108神猫 ミーちゃん、ゴブリン王国に唖然とする。

 ミーちゃん、嫌々ながらも回収してくれてます。そんなミーちゃんが大好きです。


 ゴブリンだけでなく、ゴブリンウォリアーなどの上位種にゴブリンリーダー、ゴブリンナイトの死骸まであった。大漁、大漁!


 確認はしてないけど、二千はくだらないと思う。また、駆け出しハンターくん達に依頼を出そう。喜んでもらえる事間違いなし。


 さてと、ここで時間を潰す訳にはいかない。今日中に山の麓までは行きたいからね。出発しましょう。


 マップスキルで確認しながら最短距離で進んでいますけど、ゴブリンが多くなってきた。流石に回避だけでは無理になってくる。



「今日、行ける所まで行ったら戻るんだろう?」



 暗闇の牙の虎獣人のラウラさんが聞いてくる。



「そのつもりです」


「そろそろゴブリンを倒して行かないと、今日中に山の麓まで着かないよ」


「うーん、ミュラーさんとケヴィンさんは、どう思います?」


「私はラウラの意見に賛成だ。これ以上の回避は難しい」


「確かにそうなんだが……そうなると今日の夜は強行軍になるぞ」


「それは承知の上だ」


「みなさんもそれで構いませんか?」



 みなさんが頷いている。



「精霊が緊張しています。この先に、精霊を緊張させるだけのものがあると言う事です。注意が必要でしょう」



 当然それは魔王のゴブリンキングだろうね。


 ミーちゃんとルーくんは狭いけどキャリーバッグの中で我慢してね。



「み~」


「がう」



 ペロとセラは前側の斥候に交代、ゴブリンが少数なら二人に不意打ちをさせる。自分もライフルを使えば更に不意を打てるしね。



「なあ、ネロ。そいつなんなんだ?」



 みなさんも興味があるようです。なので説明した。



「大気スキルかよ……」


「AFかと思うくらい、すごかったわ」


「飛距離も相当だったな」


「腰に付けてるのも、同じ何じゃろうか?」


「大気スキル持ちの時代が来そうね」



 そうなると良いですね。今回の戦いには間に合いそうにありませんが、今後広がっていけばだいぶ違った戦い方ができるでしょうね。日本の戦国時代のようにね。


 何度かゴブリンとの戦闘を繰り返し、まっすぐ進むのを断念。一旦、南に進路を取り、山に登り西に移動するコースに変更した。


 それにしても、ゴブリン以外モンスターを見ていない。他のモンスターはどこに行ったんだろうか? ゴブリンの領域から出たのか、或いは駆逐されたのか……。




 そして今、山の西側の麓が見渡せる高い木にルーさん達と登って、眼下を見下ろしている。



「おいおい……マジかよ……」


「みぃ……」



 ルーさんと肩に乗たミーちゃんが目の前の光景に唖然としている。二人だけじゃないティムさんも、そして俺も声が出せないでいる。


 目の前に広がる光景、それは集落なんてものじゃない。まさしく、ゴブリン王国キングダム……。どうやって、ここまで開拓したんだよ。何年もかけないと普通無理だろう……。


 一体どれだけのゴブリンがいるんだ……一万、十万、いやそれ以上かもしれない……。



「これはヤバいぜ……」


「見なければ良かったと、心から思ってるよ……」


「み~!」


「どうした、おチビちゃん?」



 ミーちゃんがルーさんの肩をテシテシ叩いて、遠くを見ている。何があるんだ?



「おい、あれ迷宮の入り口じゃねぇ」


「みたいだな」



 こんもりとした山状の物にゴブリンが出入りしてるのがなんとか見える。



「相当な数のゴブリンが入っていってるな」


「ゴブリンが迷宮探索だぁ?」


「み~」



 その話は後です。まずはマップスキルに記載していく。奥に大きな建物が見えるけど、王宮なのだろうか? 防御用の壁も作られ始めている。これは不味いね。そう、思った時、背筋が凍るような気配を感じた。感じたと言うより見られたって感じだ……。



「撤収しましょう」


「ネロも感じたか?」



 あの気配を感じたのは俺だけじゃなく、ミーちゃんもルーさんもティムさんも感じたようだ。



「はい。それに、これ以上は我々だけでは無理です。まずはこの情報を持ち帰る事が重要です」


「み~」



 木の下に降りていくと、ゴブリンとの戦闘が始まっていた。



「急げ! 増援が来るぞ!」



 ひぃ~っとなりながらも、なんとか降りて攻撃に参加する。



「ネロ君! 走れ! 戦う必要はない! ユーリ! ミランダ! 一緒に行け!」



 ルーさんからミーちゃんを受け取って、走る。ルーくんはキャリーバッグに入ってミランダさんが肩にかけて走ってる。ユーリさんに先導され道なき道を走る。


 後方からはまだ争ってる音がする。


 どのくらい走っただろうか……俺は肩で息をする程バテている。ユーリさんもミランダさんも同じだ。ミネラルウォーターを飲みユーリさんに回す。


 飲んだユーリさんが驚いた顔をするけど、ミランダさんにも渡しミランダさんも一口飲み目を大きく開ける。



「まさかこれは……あれですか?」


「あれが何を指すのかわかりませんが、初級万能薬兼初級ポーションです」


「ぶしゅー」



 ミランダさん汚いですよ。大丈夫、お金は取りませんから。ミーちゃんとルーくんにも皿に出してやる。



「み~」


「がう」


「みなさん無事でしょうか?」


「ゴブリンにやられる程、ヤワじゃないわよ」


「追っ手をまくのに時間がかかると思います。私達はこのまま進みましょう」


「待たなくて良いんですか?」


「みんな、追跡のプロだからね。問題ないわ」



 ミーちゃんをユーリさん、ルーくんをミランダさんが抱っこしながら歩いている。


 何度かさっきのゴブリンとは別のゴブリンに遭遇したけど、俺の銃とユーリさんの弓、ルーくんの魅了眼で倒している。



「あたしとミーちゃんっていらない子?」


「みぃ……」



 ミランダさんは回復役だし、ミーちゃんは応援が役目だからね。仕方ないよ。



「ミーちゃんは居てくれるだけで十分ですよ」


「み~」



 ミーちゃん、嬉しかったのかユーリさんの顔をペロペロしてる。羨ましいね……。


 ゆっくり歩いているので、徐々にみんなが集まり始めた。もうすぐ陽が落ちるけど、ここで止まっている訳にはいかない。


 みんなに、ミーちゃんクッキーを渡して食べさせる。歩きながら食べれるし、体力回復効果もあるからね。



「ふー。疲れたわい」


「ジル、足遅すぎ……。ミュラーは戦い過ぎよ」


「仕方ないじゃろう」


「すまん……」



 残すは、ペロとセラとルーさんだ。正直、この三人なら心配ないでしょう。問題があるとすれば、二大腹ペコ魔人が居る事かな。



「みぃ……」





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