256神猫 ミーちゃん、婚約指輪を渡す。
みんなが居ないから夕飯時はとても静かだ。一緒に食べているのはミーちゃんにレティさん、ルーくんとラルくんだけ。
レティさんと今後の孤児院の事を話しながらお茶を飲んでると、ルーくんとラルくんが窓の近くに寄って外を気にしだす。仕事を終えたユーリさんが帰って来たようだね。
しばらくして、ユーリさんがリビングに入ってくるとユーリさんのその豊かなお胸からカイが顔を出してミーちゃんに向かってピョンと飛んで来る。
「カイの飼い主としての自信が揺らぎます……」
「ははは……ミーちゃんはお姉ちゃんだから、仕方ないですよ」
「み~」
カティアさんがユーリさんにお茶を入れてくれる。
「今日、ゼストギルド長に会って来ました」
「え!?」
「寿退社だから仕方ないって」
「あ、あの、退社理由に困ってぇ……はうぅ」
「俺で良いんですか?」
「え!?」
「俺の奥さんになると大変ですよ?」
「……覚えていますか? ネロ君が迷宮で私を助けてくれた時の事。凄く嬉しかったんです。その後のプロポーズの言葉で心が決まりました。ネロ君について行こうと。ネロ君こそ私のような女で良いのですか?」
「ユーリさん美人だし頭も良いし、何より優しいですから。俺にはもったいないくらいですよ」
「ですが、私はエルフ族です。貴族の一員となった今、私では不都合があるのではないでしょうか?」
「そうなんですか? まあそうだとしても、もともとアウトローですから気にしませんよ」
ユーリさんの目に涙があふれている。
「不束者ですが、よろしくお願いします」
「み~」
何故、そこでミーちゃんが返事をするのかな……小姑ですか?
「ちょっと待ったー!」
あぁ……また、ややこしい人が手を上げてるね……。
「私と言う者がありながら、その女と結婚とはこれ如何に? 少年」
「私と言う者がありながらって、レティさんと俺ってそんな関係じゃないでしょう?」
「身も心も全て捧げ、お風呂にも一緒に入る仲なのにそんな関係じゃないって……少年は鬼畜かぁ!」
「お風呂に入る仲……レティさんが札を掛けるのを忘れるのが悪いんでしょう! 事故ですよ、事故!」
「ん? そうだったかな? まあそれはしょうがないとしてだ、私の立場はどうなる? よしんばその女が正妻になるなら、せめて私は妾で……三食昼寝付きぐらいにはなるのだろうな。少年?」
こ、この人、さりげなく本音が出たよ……。そこなのか? いや、そこなんですね! 今でもほとんど三食昼寝付きでしょうが! 迷宮探索ではコキ使ってやるからなぁー!
涙を拭き笑ってるユーリさんに指輪を渡す。
「これは?」
「結婚は今の状況が落ち着かないと難しいので、今は婚約って事で待って欲しいのです」
「わかりました。私も一度故郷に戻るようにローザリンデ様に言われていますので、ネロ君の考えで問題ありません」
「なので婚約指輪です。選んでくれたのはミーちゃんです」
「み~」
「!?」
ユーリさんが驚きの表情に変わる。指輪がAFだった事にか、ミーちゃんが選んでくれた事にだろうか?
「ネロ君……これって」
「内緒ですよ?」
「はい。一生大事にします」
「少年。妾の私には何も無いのか?」
誰が妾ですか? ってミーちゃん、なに勝手に渡してるんですか? ポンコツ神様の加護の腕輪? まあ、それなら良いか。
「ミーちゃんは少年よりわかってるじゃないか。見習えよ、少年」
きぃー、ムカつくんですけど。レティさん、ミーちゃんに感謝して下さいよ! それもポンコツ神様の加護だけど、れっきとしたAFですからね。レティさんにAF渡すの二個目なんですからね。
何故か、ソファーに座った俺の両脇にユーリさんとレティさんが座る。うーん、両手に花ってこう言う事を言うんだね。二人共豊かなお胸の持ち主なので腕に当たる感触がこりゃまたなんとも。膝の上にはミーちゃんまで乗っているので、これはまさしくハーレム! まあ、ミーちゃんと一緒に男の子のカイも乗ってるし、足元にはルーくんとラルくんもいるけどね。
さあ、覚悟を決めた一仕事が終わったから、お風呂に入って寝ますか。
「お風呂に入られるならご一緒します……」
「それは妾である私の役目だぞ」
「そんなの関係ありません!」
「前にも言ったが、エルフのお嬢様に『ピー』な事や、『ピーピー』な事ができるのか!」
「私はネロ君の妻になるんです! 『ピー』な事や、『ピーピー』な事くらいできます!」
「ほう。聞いたか、少年。エルフのお嬢様が『ピー』な事や、『ピーピー』な事をしてくれるそうだぞ」
「え!? あなた、嵌めましたね!」
うーん。お風呂を男女別に改装する必要なかったのかな?
「み~」
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