238神猫 ミーちゃん、闇ギルドの者でさえ目を奪われます。

 警備隊の詰所にある牢屋に隊長他五人を入れ、役所の方に人をやり悪玉五人も連れてきて牢屋にぶち込む。喚き散らしているけど牢屋は地下にあるので外には音が漏れないから、いくら喚いてもらっても問題ない。


 しばらくすると、他の組のハンターさん達も戻って来た。警備隊の家の方に回ったハンターさん達に多少怪我人が出たようだけど、ヘルダギルド長が治療スキル持ちだったので俺が持っていたポーションと併用で全快した。ミーちゃんのミネラルウォーター? 使う訳ないじゃない、その程度の怪我で。


 役所の悪玉五人の家に向かったハンターさん達は、悪玉の家族を捕らえて来た。どこのお貴族様かと言う豪華な服を着ている。屋敷の方は使用人を追い出して、ハンターさんが数人で見張っているそうだ。後で行って、ミーちゃんバッグに全て回収してこよう。


 全員を牢屋に入れたところで



「これで、終わりさね?」


「一先ず、終わりです。それから追加依頼を出します。罪人を王都まで護送して下さい。闇ギルドから罪人の口封じがあるかもしれないので、腕利きを集めて下さい」


「み~」


「仕方ないさねぇ。ここにいられても困るからねぇ。早急に送り出すさね。それで、ご領主様はこれからどうなさるね?」


「まだやる事があるので、こちらはヘルダギルド長にお任せします」


「なんだい、まだ年寄りを扱き使うつもりかい」



 勝手について来たのはそっちでしょう! と言ってやりたいところを、グッと我慢して顔を引きつらせつつも笑顔でお願いしますねと大人の対応……。ついでに罪人達の見張りはハンターさん達にもお願いしておく。警備隊だけだと心許ないし安心できない。


 罪人達は俺の領地の事なので俺が裁いても良いのだけれど、横領や賄賂は直轄地の頃からの事。王様の判断を仰ぐのが無難だと思うので王都で裁いてもらおう。


 さてと、俺は証拠隠滅される前に全てを押収しに行きますか。



「み~」



 テオさんと警備隊の二人に案内させて、罪人の家を回ってミーちゃんバッグに根こそぎ収納していく。ブサ男達の家からはたいした物は出てこなかったけど、羽振りの良い暮らしをしていた事は確かなようだ。役所の悪玉の方もオーラフ以外の者の家はブサ男達とたいして変わりがなかったけど、オーラフの家は違ったね。


 ベルーナの俺の屋敷と大差ない程の立派な屋敷だった。中に入り全てをミーちゃんバッグに収納していき、二階部分の収納を始めようとしたところ奥の部屋から物音がする。この屋敷には誰も居ないはずなんだけど……どうやら、招かざるお客のようだ。闇ギルドってやる事が早いね。どこから入ったんだろう。


 俺は気配遮断スキルを持っていないので、堂々と近づいて行く。銃はいつでも撃てる状態にしてある。


 物音がしていた部屋から音がしなくなる。俺に気づいたようだ。銃を構えたまま扉のノブを回し少し開いたところで、蹴りを入れ扉を開く。予想通りに男が短剣を構え飛び出して来たので銃で応戦。肩と脚を撃ち戦闘不能にする。しかし、油断していた訳ではなかったけど、天井から落ちてきたもう一人の侵入者の短剣から身を守る為、とっさに銃で防いだせい事により銃をはじき飛ばされてしまった。


 侵入者の目は冷たい光を放ち、武器を失い無手の俺にも関わらず油断を見せる事が無い。こ奴、できる!



「み~」



 と思ったけど、ミーちゃんの鳴き声に俺から目を離しミーちゃんを見てしまった侵入者。前言撤回、阿呆だこいつ……隙だらけになった瞬間に空気大砲をぶっ放す。直撃を喰らった侵入者は窓から盛大に飛び出して行ったね。外に居るハンターさんにそいつを捕まえておくように頼み、中にももう一人居るのでそいつもお願いしますねと言っておいた。ミーちゃん、ありがとね!



「み~」


「さて、何を探していたのかな?」


「……」


「まあ、別に言わなくて良いんだけどね。おおよその予想はついているから」


「……」


「どの闇ギルドか知らないけど、叩きつぶす!」


「み~!」


「できるものか……」


「あなたにそれを知る事は、もう意味の無い事です。あなたは裁かれ神の元に行くのだから」


「……」



 ハンターさん達が来たので侵入者を連れて行ってもらう。残りの部屋の物も全て収納したけどたいした物は出てこなかった。お金は、一杯出てきたけど……良く貯め込んだものだと、逆に関心してしまう程だったよ。お金は複数の隠し金庫に入っていたけど、俺のマップスキルで見つけミーちゃんの解錠のネックレスで一発だった。流石、AF。


 お目当ての物が無いとすると、本命は役所自体にあるのだろうか? テオさんと役所に戻り悪玉の部屋を探すけど何も出てこない。役所の中を歩き回ると、マップスキルに隠し階段を見つける。一階の倉庫から地下に降りる階段だった。


 降りてみると鍵の掛かった部屋が四つある。一つ目の部屋の鍵を解錠のネックレスで開けて入ると部屋に棚に樽が横積みに並んでいる。近づいて樽を確認すると、蒸留酒でした。樽の古さからいっても結構な年代ものだと思う。この地方の蒸留酒は寝かせないで売る事が多いので、これは珍しいお酒になるだろう。この部屋にある樽全てがそうだとすると、いくらの値がつくか想像ができない。


 これって人によっては、一財産どころではないよね……。



「み~!」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る