198神猫 ミーちゃん、神猫商会の今後の展開戦術を考える。

 団子とアイスキャンディー類は継続して販売するけど、寒い時期用の商品の開発をおこなう事。


 味噌と醤油販売をする事。既に生産施設の増設をおこなっている事も話す。


 人気があるけど量の少ない蒸留酒の安定供給の為に、とある場所に蒸留所を建てる事。


 新しい商品の開発、販売する事。もちろん、俺と宗方姉弟の知識を利用する事は話さない。


 ルミエール王国の王都ベルーナとヒルデンブルグ大公国の公都ヴィルヘルムをブロッケン山経由で商隊を行き来させる事。


 一応、大きく分けてこんな所だろう。カティアさんとルーカスさんは難しい顔をしています。当然だろうね。



「これを一度におこなうのございますか?」


「できるものから順々に始めます」


「ネロさんの資産、神猫商会の資産を合わせても、運営資金に足りませんが……」


「実は神猫商会に融資してくださる方がいます。今からお見せる物は融資してくださる方から預かった物です。他言無用でお願いしますよ」



 猫に小判クッションの上でカイと一緒にゴロゴロしてるミーちゃんにお願いして、ミーちゃんバッグから烈王さんから頂いた宝石の原石の入った特大の袋と金貨の入った大きな袋を出して二人に見せる。



「「……」」



 二人共、中を見てフリーズしてしまったね。ミーちゃんとカイは綺麗な宝石の原石をコロコロ転がして遊んでますよ。



「小国なら買えると思いますが……」


「面倒なのでパスです」


「これ程の融資をしてくださる方と言えば、限られてきますが……」


「国関係ではないです。貸しを作るの良い事ですが、借りを作るのは得策ではないですから。俺個人に対しては別として、神猫商会の経営には関与しない方からです」


「……わかりました。ネロさんを信じます」


「となると、人材でございますね。商会の者を増やす必要があります。何かお考えでございますか?」


「味噌と醤油は現地で生産された物を運ぶだけです。蒸留酒に関しても現地の者を使います。商品の開発、作成には心当たりがありますので俺の方で声を掛けておきます。お願いしたいのは商会の事務方になる者と専属の職人と言ったところでしょうか」



 心当たりの人物、そうあの人、あの人だ。あの人なら多少変わった物でも作ってくれるに違いない。ドワーフ族だから蒸留酒で釣れるかもね。


「わかりました。信頼できる者を集めましょう。職人の方は商業ギルドの契約書で縛って請け負いさせた方が良いでしょう。そちらも探しておきます。一つ疑問なのですが、蒸留酒の作り方は秘伝と聞いていますが、ネロさんはご存知なのですか?」


「ある程度の作り方、道具は知っています。細かなところは試行錯誤になると思います」


「となると、商隊の方でございますね。ハンターギルドに依頼するか、自前で用意するか」


「そちらも考えがあるので問題ありません。近いうちに話を決めてきます。空いてる土地に護衛してくれる者達の宿泊施設を作らないと駄目ですが」


「こちらのお屋敷では駄目なのですか? まだ、部屋は余っていますが」


「ちょっと変わった人達だから、彼らの好きにやってもらおうと思ってます」



 ちょっと……いや、だいぶ変わってるかな?



 そう言った話を書き出して細かな事も書いて行く。当面は俺は俺で動き、カティアさんはカティアさんで動く事になった。商業ギルド関係は俺よりカティアさんの方が詳しいからお任せです。


 神猫商会を大きくするつもりはないけど、それなりの地位にはあがるつもり。人々に神猫商会の名前が浸透するくらいにはしたいよね。代表?



「み~」




 カティアさんとの話を終えてミーちゃんとカイを抱っこしてリビングに行くと、あれ程無理はするなと言ったのに宗方姉弟はボロボロです……。



「グレンハルトさんが容赦なくて……」


「ローザリンデさんは鬼だよ~」


「取り敢えず、着替えてお昼にしようか……」



 王宮に行くって言ったよね? 行く途中で服を新調した方がよさそうだ。


 ジンさん達も王宮に行くか聞くと、宰相様が戻って来てから行くそうなので今日は行かないそうです。


 昼食を食べてギルドに向かうユーリさんにカイを渡す。今日からカイもギルドのマスコットに復活するそうです。頑張れよ~。



「み~」



 昼食を終えてスミレの準備をしている。宗方姉弟は馬に乗れるそうなので、ベン爺さんに馬の準備してもらっている。今まではロタリンギアの兵士が馬の世話をしてたそうで、世話や鞍を付けた事がないそうだよ。甘やかしてますなぁ……うちでは自分でやるので勉強してください。


 ミーちゃんとルーくんとラルくんを乗せ出発。ペロ達は午後もジンさん達と模擬戦をするらしい。レーネ様、寂しがるだろうな……。


 街中の以前俺が服を買った店で二人の服を買う。取り敢えず、王宮に行く為のちょっと良い服を一着買っておく。帰りにも寄るので、今着てる服は預かっててもらう事にした。


 王宮の門に着くと顔パスで通らせてくれるので、ミーちゃん何故かドヤ顔なんですけど。宗方姉弟は緊張してるようで、いつものおしゃべり好きな二人なのに冗談すら出てこない。


 ニーアさんと馬丁さんがやってくると、スミレがぶるるって他の二頭に、あんた達ついて来るのよってズンズン行ってしまった……。勝手知ったるなんとやら。


 ニーアさんもいつものキリリっとしたお顔で



「お待ちしておりました。王妃様がお待ちです」



 ミーちゃん、当然のようにお返事。



「み~」



 宗方姉弟は……



「「……」」



 じゃあ、行きますか。



「み~」





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