177神猫 ミーちゃん、ミーちゃん専用アズキアイスは三倍濃いです。

 家に着いた時にはもう昼過ぎ、ユーリさんとカイは先に昼食をとってハンターギルドにご出勤。


 俺達もみんなで昼食にした。レティさんも昼食に降りてきたけど、ヤン君家族が固まっている。神猫商会の警護担当と紹介してなんとか再起動。レティさんは気にした様子もなく、腹減ったぁーとペロとセラの姿がダブって見えてしまった……。


 昼食後はカヤちゃんの水スキルの訓練。イルゼさんには餡子とみたらし団子のたれを伝授。ルーさん達には餅つきをしてもらう。暇だろうレティさんにも手伝わせた。面倒くさいなどとブーブー言っていたけどね。


 夕方、一通りの材料が揃ったので実演してみせる。うちのメンバー、呼んでもいないのに勢揃いでお座りしてますよ。


 お餅はミーちゃんバックから切り餅を使います。つきたてのお餅も、もちろん味わいますよ。つきたてのお餅は最高だからね。


 お餅を屋台のコンロで焼いて串に刺し餡子をたっぷりつける。醤油ダレにつけて再度コンロで焙ると、香ばしい匂いが鼻をくすぐる。ルーくんよだれが垂れてますよ。


 全員に味を見てもらうと、みんな幸せそうな顔をしている。レティさんもブーブー言ってたけど一口食べたら黙ったね。



「にゃんど食べても旨いにゃ~」


「にゃ~」


「がう~」


「きゅ~」


「これは……素晴らしいできでございます」


「ヴィルヘルムの帳簿の意味が理解できました」


「「美味しいです~」」


「これは、食べ応えもあるな」


「……おかわりくれ」



 そうでしょう、そうでしょう。王都ベルーナでも十分に売れると思ってます。ベルーナは公都ヴィルヘルムより街の規模も人口も多い。十分に期待できる。



「「「……」」」



 ん? ヤン君家族は無言です。無言で食べてます。何故?


 次はアイスキャンディーにフローズン、無糖のアイスティーを作り好きな物を選んでもらう。


 ペロは両手にアイスキャンディーを持って舐め比べ、その隣でレティさんがペロと全く同じ事をしている。既視感デジャヴュなのか!


 ヤン君とカヤちゃんは目を丸くして舐めてます。


 ミーちゃんはミーちゃん専用いつものアズキアイスに夢中です。売り物のアズキバーより三倍濃い味だそうです。本猫談。



「み~」


「これを私達が売るんですね……」


「はい、この屋台神猫屋を使ってです」


「お母さん、頑張ろうね!」


「えぇ……」



 そう言えば、エプロンも作らないとね。後でララさん達にお願いしよう。



「ネロ様、ベルーナにお店は出さないのですか?」



 カティアさんがもっともな質問をしてきた。



「作りたいのはやまやまなんだけどね。そこまでの資金は今のところ無いね」


「今の神猫商会であれば、商業ギルドから借りる事もできますが?」


「必要ないと思います。身の丈の商売をしましょう。それで余裕がでれば店を構えれば良い訳で。ヴィルヘルムには支店がありますから、この屋敷をベルーナの事務所とすれば荷馬車隊での交易も可能ですので」


「荷馬車隊での交易をお考えなのですね」


「はい、二ヶ月に一度ぐらいで考えてます。ブロッケン山越えのルートで」


「今、ブロッケン山は通れないと聞いていますが……」


「もうすぐ通れるようになりますよ。神猫商会だけなら今でも通れますけどね」


「がう」


「にゃ」



 問題は人の手配だよね。それが一番難しそう。



「荷馬車隊かぁ。そん時は俺が護衛の指揮を執ってやるぜ」


「ルー兄ぃがやるにゃらペロもやるにゃ!」


「にゃ!」



 なんとも頼もしい限りです。その時は、お願いしますね。



「凄腕ネェーちゃんもやらにゃか?」


「モグモグ……私は……モグモグ……遠慮しておこう。ヒルデンブルグは暑すぎる……モグモグ」


「そうにゃか。残念にゃ……」



 レティさん、そんな残念がるペロの頭をなでなでしてあげてるけど、団子を手放す気は毛頭ないらしい。



「そう言えば、クイントの流れ迷宮の迷宮探索の依頼が上がってたぜ」


「ゴブリンとの戦いが始まった今、そんな余裕があるんですか?」


「だからこそじゃねぇ。低階層で貴重な素材が取れるんだ。先に進めばもっと良い素材が手に入る。それを武器防具にすればゴブリンとの戦いに役に立つって事だろう」


「王都に依頼が上がるのはなんでですか?」


「マップスキル持ちが居るのと、今王都周辺に中堅ハンターが集まってるからだろう。中堅ハンター達はギルドの招集が掛かるのを待ってるからよ」


「ルーさんやりたいんですか?」


「やりたい! だが、前提条件がネロが一緒って事だな」


「迷宮にゃ? ペロも行ってみたいにゃ!」


「にゃ!」


「うーん、今は無理ですね。王都のゴタゴタが終わらないと離れられません。向こうに拠点があれば別ですが……」


「拠点があれば良いんだな。じゃあ簡単だ。蒼竜の咆哮で使ってた家がそのままだ、そこを使えば良いぜ」


「メンバーは?」


「俺にネロ、ペロ、セラ、あと三人くらい必要だな」


「僕は駄目ですか?」


「あの迷宮は、ヤンには厳しすぎる。今回は留守番だな」


「残念です」


「レティさんを入れましょう」


「ん? 遠慮しておこう」


「駄目です。俺とミーちゃんが行くんですから、神猫商会の警護担当として出向いてもらいます。迷宮の中は涼しいのでレティさんでも快適ですから」


「ぐぬぅ……」


「あと二人だな、盾役と後衛が欲しいところだな。探してみるわ」



 ペロに先行して行ってもらい転移装置の板を拠点に置いてもらえば、移動は気を付けて使えば問題ないと思う。それに、迷宮には興味もあるしね。



「み~」





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