151神猫 ミーちゃん、弟妹にもみくちゃにされる。

 一度テラとカイの様子を聞く為に、パミルさんとユーリさんに声をかけた。



「もう、テラちゃんにメロメロよ! 一生見てても飽きないと思うわ」


「カイ君はとっても甘えん坊さんです。部屋では私の傍から離れません。ご飯もお風呂も寝る時もいつも一緒です」



 どうやら、問題無いみたいだね。テラもカイも愛されてるようで安心したよ。それから、王妃様がテラとカイと飼い主を連れて来てと言っていた事を話した。



「「……無理」」



 ですが、王妃様のお願いですよ。断るんですか?



「「……」」


「ギルド長。明日、二人を借りますね。馬車の準備もお願いします。もちろん、二人の意見は尊重しますよ。行きますよね」


「み~」


「「……はい」」



 帰る前にギルドの酒場のマスターに買ってきた魚介類を卸したら、大変喜んでくれました。なかなか、生では手に入らないからね。



 一度宿に帰りスミレに乗り王宮に行き、ニーアさんを呼んでもらう。



「御無事のお戻り安心しました」


「ありがとうございます」


「み~」



 ニーアさん、いつものように王宮内に案内しようとしたんで今日はアポ取りですと断りを入れておく。



「明日、レアとノアの兄弟とその飼い主を連れて来ようと思いますが、よろしいですか?」


「それはレーネ様もアンネリーゼ様も、お喜びになるでしょう」



 ニーアさんはそう言いながら、目敏くラルくんを見つけてさっそくモフモフしている。このモフラー侮れん……。


 今日はそのまま帰ると伝え宿に戻る。夕食後、みんなと共同浴場です。王都ベルーナも日中の日差しも強くなり汗ばむ気候になりました。明日は王宮だからみんなピカピカにしないとね。


 宿の部屋は窓を閉めていると少々蒸し暑い。なので、窓を開けて虫が入って来ないように小さな桶の水にミーちゃんシャンプーを溶かす。これ以上、暑くなるようなら何かしら対策を講じる必要がありそうだ。うちのメンバーはモフモフだからね。


 今はミーちゃんはアズキアイス、他のメンバーはアイスキャンディーを堪能して涼んでいる。俺もフローズンを飲みながら読書中です。



「暑い時にはアイスキャンディーは最高にゃ! おかわりにゃ!」


「にゃ!」


「がう」


「きゅ~」



 君達、それ三個目だよ。食べ過ぎるとお腹壊すよ。ミーちゃんを見習いなさいって……ミーちゃん、その期待する目はやめなさい……今日の分はもう終わりです。



「みぃ……」



 はいはい、もう寝ますよ。明日は王宮ですからね。



「み~!」



 ミーちゃん……今、餡子食べ放題って思ったでしょう?



「み、み~♪」



 そんな事ないよ~って顔してるけど、バレバレだよ。可愛いから許すけどね。明日はほどほどにね。




 九の鐘が鳴る頃にハンターギルド前でパミルさんとユーリさんと待ち合わせ。二人はピシッとした服装をしている。そう言えば、俺少し良い服買った方が良いよね。


 スミレがハンターギルドの馬車を先導するように王宮に向かう。スミレに乗ってるのは俺だけ、みんな馬車に乗ってます。寂しくなんかないもんね、ねぇ、スミレ。スミレは、ぶるるってネロはぼっちなの? って目を向けてくる。ス、スミレまで……。


 王宮に着いて手形を見せるといつもと違いニーアさん馬丁さんだけでなく数人の侍女さん達も出迎えてくれた。


 いつものテラスに案内されると、さっそくレーネ様の恒例のお出迎えを受ける。



「ぺろしゃん! み~しゃん! せらしゃん! る~きゅん!? わんわん!」



 ルカとレア、ノアがレーネ様の後をおかっけて走ってきてミーちゃんにダイブ! ミーちゃんがもみくちゃにされてます。ペロ達はレーネ様に抱きつかれてるね。



「みなさん。良く来てくださいました。お噂はかねがねお聞してましたわ」



 パミルさんとユーリさんはピッキっと固まった後、すぐに持ち直して王妃様に二人で示し合わせていたと思われる挨拶をした。



「「本日はお招きに預り、恐悦至極でございます」」


「そんなに固くならないで、お互いネロ君の友人として接して欲しいわ」



 そう言われてもね。二人共、顔が引きつってますよ。


 取り敢えず、テラとカイとのご対面。



「二匹共、可愛いわね。こんなに可愛いなら一緒に引き取ったのに」



 ニーアさんと侍女さん達がうんうん頷いています。


 テラとカイも久しぶりの兄弟の再会を喜んでいるようで、ミーちゃんを交えてジャレあっています? いや、もみくちゃにされてるのかな……楽しそうだから良いか。


 テーブルでお茶を頂いていますが、パミルさんもユーリさんも緊張でガチガチです。



「それで、あの子はどうしたの」



 ラルくんを呼ぶとハフハフしながら寄って来たので抱きあげる。



「子犬のラルくんです」


「犬なの? 翼が……」


「犬です! 犬以外の何者でもありません!」


「きゅ~」


「本人もこう申しております!」


「そ、そう……じゃあ犬ね」



 王妃様にラルくんを渡すとモフモフを堪能しています。モフモフしながらも王妃様はパミルさんとユーリさんに話掛けてくださっているけど、なかなか緊張が解けず頷いたり一言ぐらいしか言葉を返せていない。


 俺が席を外して女性だけになれば少しは会話が進むかもしれないと思い。ミーちゃんから、パトさん達から預かった貴重な素材を受け取り薬学機関に行く事にした。


 ちょっと行って来るから、後はよろしくね。



「み~」





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