257神猫 ミーちゃん、久しぶりにクイントのお風呂屋さんに行く。

 ユーリさんと婚約したからと言って日常はたいして変わりはない。ちょっとスキンシップが多くなったのと、朝の挨拶と夜寝る前にキスをしてくれるようになった事かな。レティさんもだけど。あー、お風呂は二人と一緒に入ってます。『ピー』な事や、『ピーピー』な事もされました。ミーちゃんも一緒に入ってるのでちょっと恥ずかしいかな。


 夜は今まで通り別々の部屋。エルフ族は貞操観念が強いそうで、結婚するまでは一緒の布団では寝ないそうです。逆にレティさんの種族はそう言う事がないので、俺と一緒に寝ようとしたけどユーリさんがレティさんを自分の部屋に連れて行きました……。


 最初はエルフ族と魔族は相容れない同士なんて言ってたからどうなるかと思っていたけど、なんやかんや言い合えるくらいに仲が良いようで安心したね。



「み~」



 そうした中、商業ギルドから人材が集まったと使いが来たので、商業ギルドに来ている。ヴィルヘルムの時と同じように取り敢えず全員フォルテに行ってもらい、そこで白狼をつけてブロッケン山を越えてもらいニクセに行ってもらう事にする。



「ニクセですか? フォルテではないのですか?」


「フォルテにはヴィルヘルムの商業ギルドから派遣された人達が既に向かっています。もうそろそろ着いてる頃でしょう」


「フォルテからニクセまでは如何するおつもりですか?」


「ブロッケン山越えで行ってもらいます。ヴィルヘルムからの人達もブロッケン山を越えてフォルテに向かいました。なんら問題はありません。安全安心ですよ」


「ハァ……」



 ヴィルヘルムからベルーナに向かっている馬車とハンターさん達に、帰りもヴィルヘルムまで護衛の依頼をするつもり。最初は一組の馬車とハンターさんはフォルテで依頼完了にするつもりだったけど、全員ベルーナに来てもらう事にした。それの方が効率が良いからね。後でフォルテに行ってグレンハルトさんに話してこよう。


 レティさんと一緒にフォルテのグレンハルトさんに会いに行くと、孤児院で働いてくれる人を数人雇ったと言ってきた。雇った人はこないだのマフィア襲撃の際に亡くなったハンターさんの家族と言う事だ。問題は孤児の中にはそのマフィアの子も含まれている。だけど、その事も理解したうえで子に罪は無いと言ってくれたそうです。孤児院の院長も近々、教会から派遣される事を伝えた。人も揃ったのでスラムなどから孤児を集め始めた方が良いのかも、レティさんにお任せしようと思う。


 ニクセからフォルテに向かっている人達も、もう着く頃。少しは仕事量が減るはずですと言っておく。ベルーナでも人材が揃った事を伝え、その人達を護衛して来たハンターさん達と馬車をそのまま依頼を延期してもらうように頼んでおく。


 やっと一段落ついたね。



「み~」



 ペロ達も、もうクイントに着いてるはずなので、今夜飛んでみよう。クイントでもやる事はいろいろある。それを終えてから迷宮探索になるのかな。


 みんなには夕食時に夜出掛ける事を言っておく、今日はクイントの宿に泊まるつもり。なので夕食後にクイントに飛んでみた。どこかの家の裏庭の倉庫の横に居るようだ。おそらくここが、蒼竜の咆哮のみなさんのホームなんだろう。今日は声を掛けずにおく、行きたい所があるんだよ。


 目的地途中の宿で一泊お願いしてから目的地に向かう。勝手知ったる街だから方向音痴の俺でも迷わない……はず。まあ、迷ったらマップスキルを見れば良いだけだし、言い訳じゃないからな!



「ミーちゃんじゃないか!」


「み~」



 俺の名は出てこないのか? ミーちゃん俺の腕の中からジャンプして番台のおばさんの所に言ってご挨拶。おばさん、顔がニヤケきってミーちゃんを抱っこしている。そこで、やっと俺の事に気付いたのか



「なんだい、ネロ居たのかい。いつもので良いんだろう。さっさとお行き」



 おばさん、有無を言わせず札を渡して来て、ミーちゃんの感触を確かめるように撫で始める。



「ハァ……ミーちゃんの毛並みは上等な布でさえ目じゃないねぇ」



 完全に俺はアウトオブ眼中。ミーちゃん、行ってきます。



「み~」



 大きいお風呂サイコー。三助さんもマッサージのお姉さんも気持ち良かったよ。まあ、うちのお風呂でユーリさんとレティさんにあれこれしてもらってるから、ちょっと物足りない気はするけど、たまには良いね、こう言うの。


 風呂を出て、腰に手をあて自家製フルーツ牛乳をグビグビと飲む。



「プハー。風呂上がりの一杯は最高だね!」



 周りのお客さんから変な目で見られるけど気にしない。この至福を味合わないみなさんが逆に変だよ。結構な時間お風呂に入っていたと思う。おそらく、一の鐘以上は入っていたはず。番台のおばさんも満足してくれたかな。



「もう帰っちゃうのかい? ネロ、もう一回入っておいで、タダにしたげるから」


「いやいや、もう十分にのぼせていますから。それに、当分の間この街に用事があるのでまた来ますよ」


「約束だよ。他の子達も連れといで」


「み~」



 番台のおばさんにお礼を言って宿に戻った。また来ようね。



「み~」






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