272神猫 ミーちゃん、宝箱発見!!

 お昼を食べた後はお昼寝。流石にみんな疲れてたようだね。小一時間程昼寝をした後、隠し部屋の事をみんなに話す。



「すぐそこなんですか?」


「挑戦した~い!」


「安全地帯もすぐ近くだしな、やってみるか?」


「み~」



 全員装備を整えて、隠し部屋の前に来た。ルーさんとレティさんが隠し部屋の壁を調べ、程なくスイッチを見つける。スイッチを押すとゆっくりと壁が開いていく。どういった原理で動いているんだろうね? 不思議だよ。



 部屋の中は蜘蛛の巣だらけ、部屋の主は当然蜘蛛のモンスターでジャイアントゼブラスパイダー。体長二メルぐらいの白黒の蜘蛛。歯をカチカチさせてこちらを見ている。部屋の外に出てくる気は無いようで、自分のテリトリーから動こうとしない。


 ジンさん達が蜘蛛の糸を切って前に進もうとするけど、蜘蛛の糸がネバネバしていて思うように進めない。そうこうしてると、どこからともなく三十セン程の蜘蛛が大量に現れる。気色悪りぃ……。


 一体一体はたいした事は無いけど、この数は脅威だ。みんながこの蜘蛛に気を取られてる間にジャイアントゼブラスパイダーの姿が見えない事に気付く。



「ボスの姿が消えました! 注意です!」



 なんて、言った矢先にどこからともなく糸が飛んできてトシが蜘蛛の糸まみれ。



「う、動けないです!」



 ありゃりゃ、こりゃ不味いよ。この場で使えるスキルは……ないね。


 動けなくなったトシにゆっくりとジャイアントゼブラスパイダーが近づいて行く。みんな周りの蜘蛛をあしらうのに精一杯。そんな時、俺の目に一つのアイテムが映る。これってもしかしてイベントアイテム?



「ペロ! 松明の火を蜘蛛の糸に移せ!」


「おい、ネロ! 俺達を焼き殺すつもりか!」


「大丈夫! 任せて!」



 ペロが走り回り蜘蛛の糸に火を放っていく。蜘蛛の糸は勢い良く燃えていく。燃えやすい性質のようだ。俺は燃える火を大気スキルでみんなに及ばないように調整しながら、部屋の蜘蛛の巣を焼き払っていく。ジャイアントゼブラスパイダーも燃える糸に驚いたのかじりじりと後退していった。その間にルーさんがトシを救出。



「助かった~」


「み~」



 糸は燃えやすいけど、火力はたいした事はなかったので誰も火傷はしていない。子分の蜘蛛が半分くらい焼け死んだくらいだ。こうなると形勢逆転。ジャイアントゼブラスパイダーも隠れる場所がなくなり、子分の蜘蛛を前に出し自分は力を蓄えているように見える。


 子分蜘蛛も駆逐し終わり、もう勝敗は決まったも同然。フラグは立たないよ。糸を出したり脚で攻撃してくるけど、みんなに袋叩きにあってあえなく昇天。


 イベントアイテム様様だった。この松明がなかったら、相当に苦戦していた事だろう。



「み~」



 さて、お宝探しといきますか?


 まず邪魔な蜘蛛の死骸を収納してしまう。所々に武器防具が散乱している。煤だらけ、お金も結構落ちていて宝石もいくつかあるようだ。ペロと宗方姉弟が潮干狩りするような感じで金貨などを集めていく。


 ミーちゃんが俺の肩からぴょんと飛び降りて、ある一画の地面を前脚で掻いている。こ、これは、まさかですか? また、ミーちゃんレーダーに引っ掛かっちゃった?


 ミーちゃんが掘った所から小さな箱が出て来た。大きさから言うと指輪のAFだろうか? 箱に入っている事から期待が高まるよ! ミーちゃん、開けて良い?



「み~」



 箱には鍵もなく簡単に開いた。中身は……生姜? 何故、生姜が箱に入っているの? ん? これはもしかして、いや、もしかしなくてもあれだ! ウコン! この匂いに覚えがある。これはターメリックだよ。体に良いから飲んでみろと言われて飲んだら、激マズだったのを覚えている。カレーのルウに入れるスパイスの一つでもあるね。


 なんで、こんなのが箱に入って埋ってる? これってお宝なの?



「み~?」



 これは、あれか? お酒を造るついでに二日酔いの薬も作れって、ポンコツ神様の啓示なのか? ウコンの力、を利用した二日酔いの薬売れるか? 売るにしても、増やさない事にはどうにもならない。ベン爺さんに言ってうちの畑に植えてもらおう。


 みんなが集めて来てくれた戦利品の中には、残念ながらAFは無かった。それでも中には多くのディメール金貨が混ざっていたので、ウハウハだよ。煤に汚れた武器防具も汚れを落とすと、見るからに新品の良い品ばかり。サイズも人用の物なので高く売れる事だろう。



「お宝部屋だね」


「三階層にもあるんだよね~?」


「おそらくあるね」


「お金持ちにゃ! 串焼き食べ放題にゃ!」


「にゃ!」



 そうだね……食べ放題どころか、店ごと買えると思うよ。



「すげぇな……」


「白亜の迷宮にも、探せばあったのか?」


「孤児院の運営費に充てるぞ! 少年」



 白亜の迷宮には入った事がないからわからないけど、この迷宮が特別なんじゃないだろうか? いろいろ普通の迷宮とは違うようだから。そもそも、流れ迷宮ってなんなんだろう? 迷宮自体が生き物? それともダンジョンマスターが居るんだろうか? このまま最下層に行けば何かわかるかな?



「み~?」






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