136神猫 ミーちゃん、神様から連絡が入る。

 神様からもらったハウツーブックの最後のページを確認する。うん、増えてますね。


 つらつらと仕事の愚痴、ミーちゃんに会えない寂しさが綴られ、最後の最後の所に極小の文字で何か書かれてる。この神様、本当に学習しないね。ポンコツたる由縁か……。


 なになに、今回道が開いた原因は少なからず私達にあるだぁ!? それにしても、文字が小さい、虫眼鏡が欲しいです……。


 俺の魂をこの世界に送った事により、地球とこの世界との間に道の残痕ができ、そこをスキル保持者が無理矢理開いて勇者召喚をした。スキル保持者はそのせいで力を使い過ぎお亡くなりになってるとの事、哀れ。


 その事で、神様が姉であるこの世界の神様にこっぴどく怒られたとグチグチ書いてある、知らんがな。って言うかこの世界の神様、地球の神様のお姉さんなんだぁ。


 スキルで無理やりこじ開けた事に怒った地球の神様の姉であるこの世界の神様が、その道を強固に閉じた為にミーちゃんは当分神様の所に帰れなくなったとさめざめと書かれている。


 そのお姉さんの神様の所から帰れないのかね?



「み~?」



 ミーちゃんが首を傾げな~に~?って見てくる。ミーちゃんにわからないなら考えても無駄かぁ。


 最後に神様からのお願い事も書いてある。内容は、召喚された者達に真実を話して欲しいと言う事だ。


 召喚した者達の話しを鵜呑みにして信じてはいけない。もう、地球に帰る術は失われている。更に異世界転移した事で地球での存在は抹消されていて、可能性はゼロに近いがもし地球に戻ったとしても、記憶喪失かパラノイアとしか見られない。もちろん、存在自体が抹消されているので誰も覚えていない、と書かれている


 おそらく、全てが終われば地球に帰すとでも言われているんだろうな。よくあるパターンだ。そんなのに、騙される奴なんているのか? だとしても、理不尽だな。焦燥の念を禁じ得ない。連れて来られた者達はどう思っているんだろう。


 最後に召喚された者達がそちらの世界で幸せになって欲しいと、ポツリと書かれていた。



「どうした? 急に本を読みだして」


「神様から連絡が入りまして」


「神託か……」


「この世界の神様じゃないですけどね」


「向こうの世界の神か。なんて言ってるんだ」


「召喚された者に真実を話してくれと。あなたが言った事と同じですよ」


「受けるんだろう」


「受けない道ってあると思いますか?」


「無いな。しょうがねぇな。ちょっとばかし力を貸してやる。但し条件があるぞ」


「条件ですかぁ~そこは男らしく、無償で手を貸すぜ! って、所でしょう」


「まあ、そう言うなって。たいした事じゃねぇからさぁ」



 手を貸してくれると言うのは戦力増強。ドラゴンをお供に加えてくれるそうです。すんげぇー!


 条件は、人型になれるドラゴン二人をヴィルヘルムの街で生活できるようにする事。この事は大公様に言っては駄目だと言われた。竜生勉強なんだそうです。最後に支度金も出すと言ってます。ミーちゃん、どうする?



「み~」



 ですよねぇー。そうなりますよねぇ。ミーちゃんニコニコしてます。



「了解です。その条件をのみます」


「そうか、そいつは話が早くて助かる。うんうん、良かった、良かった」


「み~」


「お互い話がまとまったところで……酒ないか?」



 エールを一樽出しましたよ。キンキンに冷やしてね。



「うんめぇー! そう言えば、まだ名乗ってなかったよな。烈王レオってんだよろしくな」


「ネロと言います。こっちはミーちゃん」


「み~」


「流石、神の眷属。勝てる気がしねぇ……」



 ミーちゃんは不老不死、攻撃力は可愛らしい爪と牙しかないけど、負ける事はないからね。烈王レオさん本能で感じ取っているようだよ。



「み~」



 それにしても、ガッバ、ガッバ飲みますね。



「滅多に飲めねぇからな」


「どうしてですか?」


「誰が買いに行くんだよ」


「大公様に言えば送ってくれるんじゃないですか?」


「いちいち、あいつを通すのは面倒」


「なら、買って来ましょうか? でも、ここに来る手段がないか……」


「それだ! 金は出す! 酒買って来てくれ!」


「だから、ここに来る手段が……」


「明日行かせる二人に渡せば良い。そいつらにここに持ってこさせる」



 ほう。そんな事が可能ですか。それなら問題ないね。


 他に必要な物を聞くと、つまみになる物ととにかく酒だそうです。今渡せる分があると言うと買うと言われた。エールを五樽、ワインを五樽、朝買った干物や珍味に、ミーちゃんバッグに入っていた干し肉、ドライフルーツを出してあげたら、烈王レオさん、目を輝かせています。



「金が良いか? 他ので払うか?」


「他のってなんです?」


「宝石、武器、防具、AFなんて物もあるぞ」



 AFって……本気で言ってるのかな? じゃあ、試しに……



「AFで」


「おう、何が欲しい。いろんなのあるぞ」


「身を守る物とか役立ちそうな物が良いですね」


「そんなんで良いのか? 使うと一度だけだが、空から星が降って来るなんてのもあるんだけどよう。使ってみねぇ?」



 ぶ、物騒ですね、確かに魅力的ですが……遠慮しておきます。男のロマン的な物より実用性重視が良いね。



「うーん、俺って守り必要ねぇからなぁ。役立つものねぇ~、なんかあるかなぁ」



 ドラゴンだと守る必要無いんですね……。



「なんか見つけて、明日二人に持たせるわ」



 軽いなぁ~。AFですよ、AF。でも、こう言う性格嫌いじゃないですけどね。



「み~」






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る