149神猫 ミーちゃん、パトさんのお耳がお気に入りです。

 翌朝はさながら死屍累々と言わんばかりの光景。予想はしてたけどね。


 そんな屍たちをよそ目にうちのメンバーを連れて洞窟の奥に行く。


 取り敢えず、俺一人で飛んでみよう。


 転移装置を使うとヴィルヘルム支店の馬屋の前に立っていた。周りを確認するけど、まだ夜が明けて間もないので誰も居ない。この場所は通りからも見えない場所なので問題無いでしょう。


 転移装置を使いブロッケン山の洞窟に戻り今度は全員で飛んでみる。普通に飛べましたね。これでベルーナからブロッケン山に飛べれば、直接ヴィルヘルムに飛べなくても行き来ができるようになる。



「み~」


「姫の言う通り凄いにゃ」



 本当にペロの言う通りでこのAF凄すぎだね。



「なんだ、戻って来てたのか」


「AFの検証の為です。どうです順調ですか?」


「ああ、問題無い」


「忙しくて、大変なくらいだわ」



 アレックスさんとクラウディアさんは屋台の準備の為に来ていたようです。



「次に来るのはベルーナに着いてからですかね」


「そうか、まあこちらは順調なので大丈夫だがな」


「大丈夫よ。任せて欲しいわ」


「ええ、お任せをしますよ。来るのは今回と同じでAFの検証の為ですから」



 それじゃあ戻りますか。パトさんの所に行ってお土産を置いてこよう。




「おぉー、ネロさん、ミーちゃんよく来たワン」



 今日もパトさんのお耳はフサフサです。ミーちゃんはパトさんに飛びついて、パトさんのお耳にスリスリしてます。だいぶ気に入った様子だね。何故かラルくんもパトさんに飛びつき、ミーちゃんと反対のお耳をハムハムしている。羨ましい……。



「新しいお仲間みたいだなワン。良い子なんだワン」


「み~」


「きゅ~」



 お土産のお魚をミーちゃんに出してもらい、広場で火を起こして串焼きにして焼き始めるとコボルト族のお子ちゃま達がわぁーっと集まって来る。


 お魚は食べきれないと言う事で、コボルト族の女性陣が開きにして乾す作業に入り出した。内臓は捨てるのかなと思ったら、フライパンでソテーにして食べるそうです。コボルト族曰く、魚は内臓が一番美味しいなのだそうです。


 なので、味噌ダレと醤油ダレを作ってあげ味見してもらうと、コボルト族の女性陣のお耳と尻尾がピーンと立って目をまん丸にしている。大人のコボルトなのでできませんが、お子ちゃまだったら抱きしめてしまうほど可愛いかった……。もちろん、味噌と醤油は少しだけど譲ってあげた。


 しかし、まだ昼間だと言うのに宴会みたいな様相を呈して来た。時間が経つにつれ、他の妖精族も集まって来てもう完全な宴会です。カエルの姿の妖精族と一緒にペロが腹踊りをしている……上手いもんです。ペロは芸達者だなぁ。


 セラはパトさんの隣に座り一緒にワインを飲んでいる。セラってお酒飲めたのね。


 ミーちゃんとルーくん、ラルくんはコボルト族のお子ちゃま達と一緒にスミレの周りで遊んでいる。


 そう、こう言うスローライフに憧れているのです。のんびりと大事な人達と時間を共有してみんなの笑顔を見て楽しく過ごす。これなんです! 俺が目指すスローライフ!


 このスローライフに行き着くまでには、まだまだしなければならない事が多くある。投げ出す訳にはいかないからね。頑張るしかないねぇ。


 そして、宴会は夜遅くまで続いた……。



 翌朝、ここにも屍が散乱していてコボルト族の女性陣は呆れ顔で見ている。ミーちゃん達は既に朝ご飯を食べお子ちゃま達と元気に走り回っています。


 セラは二日酔いのようでフラフラ……ミネラルウォーターを飲ませても良いけど、少し反省していなさい。


 俺は二日酔い気味のパトさんとお話中。



「欲しいと言われた物は全部見つかったワン。でも、数が少ないんだワン。一度に採れる量は少ないんだワン」


「それはしょうがないですよ。採り過ぎて次の世代が育たなくなったら元も子もないですからね」


「そうなんだワン。だから、みんなで育ちやすいように周りを整備する事にしたんだワン。みんなの得意分野で協力すれば、一杯育つと思うんだワン」


「それは良いですね。株分けや種が取れるならどこかに畑を作るのもありですね」


「おぉー、それは良い考えだワン。村の近くで育つならそれの方が世話しやすいんだワン。試してみるワン」



 今回、少しばかりだけど本と見比べる為に採ってきた物を預かる。薬学機関のパトリック所長に見て確認してもらおう。借りていた本はパトさん達がもう少し貸して欲しいと言うので、もう少し預けておく事にした。


 パトさん達妖精族はもともと好奇心旺盛なので知識欲も旺盛。今度来る時は本でも買ってこよう。取り敢えず、俺が持ってる本で読み終わった本をあげたらとても喜んでいたよ。


 他の妖精族さん達に欲しい物を聞いてみると、日用品に加えてコンロやランプといった文明の利器を欲しがっているようです。種族問わず便利なものは良いものと言うところですね。


 変わったところでは紙やペンが欲しいようです。紙にいろいろ書き留めて後世に残す、相手に想いを伝える、使い道は多々あるからね。お子ちゃま達の勉強にも使える。となると教材も欲しくてなってくる。本屋で売ってるのかな?


 多くの知識を得て地位向上していき、妖精族も人族社会に出て来れるようになれば良いよね。ミーちゃんもそう思わない?



「み~」





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