170神猫 ミーちゃん、ヤン君家族を雇いたいです。

 イルゼさん、ヤン君、カヤちゃんを座らせて、ララさんにお茶の用意をお願いする。


 カヤちゃんがミーちゃんにくぎ付けになってるので抱かせてあげると、とても愛おしそうに抱いて頬と頬をスリスリしてます。



「み~」


「わざわざ、ご足労をおかしまして申し訳ありません。午後にお伺いしようと思っていたのですが来て頂けるとは」


「いつも息子がお世話になっているネロさんから何かお話があると聞きましたので、私どもがお伺いするのが筋と言うものです。お気になさらずに」



 本当にまじめな方のようです。



「それで、私どもにお話とはどのようなお話なのでしょうか?」



 イルゼさんの顔には不安の色が見られるね。



「ヤン君から聞きましたが、お仕事をお探しだとか」


「はい、お恥ずかしい限りではございますが、私が体調を崩してしまったばかりに、少なからず借金をしています。今はヤンの稼いできたお金で一日をやり繰りしておりますが、私の体調も良くなりましたので私も働き少しでも早く借金を返したいと思っています」


「そこでです。これも何かの縁です。その借金を私の方で肩代わりしますので、うちで働いてみませんか? 住む場所もご提供いたします」


「み~」



 イルゼさんは怪訝な面持でこちらを伺っている。当然だろう。いかに息子の知り合いとは言え、そこまでされる義理も筋合いもないと思っているだろうからね。



「安心してください。変な事をさせるつもりではありません。はっきり言えば、イルゼさんと言うより、カヤちゃんの水スキルが必要なんです。ですので、お二人一組で雇いたいと思っています」



 カヤちゃんはミーちゃんを抱いたまま、私? って顔をしてるね。



「水スキルですか? 掃除、洗濯くらいにしかお役に立てないと思いますが……」



 まあ、普通ならそうだろうね。なので実演してみせる。コップと水を用意してもらい、イルゼさん達に見えるようにして最初は沸騰させて次に凍らせてみせる。



「私も水スキル持ちです。カヤちゃんも練習すれば、今見た事ができるようになります」



 ヤン君、イルゼさん、カヤちゃんは目が点になって微動だにしない。


 今度は果汁水を用意してフローズンと、ハチミツを入れてアイスキャンディーを作ってイルゼさん達に試食させる。



「「「美味しい……」」」



 そうでしょう、そうでしょう。この王都ベルーナでも十分に売れると踏んでます。



「これをカヤちゃんに作ってもらい、イルゼさんに売ってもらいます。これ以外にも売るものはあるんですけどね。如何ですか?」


「どこで売るのでしょうか?」


「狙いは中央広場。屋台で売ってもらおうと思います」


「確かに美味しいものですが、売れるのでしょうか?」


「ヒルデンブルグ大公国の公都ヴィルヘルムでは、並んで買うほど人気があります。まあ、すぐには無理ですが売れると思っています」


「み~」


「住む場所をご用意して頂けるとの事ですが、お給金の方はどうなるのでしょうか……」



 まあ、そこは心配所ですよね。



「屋台と材料を毎日運ぶわけですから近い方が便利でしょう。うちはこの通り大きく使っていない部屋も多くあります。一階の部屋はうちで働いてくれてる方達に使ってもらっているので、イルゼさん達にも使って頂ければと思います。給金に関しては固定給で考えていますが、歩合でも構いません。借金の返済は給金から天引きとさせて頂きます。月、二十万レト、部屋代食事代込でどうでしょうか? もちろん、売上が上がれば昇給します」


「み~」


「そ、それは、本当の事でしょうか?」


「納得頂けませんか?」


「いえ、余りにも条件が良すぎるので……」


「決めるも決めないも、イルゼさん次第です。ゆっくり考えてから決めてくださって結構ですので」


「わ、わかりました。一度、家族で相談して後日お返事させて頂きます」



 そう言ってイルゼさん達は帰って行った。お土産にミーちゃんクッキーを持たせてあげたよ。



「み~」




 昼近くになるとペロとセラ、ルーさんが降りてきた。



「ふわぁ~。良く寝たにゃ」


「休養は大事だからな」


「にゃ」



 お腹が空いて起きたってところだろう。腹ペコ魔人共は。



「プリンにゃ!」


「にゃ!」



 ペロとセラに目敏く、明日のお茶会に持っていくプリンを作っていたのを見つけられてしまった。


 今回は牛乳を使ったちょっと贅沢な焼きプリンにしました。



「一人、一個だからね」


「にゃにゃ! ケチにゃ!」


「にゃ!」



 なんとでも言うが良い。前にも言ったけど、卵と牛乳は大量買いができない。今回の分はララさんとヤナさんに走り回って買って来てもらったものです。味わって食べなさい。


 みなさんとろけるような笑顔で食べてます。ララさんとヤナさんも走り回ったかいがあると言う満足顔です。


 ユーリさんとカイも幸せそうな顔をしています。ルーさんは甘い物が得意じゃないようでペロとセラに分けてあげたようです。


 ちなみに、ミーちゃんは餡子舐めてますよ……。



「み~!」



 残りは冷やして明日行く前にでも、カティアさんにラッピングしてもらいましょう。


 服の用意もお土産も万端、後は行くだけ。


 ミーちゃんも準備できてるよね。



「み~」





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