154神猫 ミーちゃん、新しい家に移る。
ニーアさんの説明では、この辺一帯の荒れ地は全部俺とミーちゃんの土地らしいです……まあ、広いけど荒れ地だからね。さして使い道が無い。
スミレを牧場に放してからニーアさんの続きを聞く。
牧場の端に広い畑があり井戸と水路がひかれてる。わざわざ、畑に適した土を運んでくれたそうです。家庭菜園をイメージしていたのですが……何を植えろと?
お屋敷の建物とは別に離れに繋がった建物があり中を覗くと……お風呂でした。結構大きなお風呂なのでみんなと一緒に入れるね。
「み~」
メインの屋敷はでかいの一言。寝室だけで二十部屋あるそうです。ララさん達が住み込みだから自由に使ってもらおう。見て回った結果、一番大きな寝室で俺達全員十分な広さだと思う。みんなに一部屋ずつあげるよと言ったけど断られた。ペロなんか喜ぶかなって思ったけど、一人で寝るのは寂しいそうです。好きなだけ転がって寝れるのにね。
「今日中に掃除は終わりますので、明日からお住まいになられますか?」
「そうですね。宿代も馬鹿にならないので移ります」
「承知しました。それから、アンネリーゼ様からネロ様にウイラー道具店の主が王都に着いたとお伝えするように承ってます」
流石、王妃様……いつの間に調べたんだ。それにしても、シュバルツさん着いたのか、この後行ってみよう。
「み~」
この後、ララさんとニーアさんを交え簡単な打ち合わせをして、最終チェックに来ていた大工さんに馬屋の柱を加工して転移装置の板を入れ厳重に蓋をしてもらい屋敷を後にした。それにしても自分達の家かぁ。感慨深いね。
「み~」
「これはこれはミー様にネロさん、それに皆様、お久しぶりでございます。新しいお客様もようこそおいでくださいました」
「無事に王都に着かれて安心しました。シュバルツさん」
「み~」
「お久しぶりにゃ」
「にゃ」
「がう」
「きゅ~」
「まだ、着いたばかりなので、このありさま。店を開けるには当分かかります」
店の中は箱で埋め尽くされている。棚などはないのでこれから用意するんだろう。お店の広さはクアルトのお店の倍以上ある。
「ここをシュバルツさんだけで切り盛りするのですか?」
「流石に私一人では無理でございます。数日後に甥と姪が手伝いに来る事になっています」
「それなら安心ですね」
「はい、甥と姪はもうすぐ成人ですので、妹から私の元で商いを勉強させたいと言われ、丁度良いと思い承諾した次第です。ネロさんの方はどうなのですか?」
「なかなか厳しいですが、いくつかの仕事はもらっています。今後はベルーナとヒルデンブルグの間で交易を始めようと思っています」
「商隊を組むと?」
「将来的にはですね。今は単身で、できる事だけやっています」
「目指す目標がある事は良い事です。ですが、焦りは禁物。全てにおいて見極めが肝心でございます」
「御助言感謝します。まだまだ未熟者ですのでご指導、ご鞭撻の程よろしくお願いします」
「み~」
「よろしいでしょう。私は厳しいですよ。それはさておき、お茶にしましょうか」
シュバルツさんと楽しいひと時を過ごしてから、宿に戻った。
翌朝、宿の方にお礼を言って宿を出て新しい家に向かう。
みんなご機嫌です。
新しい家に約束の時間に着くと、ララさんの他に四人の方々が出迎えてくれた。
「お待ちしていました。ネロ様、ミー様、それにみなさま」
「あなたは確か……」
出迎えてくれた執事さんは、いつぞやのルーくん誘拐事件の首謀者ゾルムス家に使えてた執事の方だよ。
「ルーカスと申します。宰相様から恩赦を与える代わりにネロ様にお仕えせよと承ってございます」
「妻のカティアと申します。夫共々、誠心誠意お仕えする所存です」
「そうですか……俺みたいなので構わないのですか?」
「ネロ様こそ、罪を犯しネロ様方に敵対した者でも雇ってくださりますか?」
「ルーくんは無事でしたし、諸悪の根源はゾルムス家当主でした。俺は問題無いです」
「み~」
「がう」
「ありがとうございます。このルーカス、非才なる身ではございますが誠心誠意お仕え致します」
「一つだけお願いがあります」
「なんでございましょう?」
「俺が間違った事をしたら、その時はちゃんと諫めてください」
「……承りました」
ルーカスさんとカティアさんは涙を流してる。やり直せない人も中にはいるけど、反省し心を入れ替えやり直せる人も多くいる。この二人は、やり直せる人達だと思う。今まで良心の呵責に苛まれていたのかもしれないね。
「み~」
ララさんの隣にいた猫獣人の
「えぇーと、あなたは?」
「はひっ! ヤ、ヤナと申します。ふつつか者ではございますが、よろしくお願いします」
元気で楽しそうな人だね。
「こちらこそよろしくお願いします」
今度はご年配ののほほんとした方が挨拶してくる。
「ベンノじゃ。ベン爺とでも呼んどくれ」
「ネロです。こっちはミーちゃん、ペロ、セラ、ルーくん、ラルくん、スミレです」
「ほう。バトルホースじゃの。よろしくのう」
スミレがぶるるって、こちらこそって仕草を見せた。スミレが一番お世話になりそうだからね。
「それではネロ様、ミー様、みなさま方、どうぞお入りください」
立ち話もなんだから、入らせてもらおうか。って自分の家なんだよね。
「み~」
注) ルーくん誘拐事件については、み~ちゃん異世界放浪記その伍、陸を読んでにゃ!
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