130 神猫 ミーちゃん、妖精族の面倒みちゃいます。

「ネロさん、ミーちゃんよく来たワン。歓迎するんだワン」



 パトさんニッコリ笑って、出迎えてくれまし。ミーちゃん、パトさんに飛びついて顔をペロペロお耳をハムハムしてる。ミーちゃんもパトさんのお耳の誘惑に負けたみたい、でも羨ましい……俺にもモフモフさせてくれないかなぁ。ペロやセラにルーくんはお子ちゃま達に大人気。スミレは大人のコボルトさん達にお世話してもらって嬉しそう。



「今日はこないだの素材が売れたので、そのお金でいろいろ買って来ました」


「おぉー、本当だかワン! それは嬉しい事だワン!」



 コボルト族の村の中央の広場に、買って来た物を出していく。あれ? こんなにあったっけ? ミーちゃん、まだあるの?



「み~」


「ネロさん……凄い量なんだワン」


「ほ、他の妖精族に分けてあげれば、も、問題ないですよ」


「みんな喜ぶんだワン! それが良いんだワン!」



 パトさん、良い人だよ~。いや、コボルトか……。


 コボルトのお子ちゃま達が、恐る恐る果物にかぶりついてはニンマリしてる。この辺では取れない種類なのかもしれないね。それから、ペロなんで君が食べてるのかな? セラも食べるのやめなさい。



「ネロはケチくさいにゃ」


「にゃ」



 ミーちゃんも全部出し終わったようで、コボルトのお子ちゃま達と戯れてる。


 今回はこの村で一泊していく。パトさんが是非にと言ってくれたからね。夜は大宴会を予定してるそうです。近くに住む他の妖精族も参加してくれるらしく、兎さんに狸さん、アライグマさんかな? モフりた~い~です!


 宴会中にパトさんと今後の話もして素材を集めてもらう事になった。貴重な素材も本の絵を見せたらカエルさんが



「見たケロ! 見たケロ!」



 と踊りながら言っていた。他にも見てもらったけど、他の妖精族の方で知ってる人が居たので全部揃いそうです。


 がぜん、他の妖精族の方もやる気になったようで、神猫商会と取引したいと言ってきてます。



「み~!」



 みんなまとめて面倒みちゃう~っと、神猫商会の代表が言っております。はい。


 取りまとめはパトさん、コボルト族にお任せしました。欲しい物は全部リストにしたので今度来る時、買って来ましょう。



 翌朝はコボルト族のモフモフの誘惑を断ち切り、セラの先導の元飛龍の中継地に向かっている。モフモフ……。



 目の前に簡易的だけど、木材で防壁の為の柵が作られているのが見えた。



「止まれ! 何者だ!」



 物見やぐらに居た兵士さんに弓を向けられてますね。



「神猫商会と言います。騎竜隊のエレナさんからのご依頼で、荷物をお届けにあがりました」


「エレナ様だと……待っていろ。確認する」



 しばらくすると、門が開き見知ったマーティンさんが現れた。



「久しいな。まあ、入りたまえ」



 中に入ると、飛龍が十頭並んで伏せている。壮観だね。威圧感が半端ないです。



「み~」



 ミーちゃんキャリーバッグから飛び出して、飛龍の元に走って行っていく。気を付けるんだよ~。



「危ない! 誰か止めろ!」


「問題ない! 好きにさせろ!」



 周りに居た兵士さん達が驚いてる。飛龍の所に走って行く子猫を助けようとしたら、必要ないって言われたんだからそうなるよね。


 ミーちゃんはそんな事にもお構いなしで飛龍の所まで行って



「み~」



 と、一鳴きすると一頭の飛龍がのそっと首をあげた。俺には見分けがつかないけど、マーティンさんの飛龍なのかもしれない。ミーちゃん、その飛龍の所に行ってスリスリしてる。



「目の前で見てなければ、信じられん光景だ」



 他の兵士さん達も口を開けたまま、突っ立ってます。ミーちゃんは他の飛龍とも挨拶を交わし始めた。怖くないのかなぁ。



「それで、エレナから依頼された荷物とは?」


「食料品に日用雑貨です」


「それは助かるな、少しずつは送られて来てるんだが、足りてるとは言い難い状況でな」



 ミーちゃんを呼んで、みんなと場所を移動する。最初に来たのは倉庫、ミーちゃんバッグから荷物を出してもらう。倉庫の担当者の方が泣いて喜んでいる。


 次は兵士の詰所のような場所に移動して、ミーちゃんをモフりながらお茶を頂きゴブリンの本拠地を攻撃した時の事を聞いている。



「二部隊、八頭で攻撃を仕掛けたが、半分近く何か膜のような物で防がれた。王宮のような物は被害皆無。居住施設、防壁に多少被害を与えたくらいだ」


「膜ですか?」


「ああ、そうだ。飛龍の火球攻撃を防がれた」



 ゴブリンキングのスキルなのか、或いは異能なのか? だとしても、厄介極まりないね。



「他には?」


「そうだな、投石機のような物があった。使えるかわからんと言う程度の物だったがな」


「危険ですね。投石機を作る知能があると言う事です。時間を掛ければ完成させれると言う事ですよね」


「うむ」


「西の魔王と戦端を開こうとしてるようですが、その辺はどうお考えですか?」


「ほう。その情報はどこで得たのかな?」


「牙王さんからです。ゴブリンと接して敵対しているキラースパイダークイーンと同盟を結んだそうです」


「み~」


「成程な。まだ、戦端はそれほど開かれていない。どちらかと言えば、睨み合い状態だな」


「大戦になるんでしょうか?」


「なりそうではある。今のゴブリンの勢いを止められん限りはな……」


「みぃ……」



 困ったね。でも、俺達にできる事なんて、たかが知れてるしね。スローライフはいつの日やら……。



「みぃ……」





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