一通り終わったので、狐獣人の女性にお願いして一串サイズに切って串に刺してもらいそれに塩、砕いた胡椒をパッパッとふりかけ火で焙っていく。高級肉だけあって適度なサシが入っていて美味しそう。ちょっと焙っただけで油が滴り落ちてくる。肉の焼ける良い匂いが漂い始めると、村のお子ちゃま達が集まってくる。まあ、大人達もだけどね。
レティさん、いつの間にか集まって来たお子ちゃま達を整列させるふりをして、モフモフを堪能しているのが見え見えなんですけど……。カオリンは普通に女の子の狐獣人をモフモフしてるね……羨ましい。
最初に焼けたお肉はお子ちゃまが優先。次はジンさんやペロ達に食べさせてから大人の村人に配っていく。お肉はご老人でも難なく噛み切れる程柔らかい。口の中で油と肉汁の甘さと塩、胡椒の奏でるハーモニー。すんばらすぅぃーの一言。あのオークの肉とは思えない程の美味しさ。A5ランクの牛肉にも引けをとらない、いや、ある意味それ以上の美味しさです。
残念ながら、ミーちゃんはお肉の油っぽいのが好きじゃないらしくパスだそうです。お魚の油は好きなのにね。
「みぃ……」
ミーちゃんは食べなかったけど、確かにこの旨さならみんな飛びつく、オークが狩られ過ぎて希少価値があると言うのも頷ける。
高級肉のお礼にと、村の人が持ち寄った料理や果実酒で宴会が始まる。またですか……。料理は唐辛子や胡椒の効いた辛い物が多く、お子ちゃまの俺にはちょっと苦手な料理が多かった。なので、俺は村のお子ちゃま達にジャーキーやミーちゃんクッキーを配って一緒に食べている。
そんな中、俺は狐獣人の赤ちゃんを抱っこさせてもらっている。今年、生まれたばかりだそうで、見た目はまんま狐の赤ちゃんだね。丸っこくて、フワフワ、モフモフ、ちょっと力を入れたら壊れてしまいそうな儚さなのに、小さな手で俺の指を握る強さはここにちゃんと生きてるぞって言う自己主張をしているかのようだね。
ミーちゃん、赤ちゃんの頬にスリスリ。赤ちゃんが笑い声をあげると、とても嬉しそうな笑顔になる。どちらも可愛くて俺も赤ちゃんとミーちゃんにスリスリするよ。ミーちゃんと狐獣人の赤ちゃんのコラボレーション、とんでもない破壊力だよ! なんて至福の時間なんだろう!
「み~」
そんな至福の時間も、レティさんやカオリンに奪われていく……。
「こ、これは究極のモフモフ! そう思わないか! 少年」
「うわぁー、モコモコだよー。ぬいぐるみみた~い」
赤ちゃんだけでなくミーちゃんまで奪われ呆然自失。俺の癒しが……。
そんなこんなで宴会は夜遅くまで続きそのまま、この村で一泊させてもらった。
翌日、狐獣人の長から他の獣人の部族と話し合った結果、俺達に力を貸してもらいたいと言う事になった。
取り敢えず、ミーちゃんバッグの中から良質ではない武器を全て出して長に渡す。
「こんな良い品を私達に譲って頂けるのですかな?」
「他の部族にも渡してください。代金は香辛料でお願いします」
「本当にそんな物でよろしいので?」
「ええ、構いません。今から俺達は一度外に戻って多くの武器を調達して来ます。みんなに行き渡るにはまだまだ足りませんから」
「これほどの武器をそう簡単に集められるのですかな?」
「期待して待っていてください。それまでは、間違っても馬鹿な真似はしないでくださいね」
「もちろんです。私達だけで勝てるなんて誰も思いませんからな」
さてと、二日酔いのジンさんとルーさんに無理やりミーちゃんのミネラルウォーターを飲ませて出発する。これで金貨二十枚の貸しですよ。
「マジかよ……」
「俺、酒やめようかな……」
山の中腹の四階層に続く洞窟に戻り、一旦みんなと打ち合わせ。
「それじゃあ、一度クイントに戻るんだな?」
「はい、戻って準備をします」
「ハンターでも雇うのか?」
「それができれば、一番ですが難しいでしょう?」
「ギルド長に話してみるか?」
「そうですね。一応報告も兼ねて行ってみましょう」
「じゃあ、準備って何するんですか?」
「さっさと済ませて、モフっ子に会いたいよ~」
「カオリンに賛成だ。少年」
「オークのお肉が食べたいにゃ……」
「にゃ」
後半、欲望の声しか聞こえなかったような気がするけどスルー。先ずはクイントに戻りましう。
一番の難関だと思っていたオークリーダーはサックっとジンさんとレティさんに倒された。安全地帯側から入った為、オークリーダーは俺達と反対を向いて立っている。レティさんが気配を消してエストックを一突き、ジンさんが走り寄って大剣を一閃させるとオークリーダーの首と胴体がお別れした……たった二日の命ご愁傷さまです。
残りのオークもジンさんとレティさんがサックっと倒して三階層に移動する。時間がもったいないので三階層の探索はせずに最短で駆け抜ける。二階層、一階層も同じ、それでも外に出た時には陽が落ちる寸前だった。
ハンターギルドの出張所の方に挨拶してクイントに戻る準備をする。さあ、急いで帰ろうか。
「み~」
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