神猫ミーちゃんと猫用品召喚師の異世界奮闘記

189神猫 ミーちゃん、小判は大事に使います。

　ヤンキー君が顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。

「ふざけんな!　なんで勇者の俺がお前の下に付かなゃきゃならないんだ!」

　所詮はヤンキー、理解力に乏しいようだ。もう、無視しよう。

「みなさんはどうです？　あなた達の持ってる知識を使って商売するも良し、ハンターになって一攫千金を狙うのも良いですよ。もちろん、地道に働くのもありです」

「み～」

「俺はそんな事をする為にここに来たんじゃない……」

「私はネロさんの提案に乗っても良いかなぁ。トシはどう思う？」

「僕も姉さんの意見に賛成かなぁ。ネロさんと話をしたお陰で、なんかモヤモヤしていた物が払拭されたって感じかなぁ」

「チッ。俺は行かねぇ」

「……」

　奥村さんは悩んでいるみたいだね。何かあるんだろうか？

「最後に一つだけ言わせてください。今、すぐに決めなくても構いません。ですが、同郷の者としてあなた達が望めばいつでも手を差し伸べます。もう一人の同郷の彩音さんの願いでもありますから。ですが、敵対するなら覚悟してください。俺にも愛する者、守りたい者が居ます。どんな手を使ってでも抹殺しますよ」

「けっ、クズ風情が言うじゃねぇか!」

「クズで結構。そのクズにでさえ、今のあなた達は勝てませんよ」

「勇者の力を持つ我々に勝てるとでも？」

「えぇ、勝てます。あなた達の能力を見る限り、余裕です」

　多少、かましてますけどね。

「ネロさんは鑑定スキル持ちなんですか？」

「持ってます。あなた達のスキル構成を見る限り負けはないですね。みなさん珍しいスキルを持っているようですが、鍛えてる様子が見られない。豚に真珠、猫に小判。あっ、ミーちゃんは違うからね」

「み～」

「お前のスキルはどんなんだよ？」

　言うと思ってるのかな、このヤンキー君は？　無視だ、無視。

「どうです？　お望みなら、この世界でトップクラスの実力者と手合わせしてみませんか？」

「無視すんなよ!」

　知らんがな……。

「どう言う事だ？」

「自信過剰なあなた達に、現実を見せて差し上げましょう。今回の戦いで、あなた達が戦う相手がどのくらい強いのか知りたくないですか？　あなた達が見下してるクズが、実はあなた達が束になっても勝てないと言う現実。それを知った上で生き残った者、覚醒した者を利用しようとしているロタリンギアの思惑」

「良いだろう。その挑発に乗ってやろう。いつやる？」

「すぐにでも構いませんよ」

「わかった。みんな準備しろ」

「見てろよ。吠えずらかかせてやるぜ!」

「宗方さん達はこのままうちに来るなら、荷物も持って来てくださいね」

「たいした物はないですね」

「私物は王宮に置いてきちゃったからねぇ。まっいっか」

「お前ら裏切るつもりかよ!」

「別にロタリンギアに恩がある訳でもないし」

「先輩達共も、これといった接点ないですから。それに、どう見ても私達戦闘向きじゃないから」

「「ねぇ～」」

　こいつら双子か？　後で聞いてみよう。それにしてもクールだな。残された先輩方が可哀そうに見えてくる。爽やかイケメン君とヤンキー君はこちらには来ないだろう。悩んでる奥村さんは引き抜きたいな。

　テントの外に出てジンさん達と打ち合わせ。ラルくんがルーくんに飛びつきじゃれあってます。ほんと仲良しだね。

「で、そいつらと模擬戦すれば良いのかよ？」

「はい、コテンパンにやっちゃってください」

「私、パース。接近戦得意じゃないのよね～」

　ローザリンデさん、嘘はいけませんよ。あなたの格闘センスはジンさんから聞いています。ジンさんが手も足も出ないそうじゃないですか。面倒くさいだけでしょう。

「その者達は何者なんだね？」

「ロタリンギアの隠し玉です。レアスキル持ちで将来は英雄となりうる者達です。自分と同郷の者なので説得したのですが……自信過剰な者が居まして」

「出る杭は打つ。と言う訳だな、少年」

　ちょっと違うかも……レティさん、その嬉々とした笑顔やめません？　どう見ても悪女の顔ですよ。綺麗だから尚更凄味があるんですけど……。

　どうやら、向こうの準備もできたとようだね。見つからないように陣の外にでないと。レティさんお願いします。

　向こうもわかっているようで、おとなしくついて来ている。

　陣から離れると義賊ギルドの人達と思える者が数名姿を現す。全く気が付かなかった……。レティさんが反乱軍の陣を見張るように指示を出すと消えるように居なくなったよ。

「何者だ？」

「あなた達が闇落ちしたら、ああ言う人達に命を狙われるって事です」

「何気に、ネロさんって凄い人なんですか？」

「そうだよね。敵陣まで僕らを説得に来るくらいだからね」

「「もしかして、勝ち組!？」」

　オイオイ……知り合いに人使いが荒い人が多いだけなんだよ。

「この辺で良いんじゃねぇか？」

「そうですね。時間もありませんし始めましょう」

　向こうは宗方姉を除いた四人が戦うようだ。宗方姉は能力的にまだまだなのでしょうがない。本人もそれがわかっているから辞退して観戦に回るようだね。うちに来るのは確定しているので、無理に戦う必要も無いと考えたのかも知れない。

　宗方弟の方は、自分の勇者としての実力が知りたいと言う事で模擬戦に参加するそうだ。

　こちらからは、ジンさん、グレンハルトさん、レティさん、俺が出る。

　俺の相手は爽やかイケメン君に決定だ。力だけなら相手の方が上だけど、スキルの差で圧倒できると思う。コテンパンにやっつけて、勇者としての自惚れを完膚なきまでに叩き折ってやろう。どうでしょう？　ミーちゃん。

「み～」

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　ネロが鑑定した勇者の能力にゃ。

　遠藤勇　ゴブリン百五十匹分の強さ

　剣術技　身体強化　感覚強化　統率 (レア)自分が戦闘で前に立つと周りの能力や士気が上がる

　宗方歳三　ゴブリン七十匹分の強さ

　槍技　身体強化　炎　気配察知　乾坤一擲 (レア)ここぞと言う時に運気が大幅に上昇

　陸山総司　ゴブリン九十匹分の強さ

　剣技　身体強化　恐怖軽減　下克上 (レア)自分より強い相手と戦う時、力が倍増する

　奥村真　ゴブリン百二十匹分の強さ

　剣技　盾術　身体強化　土　明鏡止水 (レア)如何なる状況においても冷静な判断ができる

　宗方香　ゴブリン五十匹分の強さ

　弓技　遠目　身体強化　気配遮断　百花繚乱 (レア)植物の成長を早める。