159神猫 ミーちゃん、神猫商会の代表としてネロの仕事ぶりを見守る。

 午前中は神猫商会仮事務所に籠り、午後はシュバルツさんの店で荷ほどきのお手伝い。神猫商会についてカティアさんに合格点がもらえる事業方針、年内予定などの書類を作成する事ができた……。つ、疲れたよ。


 シュバルツさんの所も、甥御さん達が到着したのでお手伝いは今日まで。



「ミー様、ネロさん。本当にお手伝い頂き感謝の念で一杯でございます。明日からは甥と姪を扱き使いますので、どうぞご自分達の為にお時間をお使いください」


「わかりました。開店前に連絡ください。卸す品の件もありますから」


「み~」


「開店はまだ先の事になりますが、その時にはご連絡いたします」



 ミーちゃんもお疲れ様でした。代表として癒しと激励を感謝します。お礼にムニュムニュしちゃうぞ~。



「み~」



 ルーさん達も順調のようでギルドでの話を楽しくみんなに話してくれる。



「竜爪のジクムントさんに声を掛けられた時はドキッとしたぜ。よう、にゃんこ共って。あれ? 俺、面識あったっけ? ってよう。てっきり因縁つけられたって思ったぜぇ」


「にゃははは! あの時のルー兄ぃの顔、真っ青だったにゃ」


「にゃ」


「だってよう、あのジクムントさんだぜぇ。ギルド長にも驚いたけどよう。竜爪はねぇわぁー」


「ジンさん、なんだって?」


「ネロを呼んでたにゃ」


「じゃあ、明日一緒に行こうか」


「ネロの人脈の広さは半端ねぇな……」


「そうですか? 今度、王宮行く時ついて来ます?」


「いや、遠慮しとくぜ……」



 ルーくんとラルくん、みんなの足元を行ったり来たりして楽しそう。二人はとても仲良しになったので、この頃はいつも一緒。ベン爺さんに外で遊んでもらったり、ララさんとヤナさんにモフモフされたりブラッシングしてもらったり、本当はこれが年相応の事なんだと思う。ずっと旅に連れ回していた事ちょっと反省しています。


 後はスミレかな、心配はしていないけどいつ帰ってくるんだろう? と言うよりどこまで行った? 自分の速さと他の馬の速さの違いに気付いているよね? ある意味そこが心配と言えば心配だね。


 やる事は、粗方やったから少しゆっくりしようか。


「み~」



 翌朝はペロ達と朝早く出てハンターギルドに向かった。ギルド内は依頼を受けるハンターでごった返している。



「ネロさん!」


「やあ、おはよう。ヤン君」


「み~」


「ミーちゃんはいつも可愛いね」


「み~」


「依頼を探しに来たのかい?」


「そうなんですが、良いのがなくて……」



 ヤン君もそろそろ外に出る年頃なんだけど、お母さんの件があり他の子達より出遅れているそうだ。他の子達はそれぞれパーティーを組んで知り合いの中堅ハンターさん達の荷物持ち兼、見習いハンターとして街の外に出ているらしい。


 街中の仕事もあるけど、ヤン君より下の子達に譲っているみたいで良い依頼がなかなか見つからないようだ。



「ペロ! ヤン君も一緒に連れてってあげなよ」


「おぉー、それは良いに。ペロがビシバシ鍛えてやるにゃ!」


「あー、ルーさん。よろしくお願いしますね」


「にゃ、にゃんでにゃー!」


「で、でも、僕外に出る装備なんて持って無いです」



 ミーちゃんバックの中身を確認したけどヤン君の体型に合う装備はなさそうだ。武器は、小剣とダガー、妖精族製の弓と矢ってところかな。妖精族の作る弓矢は人族の作る物より性能が良いので有名だったらので、パトさんにいくつか譲ってもらっていた物。


 鎧は、近くの防具屋でレザーアーマー一式でも買えば良いでしょう。



「こんな凄い装備、僕には払えません……」


「今度、ヤン君に頼みたい事があるからね。貸しって事にしておくよ」


「じゃあ、ペロ頼んだよ。これで防具もそろえてやってね」


「ふんっにゃ。ヤンにゃん行くにゃよ。べーにゃ!」



 ギルド内を見回していつもの席にジンさんが居る事を確認してから、まだ眠そうな顔をしているテラとカイの所にミーちゃんを連れて行く。テラとカイはミーちゃんが傍に寄るとミーちゃんにすり寄って眠ってしまった。ミーちゃんはそんな二匹をペロペロしてます。



「何かあったんですか?」


「嗚呼、あった。非常に不味い事がな」


「なんです?」


「ヴィッテルスバッハ候の後ろに、ロタリンギアがついてる」


「どこでその情報を?」


「昔の仲間からだ。別件で動いてもらってたらこの話を持って来やがった」


「この時期にロタリンギアが動くメリットってなんでしょうね?」


「さあなぁ。その辺の事は俺にはわからねぇぜ」


「宰相様には?」


「まだだ、今から行く。どうせだからネロも一緒にと思ってな。ロタリンギアに行くとか言ってたからよ」


「わかりました。今、スミレが居ないので俺の分の馬も用意してもらえますか?」


「任せろ。すぐに用意させる」



 ミーちゃんはテラとカイと一緒に丸くなっている。ミーちゃんに王宮に行って来るからここで待っててと言っておいた。



「み~」



 ついでにパミルさんがいたのでミーちゃんの事を頼んでおく。そこまで遅くならないと思うけど、猫缶とミネラルウォーターをパミルさんに預けておく。もちろん、テラとカイの分もね。


 さてと、じゃあ行きますか。


 それより、俺って馬に乗れるのかな?


 心配です……。





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