153神猫 ミーちゃん、大地主になる。

 レーネ様はお魚が大好きなご様子。



「おしゃかな、おいしいでしゅ!」


「みゃ~」


「「「「みゅ~」」」」



 ルカと四匹の子猫ちゃん達も、しゃぶしゃぶ風のお魚を食べて嬉しそう。ミーちゃんの猫缶もしっかりと食べてるけどね。



「うまうまにゃ。生でもにゃく、煮すぎるでもにゃく、絶妙にゃ塩梅にゃ」



 ペロ達のお口にも合ったようで、腹ペコ魔人達の無限胃袋にあれよあれよと料理が消えていく……。


 食事後はお茶を頂き、食事の余韻に浸る。


 パミルさんとユーリさんはこの後ギルドに戻るそうなので、子猫ちゃん達はまたしばしの別れ。お互いペロペロしているから別れを惜しんでるのかな。



「また来てね。約束よ。そうじゃないとレアもノアも悲しむわ」


「「はい、必ず」」



 二人と二匹はニーアさんに連れられて帰っていった。


 俺はルカを抱っこして、王妃様はミーちゃんを抱っこしている。他の子達はレーネ様と侍女さん達にモフられ中。



「父上から手紙をもらっているわ。ロタリンギアの勇者に会いに行くそうね」


「はい、烈王さんからの依頼なので断れません」


「み~」


「それで、あの子なの」



 王妃様はモフられているラルくんを見て言ってくる。やっぱり、気付いてたみたいだね。



「俺は非力ですから、烈王さんが戦力増強と言って寄こしました」


「どれほどの力なの」


「わかりません。強力ですが、制限があると言ってました。この辺では試せないので」


「み~」



 一度、ラルくんの力を確認したいけど、何が起きるかわからないのでなかなか試せないでいる。近隣の村や旅人に被害が出たら洒落にならないからね。



「今は間が悪いわね」


「東の辺境伯ですか?」


「えぇ、既に兵を動かしてると聞いています」


「どのくらいで王都に着くのですか?」


「同調する貴族の兵を集めながら来るから、ここに来るのは一ヶ月後かしら」


「数で上回っていると聞いていますが……」


「そうね。数では負けているわね。でも質では圧倒的よ」



 第一騎士団に騎竜隊、ルミエール王国とヒルデンブルグ大公国の最精鋭部隊が揃っている。貴族の寄せ集めの兵では士気も高くないだろうから、飛龍の上空からの攻撃を受けただけで散り散りになりかねない。



「内部から蜂起する者も二千近くいるとか」


「実際に戦えるのはその半分でしょう。ジクムント殿以外の助っ人も呼んでいますので心配はありません」



 凄腕のハンターを雇ったのかな? ジンさんクラスのハンターは後四人居るって聞いてる。でも、相手に雇われて居る可能性も否定出来ない。実際に以前、ルーくんを攫った貴族に雇われて居た奴はジンさんと同じくらい強そうだった。闇ギルド関係にも凄腕は居るって事だよね。



「ロタリンギアに行くのは掃除が終わってからね。その後はできる限りの手を貸すわ。それまで新しい家でゆっくりしてるのね」


「新しい家?」


「み~?」


「もう、できてるわよ」



 早っ! 支店の改修でさえ二ヶ月掛かるのに……どうやったの?


 王妃様の説明では林を切り開き土スキル持ちの業者が基礎工事をして、王家所有の使っていない館を収納スキル持ちの建物を専門に移築している業者が移築し、改修工事を急ピッチでおこなったらしいです。


 どんだけ、お金を使ったのでしょうか? 怖くて聞けません。



「大抵の物は揃ってるわ。移る前に掃除させるからそれが終わればすぐに住めるわよ。そうね、明日案内させるわ」


「あ、ありがとうございます」


「み~」


「気に入ってくれると良いんだけど……フフフ」



 そのお美しい微笑みが怖いです……。


 帰りに素材代一千万レトと書類を貰い帰りました。たったあれだけで一千万レトって……。




 翌朝、宿にニーアさんと年若い女性がやって来たよ。



「この者は私の姪でララと申します。ミー様とネロ様のお役に立てれば幸いです」


「ララです。未熟者ですがよろしくお願いします」


「???」


「み~?」



 どうやら、新しい家でのメイドさんだそうです。必要ないですと言ったら、ネロ様では家を維持できないときっぱり言われた……。ララさん以外にもメイドさんがあと一人と執事さんと雑務をこなしてくれる使用人の方が住み込みで来るそうで、給料は王宮持ちなので気兼ねなくお使いくださいだそうです。マジですか? 


 取り敢えず、家を見に行きましょう。ミーちゃん以外はニーアさんと馬車に乗って移動。俺とミーちゃんはスミレに乗って行きますよ。


 以前、案内された場所に行くと林の奥に続く道が整備されていた。その道を進むと立派な門があり、奥に大きなお屋敷が目に入る……小さくて良いって言ったよね? 屋敷の前に馬車を止めてニーアさん達が降りてくる。俺もスミレから降りて建物を見るけど大きいね……。



「み~」


「大きいにゃ!」


「にゃ」


「がう」


「きゅ~」



 屋敷内では既に掃除が始まっていて多くの人の出入りがある。



「こちらがお屋敷です。向こうにありますのがスミレ様の馬屋です」



 スミレの馬屋から見てみようか。スミレの馬屋と言うけど十頭以上入る大きさ、その馬屋から林の外に続く柵があり、行ってみるとサッカーグラウンド二面分はあろうかという広さの牧場になっていた。スミレ興奮状態です。


 ん? 貰った土地ってこの林だけじゃなかったっけ?



「ネロ様は勘違いなさっておいでのようです。この旧造成区全てがミー様とネロ様の土地になっています」



 にゃんですとー!



「み~」





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