246神猫 ミーちゃん、背筋に悪寒がはしる。
何事も無い日が数日過ぎる。何事も無いとは言ってもやる事はたくさんあり、ルーカスさんとカティアさんと書類とのにらめっこ。疲れたらミーちゃんと雷スキルの練習を繰り返していた。
そんな何事も無い日にも、ルーカスさんの末の弟夫婦と従兄弟、従姉妹がやって来た。弟さんは十歳年下でベルティさん、奥さんはエファさん。従兄弟達も十代後半でフランツさんにテレサさん。当面はルーカスさんとカティアさんの下で学ぶ事になる。エファさんは実家が食堂を営んでいるそうで料理が得意と言う事なので、台所を任せる事にした。
それから、一つおめでたい事があった。カティアさんにおめでたが発覚した。無理はしないように言ってある。ミーちゃんがとても嬉しそうにカティアさんのお腹にスリスリしてた。見た目はまだ変わりがないけど、そのうちにわかるようになるだろう。
そんなこんなで、フォルテにグレンハルトさん達が到着した。
「なんで~、ネロ君が居るの?」
「ちょっとばかし、伝がありまして……」
「騎竜隊か……」
適当に誤魔化したけど、旨い具合に勝手に納得してくれたようだ。役所の者達に新しい代官のグレンハルトさんを紹介しておく。更に、もう数日すると新しく雇った人達が来るのも伝えておいた。
グレンハルトさん達は疲れているだろうから今日は顔合わせだけ、これから代官であるグレンハルトさんが住む屋敷に案内する。
「立派ね~」
「凄い屋敷だな……」
「前の役所の長が住んでた屋敷です」
「「……」」
ちょっと複雑そうな顔を見せているけど、中に案内する。メイドさん四人とパロ君が並んでお出迎え。そんな並んでいるみなさんの前を悠然と歩くコルネ……何様だよ。
「この子は?」
グレンハルトさんがコルネをヒョイッと持ち上げた。流石、グレンハルトさんクラスになると造作もなく捕まえるようだね。
「この屋敷で飼っている猫で、コルネと言います」
「そうか、これから一緒に住む事になるグレンハルトだ。よろしく頼む」
「みゃ~」
なんですとー。俺やミーちゃんには触らせるどころか、鳴く事さえしなかったコルネがデレるだと……。この街の領主より、この屋敷の主人の方が上だと言うのか? 現実主義者め、納得がいかない……。
「みぃ……」
外でグレンハルトさんが連れてきた白狼がガウガウ言っている。外に出てみるとレティさんが狼をモフっていた……。今日からレティさんもここを拠点に動いてもらうので、宿を引き払ってもらっていたのだ。
グレンハルトさんとローザリンデさんに旅の荷を降ろしてもらって、リビングでお茶にする。
「それで、レティさん。状況はどうです?」
「ほとんどの闇ギルドの場所はおおよそ掴んでいる。今はその確認中だな」
「闇ギルドの構成は?」
「盗賊ギルド三十人、暗殺ギルド十人、闇金融ギルド二十人、マフィアが二組織合わせて百人と言ったところかな。他にも細々あるがいちいち潰す意味のある奴らではない」
「結構多いですね。義賊ギルドからは何人呼べますか?」
「二十人が良いところだろう」
「ハンターを入れて百人と言ったところですね」
なかなか厳しいね。セッティモからもハンターを呼ぼうか? 駄目だな、時間が掛かり過ぎる。今ある戦力でなんとかするしかないだろうね。
「私とローザとで二手に分かれるか?」
「グレンハルトさん、ローザリンデさん、そして俺とレティさんで三つに分けましょう。最初に潰すのは、盗賊ギルド、暗殺ギルド、闇金融ギルドにして、その後、マフィアと対峙しましょう。決行は夜。門以外に外に出られる場所には人を配置しないといけません。レティさん、この街にどのくらい抜け道はありますか?」
「三つ程ある」
「そのうち塞いでもこの街に影響が無いのはありますか?」
「一つは下水道だから、塞ぐのは不味い。スラムの者が出入りしている道と、その昔この街からの逃走用に作られたが今では忘れられたと言う道なら問題は無しだろう」
「では、その二つは作戦決行前に俺が塞ぎましょう」
「それで、決行日は何時にするね?」
「レティさん」
「確認は二日もあれば終わるだろう」
「なら、三日後の夜ですね」
「了解だ」
ハンターギルドに向かい、ヘルダギルド長に面会を求めるとすぐにギルド長室に案内された。
「今日は何の用さね? ブロッケン男爵様」
「三日後の夜にこの街に居る戦闘可能なハンターを総動員して下さい。秘密裏にです」
「み~」
「ホッホッホッ! 今度は何の悪だくみさね?」
ヘルダギルド長、悪い顔してますよ……。情報収集が終わり新しい代官も到着したので、三日後の夜に闇ギルド壊滅作戦を決行する事を伝える。
「そりゃ大事さね……」
「ですので、できる限り多くのハンターを集めて下さい」
「集めると言ってもねぇ。この街じゃあ百五十が良いとこさ」
「こちらの予想より多いですね。問題ありません。増援として義賊ギルドに人を出すように依頼しています。グレンハルトさんとローザリンデさんもいますから戦力は十分でしょう。あっ、治療士の方の手配もお願いしますね」
「ローザリンデ……あのババァも来るさね?」
「お知り合いですか?」
「師匠さね……」
エルフは長寿じゃないけど、ハイエルフはやはり長寿だったね。ローザリンデさん、いくつなんだろう? せ、背筋に悪寒が……。
「み、みぃ……」
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