171神猫 ミーちゃん、噂になる程可愛いそうです。
もうすぐ二の鐘がなろうとしている。
ジンさんが連れて来た護衛は、絶剣ことグレンハルトさんとローザリンデさんでした。まあ、予想通りだね。ジークさんはお留守番だそうです。
ミーちゃん、ローザリンデさんにチュッチュッされてます。
「み~」
「ネロ、見違えたな……」
馬子にも衣裳って言いたいんでしょう。そんな事人に言われなくてもわかってますよ。
二の鐘が鳴ると同時くらいに立派な馬車がハンターギルドの前に横付けされる。青白い顔の男が、御者台から降りてきて馬車の扉を開けた。
「ネロ様とジクムント様ですね。どうぞお乗りください」
ジンさんに続き乗り込み最後にグレンハルトさんとローザリンデさんが乗り込む。扉が閉じられすぐに馬車が動き出す。南区の市民街を抜けて向かった先は北区の貴族街。ジンさん達はさも当然と言う顔をしています。
「貴族街なんですね」
「当然だぜ、貴族街ったって全て貴族が住んでる訳じゃねぇ」
「大店の商人や金持ちも住んでいる」
「義賊の頭なら当然ねぇ~」
馬車はどちらかと言うと質素な佇まいの屋敷の門を通り中に入って行く。
馬車は玄関前に付けられ屋敷の使用人が馬車の扉を開ける。最初にグレンハルトさんとローザリンデさんが降り、俺が降りて最後にジンさんが降りる。
ミーちゃんがブルっと震えて俺にしがみつき遠くを見ている。視線を感じる。それも良くない視線だね。直感スキルは何も言ってこないから気にしなくて良いのかな。ジンさん達は気付いてない?
「どうぞこちらへ」
使用人に案内され屋敷の中に入ると外の質素な雰囲気と違い、目が痛くなる程の赤で統一された豪華さになっていた。
「ケバイな……」
「血の色と言うところか」
「趣味わるぅ~」
「あら、皆様にはご不興のようですわね」
二階から、見た目の姿は貴婦人、醸し出す雰囲気は肉食獣と思えるオバさn……綺麗なお姉さんに睨まれました……。俺はKYじゃないからね。
「まさか、五闘招雷の御二方までいらして頂けるなんて感激です」
「ネロと申します。本日はお招きに預かりまして光栄です」
「そうあなたがネロ君、可愛いわね。それに噂に
噂に
「みぃ……」
ミーちゃん冗談だって、冗談。そんな目で見ないで……。裏社会、気を付けねば。
その後、ジンさん達が自己紹介をしてから部屋に案内された。案内された部屋も豪華絢爛、言っちゃ悪いけど成金趣味過ぎて逆に軽薄に見えてくる。
「商人のネロ君になら気に入ってもらえると思っていたのだけれど、気に入らなかったかしら?」
「商品としてなら気に入りました。自分が欲しいかと聞かれたら不要と答えますね」
「はっきりと申しますわね。でも、同じ意見よ。この家はそう言った物を欲しがる人達を相手にする為のものですから。皆様をお呼びするには相応しくない事は、お詫びします」
全員がテーブルにつき使用人の方がお茶を入れる。壁際に控えた使用人を手招きして、お土産に持って来た焼きプリンを渡して配るように頼む。
「あら、なにかしら?」
「お茶にお呼ばれされたのですから、お菓子くらいはご用意させて頂きました」
「それは楽しみね」
使用人の方がミーちゃん用にミルクを用意しようとしていたのでお断りさせてもらい、いつものミーちゃんのお皿にミネラルウォーターを出してあげる。
ミーちゃんはテーブルにちょこんとお座りして、お澄まし顔。ミーちゃんはなにをしていても可愛いです。
「お茶の用意も整いましたので、皆様がお知りになりたい
そう言って話しだした女性、ミストレティシアさん。現義賊ギルドの女帝の娘で次期女帝を継ぐ人みたいです。俺達を呼んだのは現女帝だけど、病に臥せっている為ミストレティシアさんがここに居るとの事。なんの為か、よくわかんない。なんなの?
ミストレティシアさんが話を進める間に焼きプリンも配り終わっている。
「それでは、話は追々と言う事で……せっかくネロ君が持って来てくれたお菓子を頂きながらお茶を頂きましょう」
みなさん、食べた事が無い焼きプリンに興味津々です。ローザリンデさん一口食べた瞬間、表情が変わりました。ミストレティシアさんは表情を変えず食べてます。
「甘ぇな……」
ジンさんのお口には合わなかったようです。ローザリンデさんがサッと自分の食べ終わった容器とジンさんの容器を早業で交換したのは見事でした。
「クイントのハンターギルドで同じような物を食した事がある。あれもネロ君が考えたものなのかな?」
「考えたのは俺ではないですけど、レシピは渡しました。グレンハルトさんの食べたものよりちょっとだけ贅沢に作ったものです」
「成程、贅沢か。濃厚で滑らか甘さも十分。庶民の味と言うより王侯貴族が好む味だな。庶民では手が出せん値段であろう」
「材料も比較的手に入りやすく作り方も簡単なんですけど、やはり砂糖が高いですね。なのでクイントでは砂糖ではなく、ハチミツで代用してます」
「この旨さの差は、砂糖とハチミツの差なのか」
「どちらも美味しいですけど、後は好みの問題かな」
なんて談笑してるんだけど、これで良いの?
「み~」
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