155神猫 ミーちゃん、餡子の供給元を見つける。
屋敷の中に入ると、昨日まではなかった絨毯やカーテンなどが備え付けられていた。
玄関から入ったすぐ横にあるリビングルームに案内される。お客様用の応接室は別にあるそうです。
ソファーに座るとララさんとヤナさんがお茶の支度を始める。セラ、ルーくん、ラルくんは陽あたりの良い窓際で丸くなって日向ぼっこ。この屋敷は林に囲まれているので、緑の香りを含んだ清々しい風が部屋に入り込んでくる。
ここに居る全員分のお茶を用意してもらい、ルーカスさん達も座ってもらう。最初は立ったままで結構ですと言われたけど、こっちが気になるから座ってくださいとお願いした。
お茶を一口飲み、ミーちゃんをモフりながら話を始める。
先ず初めに貴族じゃない事、神猫商会を持っている事、こんなに大きな家だとは思っていなかった事、など俺に関する事を話した。
「今、ネロ様がお話になられた事は宰相様よりお聞きしております。何かご不安な点でもございますか?」
「そうですね。この家、土地の維持費はどの位掛かりますか?」
「我々の給金は王宮持ちとなり、屋敷、土地の維持費は年間二千四百万レト王宮より支給されると聞いております。これは我々使用人の住み込み代、及び食事代が含まれております。ですので、実際に掛かる費用はみなさまのお食事代、贅沢品などになると思われます」
「お金の管理は俺がするのですか?」
「お任せ頂けるのであれば財産管理は私と妻でおこないます。ネロ様は商会をお持ちですので、商家の出での私の妻はお役に立てる事もございますでしょう」
「それは助かります。事務関係をどうしようか迷っていた所です。それから、食事の用意はどうなります?」
「私の妻とララさん、ヤナさんが担当致します」
と言った様な事を、話し合っていった。
ルーカスさん夫妻は三十代前半、ララさんとヤナさんは幼なじみだそうです。ベン爺さんは元は貴族の使用人だったそうですが、歳を理由に解雇されたそうです。
「最後にセラ、ルーくん、ラルくんは世に言うモンスターですが、みんな良い子です。嫌がる事をしなければ、触ってもモフモフしても構いません。逆に喜ぶと思います。モンスターと言う偏見だけは持たないでください」
ヤナさんはさっそくペロをなでなでしている……ペロは妖精族だよ。
「ルン《リアル獣顔の獣人》じゃないのですか?」
「ペロはケットシーにゃ。先祖は同じかもしれにゃいけどにゃ。くすぐったいにゃ……」
「それじゃあ、みなさんよろしくお願いします」
「み~」
「さっそくで申し訳ありませんが、ルーカスさんとカティアはこのまま残ってください。財産管理についてお話を聞きたいので。あっ! 今日のお昼は用意しなくても良いですよ。自分の方で用意しますので。もちろん、みなさんの分もです」
ペロ達はスミレと牧場の方に行くようです。ベン爺さんと一緒に出て行きました。
ララさんとヤナさんは俺達が今日から寝る部屋の掃除と準備をするそうです。昨日大掃除したばかりじゃないの? と言ったら、掃除は毎日しないと駄目ですって言われてしまった。なんとなくニーアさんが俺では屋敷を維持できないって言ったのがわかった気がしたよ。
「さてと、財産管理という事ですがどうすれば良いのでしょうか?」
「ネロ様の今の資産はいか程ですか? 商会の資金も合わせてです」
「現金で八千万レト、ヒルデンブルグ大公国の公都ヴィルヘルムに支店が一つ。骨董品などの資産が多数と言ったところでしょうか」
「み~」
烈王さんから預かった残りのお金と宝石は入れていないよ。これを使う時は非常事態の時だね。隠し財産って事にしよう。
「それでは現金の四千万レトをこの家の財産として、年二割から三割の収支を見込んだ運用をさせて頂きたいと思います。これ以上の収支を見込まれる場合は少なからずリスクが発生致します。いかがでしょうか?」
「問題ありません。リスクは少ない方が良いです」
「先程も申しましたが、妻は商家出ですので当面は妻に事務関係を任せればよろしいかとおもいます。商会が忙しくなった時に新たに人を雇えば良いと思われます。商会用の部屋を準備させましょう。カティア頼むよ」
「はい。後程で構いませんので、これまでの取引書類を見せて頂けないでしょうか? 神猫商会の詳細がわかりませんので」
「まとめて無いですが構いませんか?」
「私に寄こして頂ければ、私の方でまとめておきます」
という事なので、お任せする事にします。ミーちゃんから関係書類を出してもらいカティアさんに渡すと、さっそく目を通している。
「取引先が凄い所ばかりですね……それではお預かり致します」
ルーカスさんに渡すお金は、この屋敷にある執務室の金庫に入れる事になった。執務室はルーカスさんの常駐部屋になると思う。俺は使う予定無いしね。
お昼は、ささやかながらパーティー気分を味わおう。
ダイニングルームのテーブルにミーちゃんバッグから料理を出して並べていく。ミーちゃんバッグの中には大量に料理が入っているから消費しないと溜まる一方。
みんなが集まりジュースで乾杯。ベン爺さんとセラはワインです。立食形式にしたので思い思い皿に取って食べている。ミーちゃんは猫缶なんだけどね。美味しい?
「み~」
セラやルーくん、ラルくんにはララさんとヤナさんが取り分けてくれている。カティアさんは一口食べては目を丸くして、また一口食べては目を丸くするを繰り返している。
「これはネロ様が作ったのでございますか?」
「半分くらいかなぁ」
「料理スキル持ちなのでございますか?」
「持ってないですよ。味の秘訣は調味料です」
ニンニク油やケチャップ、マヨに味噌と醤油などをミーちゃんに出してもらう。
「これが調味料ですか……見た事の無い物ばかりでございます」
「一杯あるので、自由に使ってください。ついでにレシピも渡しますね」
「……」
カティアさんは目が点になってるね。これを渡しておけば、自分で作らなくても美味しい料理が食べれるからね。
餡子も作ってもらおうか?
「み~!」
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