210神猫 ミーちゃん、神様ってポンコツなのぉ~?って思う。

 烈王さんの心配事は酒が飲めなくなる事が上位にあるようだね。近々始めようと思ってる蒸留酒の事を根掘り葉掘り聞かれた。だから、これから造るんだってば。


 それより、ここに来る方法を何とかしたい。烈王さんにその事を話すと、転移門を作ってやると言われた。万能だね……次元竜って。烈王さんが紙に何かをさらさら書いている。



「これを門を作りたい場所で燃やせば門ができる。通れるのは、ネロと眷属殿が触れている者だけだからな」



 これも人には見せられないね。牙王さんの洞窟に作ろう。奥には誰も入って来ないから作っても安心。


 話しを変えて、次元竜である烈王さんにエールを注ぎながら質問してみる。



「烈王さんは時空間スキルって持ってます?」


「おう、ネロの鑑定で見えてしまったか? 普通は見えないんだけどな」


「いえ、見えてませんよ」


「なら何で時空間スキルを知ってるんだ?」


「最近、時空間スキルを覚えたので」


「なんだって!? それは、あり得ないだろう……時空間スキルは最上位のスキルだぞ、勇者にだって覚えられない最上位スキルだぞ。今は見かけない人の上位種の神人ですら覚える者は稀だったってのに……」


「どんなスキルなんですか?」


「……」



 あれ? 黙っちゃったよ。



「烈王さん?」


「強力なスキルだ……だから、使う事は許されない。俺自身もそのほとんどを封印している」


「そんな凄いスキルなんですか?」


「まあ、ネロの寿命じゃそこまでの熟練度にはいかないだろけどな。さっきの転移門もそのスキルの能力だ。そのスキルを下手に使えば、眷属殿が居ようと神敵にされるから気を付けろよ。それは、善悪に関係無いからな」


「みぃ……」



 あらやだ、怖い。使った時点で神敵だなんて。



「例えば、どんな能力が不味いんですか?」


「異世界への道を繋げる」



 要するに、俺も異世界人を召喚できると言う事?



「今回、召喚をおこなった者も時空間スキルを持っていたと言う事ですか?」


「そいつが持ってたのは、時空間スキルの劣化版と言うのもおこがましいスキルだけどな。時空間スキルはどの世界にも道を作れ、逆に閉ざす事も可能だ。それは神の所業だ。俺達には許されない行為だ。まあ、他にもいろいろ不味い能力もある」


「どうして、俺が覚えたんでしょうね?」


「そう言えば、ネロの体は神が造ったんだろう? 当然と言えば当然なのか?」


 ポンコツ神様……この世界に影響を与える力は与えないって言ってなかったっけ? 自分で覚える分は良いって事? いや、絶対に違う。これは、ポンコツ神様のポンコツたる由縁だね。



「み~?」



 烈王さん、エールをガブガブ飲んでる。まるで、水を飲んでるようだ。



「宝の持ち腐れですね……」


「人には過ぎたる力ではある。だけどな、鍛えて熟練度を上げておく事に越した事はないぞ。熟練度が上がれば自由に転移できるようになる。この世界限定だけどな。何と言っても時空間系の最上位スキルだ。ネロにとっても使い勝手の良い能力がいろいろあるな」


「転移できるようになるのですね」


「なるな。便利だぜ」



 他にも、収納、空間把握(気配察知の上位)など時空間系のスキルの能力が熟練度を上げる事によって使えるようになると言っている。収納は既に使っている。自分の時間を早めたり遅くしたりする事も熟練度次第ではできるようになるらしい。時間を止める事もできるようになるらしいけど、神敵になる覚悟があるならやってみろと言われてしまった……残念。


 要するに、この世界に多大な影響を及ぼす事をすると神敵になるようで、周りに影響を与えない程度の個人的な利用は認められるって事かな。これは鍛える価値ありだね。


 その後は、時空間スキルの訓練法を教わり、雑談しているうちに帰りの時間になった。



「時空門あるんだから、そっち使えば良いんじゃね?」


「そうなんですけど、変な勘ぐりを入れられるのも嫌なので今日は帰ります」


「み~」


「そうか? じゃあしょうがないな。また来いよ」



 いろいろ衝撃的な事が多かったけど、楽しいひと時を過ごしたね。



「み~」



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