神猫ミーちゃんと猫用品召喚師の異世界奮闘記

207神猫 ミーちゃん、狼を雇う。

　帰りはブロッケン山に寄って帰る。

「よく来たな、ミー様、ネロ殿。歓迎するぜ」

「ようこそおいでくださいました。ミー様、ネロ殿」

「み～」

「今日はお願いがあって来ました」

「俺達にできる事なら、何でも言ってくれ」

「ミー様、ネロ殿には大恩がございます。何なりとお申し付けください」

「近々、ルミエール王国とヒルデンブルグ大公国の使者が来るでしょう。不可侵条約とブロッケン山の商隊通行に関してです」

「俺達は別に構わねぇぜ」

「さして今までと変わりませんので」

「詳しい話はその時で良いのですが、我々神猫商会でもそれに伴い商隊を出そうと思ってるのです」

「それが、俺達と何か関係があるのか？」

「はい、神猫商会の商隊の護衛を牙王さんと妖精族の皆さんに依頼したいのです」

「私達が人族の商隊の護衛ですか？」

「もちろん、依頼料はお支払いします。正直な話、商隊を任せられる人が少ないのです。牙王さんや妖精族の皆さんなら信頼できるのでお願いしたいと思って」

「み～」

「信頼かぁ……嬉しい事を言ってくれるじゃねぇか!　よし、任せろ。好きなだけ連れてけ!」

「まだ、準備段階なので、取り敢えず、街に慣れてもらう為に少数でお願いします。牙王さんの手の者なら家の護衛にも役立ちそうだし」

「我が孫だけでは務まりませんか？」

「セラは良くやってくれてますよ。でも、セラが居ない時ミーちゃんが大事に思う人々を守って頂けると良いなって」

「み～」

「わかった準備させる。すぐに発つか？」

「パトさんの所に行って来ますのでその後に」

「承知しました」

　今日はセラが居ないけどスミレが道を覚えてる。スミレは優秀だね。それに比べ俺は方向音痴……。スミレがぶるるって、適材適所よって慰めてくれる。スミレ姐さんって呼んで良いっすか!

「ミーちゃん、ネロさん。良く来たワン。歓迎するワン」

　ミーちゃん、パトさんにダイブ!　パトさんのお耳にペロペロ、スリスリ羨ましい……。

「今日はどうしたんだワン？」

「今度、神猫商会で商隊を出す事にしたのですけど、妖精族の皆さんに護衛の依頼をお願いしたいと思って」

「妖精族にワン？」

「妖精族の皆さんに護衛を依頼すれば、街などに寄って街の人々に認知してもらえるかなって。そうすれば、自由に街などに行くことができるようになると思うんです。最初は風当たりがきついかとは思いますが、今後の妖精族の未来の為に受けて頂けませんか？」

「み～」

「ミーちゃん、ネロさんは良い人だワン。でも、そんなに簡単にいくかワン？」

「最初は大変でしょう。ですけど、うちの神猫商会の者は皆さんの味方ですし、受けて頂けるなら、うちの家の横に皆さんが住む場所も建てる予定です。少しづつでも、街に慣れていけば妖精族の皆さんも受け要られていくと思うんです」

「妖精族だけで生活していくのは大変だワン。妖精族も人族と仲良くしたいワン。みんなに話をしてみるワン」

「商隊の護衛には牙王さんも手を貸してくれる事になってます」

「み～」

「それは頼もしいワン。すぐに話し合いをするワン」

　その後は、お茶を飲みながら他愛もない話をしてから、パトさんのお耳に名残を惜しみつつ牙王さんの所に戻ったよ。

　牙王さんの所に戻ると四頭の成犬？　成狼？　がお座りして待っていた。

「こいつらはまだ若いが、腕は立つ。好きに使ってくれ!」

「ミー様、ネロ殿、ルディ様の命令は絶対と言い聞かせてありますので、ご安心ください」

　みんなルーくんと違って凛々しい顔つき、頼もしいね。

「み～」

　お礼と言う訳ではないけど、ミーちゃんバッグに入っていた干し肉全部と冷やしたエールの樽を置いて転移装置で帰って来た。ついてきた狼たちは突然の事に驚いている。

　外で遊んでいたルーくんとラルくんが走って寄って来ると、狼四頭は伏せの状態になる。ルーくんそんな事にお構いなしに、遊んで、遊んでとじゃれついている。

　一旦、そんなルーくんを引き剥がして、四頭を風呂場に連れて行く。モフモフするには汚れてるから綺麗にしてあげよう……モフモフする為にね。ニヤリ。

　風呂場に連れて行くと、目敏く俺達を見つけた宗方姉弟がやってくる。

「どうしたんですかぁ？　そのわんこ」

「野良犬ですか？」

　確かに野良犬に見えなくもない。本当はホワイトウルフなんだけど、汚れているせいでくすんだグレーになっている。

「丁度良い。洗うの手伝って」

「み～」

　そこからが、もう大変。おとなしくしていてくれるけど、ルーくんと違って大人なので大きい。三人でワシャワシャ洗う事一時間、なんとかホワイトウルフに戻った。今度は大気スキルを使って乾かしてやる。これも大変な作業だった。でも、その甲斐あってモフモフになり宗方姉弟は疲れも何のその、モフモフを堪能している。ミーちゃんもね。

　四頭を馬屋に連れて行くと、馬達が騒ぎだしたけど、スミレのぶるるって大丈夫よの一言でおとなしくなった。四頭には屋敷の周りと牧場では自由にして良いよと言い、後でこの家の者と顔合わせするからとも言って自由にしてもらう。ルーくんとラルくんがジャレついてるから自由にはなりそうにないけど。

「がう」

「きゅ～」