127神猫 ミーちゃん、子猫ちゃん達にマスコットたるものを指導する。

 昼食後、スミレを宿の馬舎に帰してハンターギルドに来ている。


 ギルドに入るとカウンターの上から、二匹の可愛い子猫がみゅ~とお出迎えしてくれたよ。もう、看板猫になってるようです。


 パミルさんを呼んでもらい、来るまでの間二匹の子猫を撫でている。



「待ってたわ。参加者とギルド長を呼んで来るから、ネロ君は裏の訓練場に行ってて。あ、そうそう、私の猫ちゃんがテラちゃん、ユーリさんの猫ちゃんはカイくんに決まったから」



 そうですか、テラちゃん、カイくん良かったね。


 ミーちゃんはテラとカイに会えたのが嬉しいようでペロペロしてあげてます。セラとルーくんも嬉しそう。ペロはやれやれって感じだね。ミーちゃん達は子猫ちゃん達にギルドのマスコットとしての先輩として、テラとカイに指導をおこなうらしくここに残るそうです。じゃあ、行って来ますね。



「み~」




 裏の訓練場で待ってると、ゾロゾロとハンターさん達を引き連れたギルド長が現れた。



「それでは、よろしく頼む」



 ハンターさん達は怪訝な顔をしている人が多い、中には俺を見てガッカリ顔をみせる人までいる。ここは一発ビシッと見せるべき所でしょう。


 ハンターさんの中で一番頑丈そうな人に、用意してもらっていたフルプレートアーマーにカイトシールドを装備して構えてもらう。装備を終えたハンターさんは怪訝な表情を浮かべている。


 良いですか~ちゃんと構えていてくださいよ~。フルプレートアーマーにカイトシールドを装備してもらったのには訳がある。もちろん、怪我をしないようにって意味もあるけど、表面積を広くして風の抵抗を受けやすくする事にもある。あの格好で吹っ飛べばインパクトありありでしょう。


 パフォーマンスですよ。パフォーマンス! 何事も最初が大事。



 ドーン! と共に宙を舞う姿、素晴らしい。ビューティーフォー、ワンダーフォー、これは魔法ぉー? いえいえ、スキルですよ!


 みなさんポカーンとしてフリーズ状態、あの人まだ起き上がって来ないけど助けてあげないの? ギルドの職員さんが我に返りハンターさんを助け起こしに走っている。



「ネロ君、これが大気スキルの力なのかのう……」


「ここが入り口ですね。まあ、初歩の初歩ってところですかね」



 ハンターさん全員の顔つきが変わったのがわかる。掴みはOKです。


 この後はクイントのギルドでおこなったカリキュラム通り進めた。もちろん、リボルバーでの攻撃も最後に見せた。



「言っておきますが、今のあなた達ではこれを使う事はできません。最低でも今日教えた事が瞬時に、そして自由にできるようにならないと無理です。一応、操作方法に仕組み、作ってくれる場所はギルド長にお渡ししておきますので、ギルド長に認められたら確認してくださいね」



 ギルド長室でお茶を頂いております。ずぅずずぅーって、あぁ美味い。これでお菓子でもあれば、言う事ないんですがね。



「なんか言うたかのう?」


「お茶が美味いと」


「儂の特製ブレンドじゃからのう」


「お菓子は……」


「無い。しかし、見事じゃった。セリオンの若い頃を見とったような気がしたのう」


「セリオンギルド長の土スキルって凄いんですよね。見た事ないですけど」


「地面から無数の槍が出てきてモンスターを串刺し、飛んどるモンスターにもズブリじゃな」



 成程、基本は水スキルと同じって事だね。重力に逆らって切り離しはできないけど、伸ばす事はできるって事だろう。確かに、使い勝手は良さそうだ。



「そう言えば、勇者って何なんですかね」


「なんじゃ、唐突に」


「ロタリンギアの事ですよ」


「勇者だと……どこでそれを、と言うのは間抜けじゃな。漏らして良いのか?」


「どうせ、すぐわかる事なんでしょう? 遅いか早いかの違いですよ」


「まあ、そうなんじゃが……勇者とはのう」


「神様は関与を否定したそうです」


「自力で道を繋げたか……眉唾ものと思うておったがのう」



 ギルド長もスキルの事知っていたようだね。



「何度でも道を繋げるんでしょうか?」


「さあのう、話からすると神託でもおりたのであろう。使った者には神罰でも下っておるのではないかのう」



 あらやだ、怖い。でもそうか、そう言われてみれば充分考えられる。



「神の祝福の無い勇者召喚は過去にもあったと言う。しかし、すべて悲惨な結末じゃな」


「どうしてでしょう?」


「決まっておろう、神の祝福が無いのじゃから善にも悪にもなりうる。そんな人知を超えた者を人々は信用などせん。必要な時は勇者様とおだて戦わせ、終われば害になる前に消す。酷いものじゃな」



 成程ね。神の祝福ってのは信用の証って事か……じゃあ、今回の勇者も不要になれば消される運命と言う訳ですか……。



「勇者はどうして強いのですかね?」


「ふむ、儂が読んだ文献によれば、道を繋げる際必ず神界を通り他の世界に繋がると書いてあった。ここからは儂の考えじゃが、繋がった道を行くにしろ来るにしろ神界を通るであろう。その時に魂の改変ないし肉体の改変が起きるのではないかと思うとる」


 ギルド長の考えはあながち間違ってないんじゃないかな。神様による勇者召喚はそれを神様が意図的に変えていると考えれば、辻褄が合うよね。



 ギルド長室を出て下に降りると大変な事になっていた。


 はぁ……またですか。


 ミーちゃん、カムバ~ック!




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る