み~ちゃんの異世界放浪記 その漆

 にゃーはペロにゃ。


 生まれたケットシーの里の中ではとっても腕の良い剣士にゃ。


 ペロのママにゃんは里でも一、二を争う器量良し。パパにゃんは里一番の剣士だったにゃ。ちょっとイケニャンのお陰で浮気癖があったけどにゃ……良いパパにゃんでしたにゃ。


 過去形にゃのはにゃ、ペロが十歳の時にパパにゃん、ママにゃんの親友と浮気したのがバレて大喧嘩……にゃにゃ、ママにゃんの一方的攻撃になったにゃ。家に居ずらくなったパパにゃん、広い世界を見たいとか言って旅に出てしまったにゃ。その後、連絡不通だからにゃ。


 ママにゃんは、その辺の街猫の所にしけこんでるのよって言ってたにゃ。そして、ペロが十五歳になった時長老様の許可を頂いて正式に離婚し、里の戦士長さんと再婚したにゃ。


 ペロは空気が読めるケットシーにゃ。新婚のママにゃんに気を使って、名目上パパにゃんを探す旅に出る事にしたにゃ。探さにゃいけどにゃ。


 パパにゃんじゃにゃいけど、世界は広いにゃ。ペロも自分の目で見てみたいにゃ。


 にゃんて思っていた事もあったにゃ……。



 現実って厳しいにゃ……ちゃんと服も着て言葉も喋ってるのににゃ。街に入れてくれないにゃ。にゃんでだろうにゃ……寂しいにゃ。


 仕方にゃいから猫化して忍び込むしかないにゃ。街に入ればモンスターを気にせず寝れると思ったにゃけど、ペロを泊めてくれる人はいなかったにゃ……。


 そんな時、助けてくれたのが街猫のみんにゃにゃ。同じ猫族だからにゃって、寝る場所やご飯をくれる人にゃんかを教えてくれたにゃ。ペロはここで、街猫のみんにゃから人族の生活を学んだにゃ。


 物を買うにはお金が必要とかにゃ。でも、どうやってお金を手に入れれば良いかまではわからなかったにゃ。でも、街猫のみんにゃが拾って集めたお金の少しを区長さんから良くもらっていたにゃ。何故かって? そのお金で食べ物を買って野良猫にゃん達に配るお手伝いをしてたにゃ。街に来るケットシーはそうやってお駄賃をもらっているそうにゃ。


 ペロもそうやっていろいろな街や村に行って見聞を広げたにゃ。楽しい事も、辛い事も一杯あったにゃ。


 そんな次の街に行こうと街道を歩いていた時にゃ。目の前を蝶々が飛んでたにゃ。その蝶々を追っかけていた時に悲劇が起きたにゃ!


 ペロは道に迷ったにゃ……。


 いつの間にかにゃ、森の中に入ってしまったようで気付いたら右も左もわからなくなっていたにゃ。にゃんて事にゃ……。


 その時はにゃ、すぐに街道に出るだろうってにゃ、高を括っていたにゃ。


 でもにゃ、一日過ぎ、二日過ぎ、とうとう食べ物が底をついたにゃ。これでもケットシーの端くれにゃ、食べれる木の実や果物を見つけては食べてたけどにゃ。いかせん、量が足りないにゃ。


 そしてとうとう、目が回ってきた時にゃ、にゃんとも言えにゃい旨そうにゃ匂いがしてきたにゃ。その匂いをたどって行くとにゃ。人の気配がしたにゃ。すぐに気配を殺したにゃ。盗賊かもしれにゃいからにゃ。


 気配を消したまま、木の上を移動して近づいてみたにゃ。そこに居たのは年若い人族とお馬さん、そして……姫だったにゃ。


 姫としか形容できない子猫だったにゃ。真っ白で気品があるけどにゃ、にゃんとも可愛らしい子猫が居たにゃ。


 そして、人族が食べてるものにくぎ付けにゃ。よだれがだらりにゃ。他の事は一切考えられなかったにゃ……。


 にゃので、にゃんで急に荷物をまとめだしたかもわからなかったにゃ。あぁ、ご飯が行ってしまうにゃ~ってくらいにしか考えられなかったにゃ。


 急に姫達の足元に矢が突き刺さり



「動くんじゃねぞ!」



 って、声がして初めてペロ以外にも、周りを囲んでいる者が居る事に気付いたにゃ。


 こ、これは、ヤバい展開ですにゃ。ペロのご飯がぁ~。許さないにゃ!


 盗賊たちが輪を狭めて姫と人族、お馬さんを捕まえようとしている。姫を助ければお礼にご飯が食べれるにゃ。あんにゃ可愛い姫にゃ、絶対に優しい姫に違いないにゃ!



「待つにゃ! 悪党共! か弱き姫を救うは、ニャイトの役目にゃ!」



 そしてお腹一杯ご飯を食べるにゃ!


 盗賊は十人程度、ペロの敵じゃないにゃ。にゃんて思いながら戦っていたら、お馬さんつうぉーい! 人族もにゃにをしたかわからにゃいけど、近づいた盗賊が吹っ飛んで行ったにゃ……にゃんにゃの?


 気付けば、立ってる盗賊が居ないにゃ。



「姫には、お初にお目にかかるにゃ。名前はペロって言うにゃ。以後、お見知りおきをにゃ」



 これが、姫とネロ、スミレにゃんとの運命の邂逅。


 ペロは仕える主人と生涯の友を得た瞬間にゃ。


 もちろんこの後、腹一杯ご飯を頂いたにゃ。その代わり、困難な旅に同行してみんなを助ける事になったにゃ。


 その話は、また今度にゃ!





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