敵味方!? 勇者が来たみたいですよ~。

179神猫 ミーちゃん、緊急会議です!

 家に戻りユーリさんが戻るのを待って、全員で緊急会議です。



「では、二日後にこの王都で反乱が起こると言う事でございますか?」


「はい、ゾルムス家に縁のあった者達も参加するそうで、なんか俺が逆恨みされて狙われてるみたいです」


「ゾルムス家ですか……」


「ゾルムス家とはなんですか?」



 ユーリさん達は知らないからね。簡単にルーくん誘拐事件について語って聞かせる。



「なんだ、ルー誘拐されたのかぁ。なっちゃねぇなぁ~」


「がぅ……」


「それで、少年はどうするんだ? ここで迎え撃つのか?」


「いえ、王宮に匿ってもらう事になっています。なので、レティさんとルーさんにはこの家の事をお願いします。俺が居なければここには来ないと思いますが、万が一と言う事もあります」


「わかった任せろ!」


「私は少年について行った方が良くないか?」


「大丈夫です。闇ギルド関係がここに来た場合、レティさんじゃないと対応できないと思います。それから、セラは馬小屋の方を警護して欲しい。スミレは王宮に行くから、他の馬達とバロが心配だからね」


「にゃ!」


「ユーリさんはこの騒ぎが収まるまで、パミルさんの所に泊まってください。パミルさんなら嫌だとは言わないでしょうから。カイも一緒だからね」


「わかりました。お願いしてみます。この件は話しても良いですか?」


「ゼストギルド長は知ってると思いますので、ゼストギルド長に許可を頂ければ構いません」


「あのう……私達は……」


「イルゼさん達は明日は普通に屋台を出してください。明後日は丁度良いので休みにしましょう。ですが、外には出ないでくださいね」


「わ、わかりました」


「ペロはどうするにゃ?」


「俺とミーちゃん、ペロ、ルーくん、ラルくんは王宮に行くよ。ペロ達が居ればレーネ様も不安にならないと思うからね」


「任せるにゃ!」


「がう」


「きゅ~」


「王都内での反乱は短期間で終結しますので安心してください。もちろん、反乱軍の負けと言う形でね」


「み~」



 翌朝、みんなと朝食をとった後、王宮に行く準備をする。その時にレティさんに俺の持つAF投擲のダガーを渡しておいた。



「これは?」


「AFの投擲のダガーです。俺が持ってるよりレティさんが持ってる方が役立てられるでしょう」


「売るかもしれんぞ。少年」


「信頼の証として渡すんです。好きにしてください」


「私は少年の物なんだがなぁ……」


「何度も言いますが、レティさんは物じゃありません。一人で考え一人で行動できる、人なんです。そこんとこ、忘れないでくださいね」


「善処しよう……」



 王宮に向かう途中、第一騎士団とすれ違う。予定通りのようだ。


 王宮に着くとレーネ様の熱烈な歓迎を受ける。セラが居ない事に残念がっていたけど、大好きなペロが居るので問題ない。


 ミーちゃんは、ルカとレア、ノアにペロペロ攻撃を受けニヤケ顔で撃沈されてます。ルーくんとラルくんは、ニーアさん達にモフモフされ嬉しそうです。



「良く来てくれたわ。王宮の雰囲気にレーネが少し不安になってたので、ネロ君達が来てくれて助かります」


「こちらこそ、匿っていただき感謝致します」


「ネロ君て、そんなに人の恨みを買うような事してたんだ~。意外ねぇ」



 エレナさん、失礼な言い方やめてください。逆恨みですからね、逆恨み。



「それよりも、第一騎士団を王都から出して大丈夫なんですか?」


「第一騎士団が王都に居ないとなれば、反乱軍は急いで王都に向かって来るでしょう。そう、無理をしてでもね。おそらく、足の遅い輜重兵などを無視し兵站が滞る事になったとしても、第一騎士団が居ない間に王都を攻めたいと思うでしょうね」



 そんなものでしょうか? 学校で歴史を学んできた者としては、ロジスティクスの重要性は嫌と言う程教えられて来た。間抜けな指導者のせいで、物資の乏しい国が物資の豊富な大国に喧嘩を売る愚かしさ、無能さ、そして狂気。補給無くして戦線の維持は無理と思わないのかな?


 まあ、そこが今回の狙い目なんだろうけど、もう半分は策に嵌った状態だから俺から言わせれば間抜けとしか言いようがないね。



「騎竜隊が近くに居る事も知られてないから、嬉々として攻め込んで来るわよ」


「王都内での反乱分子の制圧は大丈夫なんですか?」


「ネロ君のお陰で義賊ギルドがこちらに付いてくれたので、反乱軍の動きが手に取るようにわかるわ。それに、ジクムント殿達と我々の兵を街中に潜ませています。こちらの合図で一斉に制圧行動に入る手筈になっているから安心して良くてよ」



 王都内の反乱分子を反乱軍が到着する前に制圧して、満を持して反乱軍と向かい合う。となると、やっぱり勇者が問題になって来るよね。どんなスキルを持っているのかがわからないのが不安だ。虎の子の騎竜隊に被害が出るのは芳しくない。


 先ずは説得して駄目なら、ラルくん投入かな……ドラゴンブレスの攻撃を受ければどんな精強な兵でも浮足立つでしょう。戦争を知らない現代日本人なら尚更。最初に恐怖心を植え付けてトラウマにしてやれば、メンタルの弱い奴なら引き籠るかも。ニートってやつだ。ニート勇者、良いじゃないですか!



「み~」



 ルカとレア、ノアがミーちゃんとの挨拶が終わり俺の足元でスリスリ、今度は俺に挨拶をしてくれるようです。憂い奴らよ。チュッチュッしてムニュムニュしてあげましょう。


 ミーちゃんは王妃様にご挨拶のようです。流石、ミーちゃん。この間の神猫屋開店の時のお礼も兼ねた挨拶だね~。



「み~」





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