128神猫 ミーちゃん、神猫商会の代表として依頼を受ける。
今の時間帯は、ハンターさん達の戻って来る時間帯、そこにテラとカイに加えてミーちゃん達まで居たら……女性陣が黙っている訳がないよね。
可愛い子猫達と子狼、凛とした黒猫、珍しい妖精族のケットシー。
ち、近寄れません。と言うか、触らず神に祟り無し。神猫だけに……。
なので、酒場にジンさんが居たので相席してお茶を頼んでいる。
「どうした、ネロ?」
「帰りたいけど、帰れないんですよ」
「あぁ、あれか。ハンターが戻って来る前は、ギルドの姉ちゃん達があの状態だったぜ」
「それより、こんな所で油売ってて良いんですか?」
「問題ねぇよ。逆に俺がここに居ねぇと、みんなが困る」
まあ、ジンさんが司令塔ですからね。それにしても、王都はハンターが多いですね。クイントの方には行かないのですかね。
「多くのハンターは様子見だ。ゴブリンの方は他の国のハンターや傭兵が行くからな。この国の中堅以下のハンターは、ギルドから緊急依頼が掛かるのを待ってる訳だな」
最初に向かうのはベテランハンターさん達や国の兵士、その後に派遣された他の国のハンターや傭兵が向かい、それでも人が足りなければギルドから緊急依頼が出されると言う事らしい。
中堅以下のハンターさん達が今行っても何もしないで帰って来る可能性があるので、王都近辺で依頼をこなして状況を見てると言う訳。
「ネロの予定はどうなってるんだ?」
「二、三日は王都に居ますが、その後はフォルテの方にいく予定です」
「フォルテかぁ。酒が旨い所だな。良い酒期待してるぜ」
「それは、神猫商会への依頼ですか?」
「なんだ、神猫商会って?」
ジンさんに商業ギルド証を見せる。
「はぁ~。ネロ、お前商人になるのかよ」
「お金を稼ぐ為ですよ」
「金なんて物はな天下の回りものだぜぇ。その日その日、楽しく過ごせりゃ良いじゃねぇかよ」
「俺は安定志向のスローライフを目指してるんです。俺に冒険活劇は必要ないです」
「若けぇ癖に、爺臭せぇな。それによ、国と関わってる以上無理じゃねぇ?」
「……」
な、なんとでも言ってください。それでも俺はミーちゃんとスローライフを目指すんだ!
その後もミーちゃん達は解放されず九の鐘が鳴る頃、やっと解放してもらえた。宿での夕食はもう無理なので、ギルドの酒場でみんなと食べましたよ。流石にみんなお疲れモードです。
「みぃ……」
「疲れたにゃ……」
「にゃ……」
「がぅ」
スミレ怒ってるだろうなぁ……。宿に戻って馬舎のプンスカ状態のスミレに、みんなでごめんなさいをしたのはお約束。
ミーちゃんとセラとルーくんはスミレにスリスリ、俺とペロは念入りにお世話させて頂きましたよ。はい。それで、なんとかご機嫌を直しもらえた。しょうがないわね、ぶるるって。申し訳ありません……。
「スミレにゃんは、女王様にゃ……」
ははは……疲れた。今日はもう風呂良いや寝よう……。
翌日からは予定が入っていないので、みんなと連れ立ってお買い物。パトさん達の役に立ちそうな物を買い漁ります。
大量買いすると商業ギルド証が必要になるので、バザーやお店で小分けで買ってます。布や糸、針など生活必需品から鉈、斧、鍬、鍋などの金属製品、小麦粉、塩、黒砂糖などの食料品、お子ちゃま用のおもちゃに至るまで多種多様な物を三日かけて買いました。
王都での買い物も終えたので、ブロッケン山に向かう報告をしに王宮に来ています。ニーアさんが先日の買取のお金と書類を渡してきた。ウハウハです。
「ネロ君、ブロッケン山に行くの? なら、お願いがあるの」
何故か、エレナさんから上目遣いでお願いされてます。どうやら、ブロッケン山の飛龍の中継地に食料品や生活雑貨などを届けて欲しいそうです。輸送隊は出ているそうですが、場所が場所だけに多くの物を運べてないみたい。
飛龍で運べないんですかって聞いたら、体勢が不安定になるのでたいした量は運べないらしいです。ヒルデンブルグ大公国からの神猫商会への依頼となる、と言う事であれば受けない訳にはいきませんね。
「み~」
と、代表も言っておりますので、喜んでお引き受け致します。
取り敢えず、金貨二十枚渡され鍋や皿などや石鹸にタオルなどの日用雑貨、食料品にお酒も頼まれた。途中の街で買えば良いでしょう。
レアを膝の上に乗せてモフってる王妃様が
「ネロ君。明日、騎竜隊がゴブリンの本拠地に攻撃を仕掛けるわよ」
さっらっと、仰ったよ。友達の家に遊びに行くかの如く、さらっと仰ったね。
と言う事は本格的な戦いが始まると言う事だ。第二騎士団も歩兵部隊に傭兵部隊も着いてるはずだ。後はゴブリンがどう出るかだ。
「ゴブリンは対空戦力を持っているのでしょうか?」
「その情報を知る事を含めた上での攻撃になります」
過去の大戦では空を飛ぶモンスターが居たと聞いている。飛龍に対抗できるかは別としてだけど。
「中継地に誰か居るんですよね」
「もちろんよ。せっかく造った中継地だから今後も活用するわよ」
なら、別に問題はないね。予定通り出発しましょう。
ミーちゃんはルカとレア、ノアをペロペロするのに大忙しです。弟、妹が可愛くて仕方ないって感じだね。
「ブロッケン山に行くと言う事は、ブロッケン山の主に会うのかしら?」
「目的は別ですがお会いします。黙って通り過ぎる訳にはいきませんから」
「使者の件は大掃除が終わってからになると思うの、ネロ君からよろしく言っておいてね」
「わかりました。それでは行って来ます」
「えっ? 明日じゃなかったの?」
「今から出ればセストまで間に合いますから」
「スミレちゃん、速いからね……」
飛龍ほどではないですよ。でも、飛龍じゃ余程の事がないと、街の中にはいれないから一長一短と言う事です。
みんな出発するから、挨拶してね。
「み~」
「行って来るにゃ」
「にゃ」
「がう」
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