109神猫 ミーちゃん、みんなが心配です。
陽が落ち、真っ暗になっているけど歩みの速度は落としていない。安全圏の虫系モンスターのテリトリー内である巨木のうろまでは移動する予定。
何度も躓きながらも、両腕を支えられ暗闇の中を歩く。獣人のみなさんは種族がら夜目が効く、ドワーフ族も竜族も暗闇の中でも目が見えるそうです。
なので、このメンバーの中で暗闇の中見えないのはエルフ族と人族になる訳ですが、エルフ族は精霊が見える事で周りに精霊がいるとぼんやりと精霊から出る光で周りが見えるらしく、ミーちゃんの周りには多くの精霊がいるようなのでだいぶ明るく見えるらしい。
したがって、連行されるグレイ状態なのは俺とミランダさんだけだ。とほほほ……。
そう言えば先程の戦闘中、魂の器が成長していた。覚えられるようになったスキルに気配遮断、遠目、夜目、登攀が増えていた。そう言えば以前、魂の器が成長した時も保留にしていた。と言う事は最低でも二つは覚えられる。保留にしているスキルもあるので、悩みますなぁ~と言う事で後で考えよう。また、忘れたりして……。
真夜中を過ぎてようやく今朝出発した場所まで戻って来たけど、全員クタクタ状態。うろの中に入ってみんな座り込む。
「はぁ……流石に疲れたわ」
「ここまでくれば、一応の安全は確保できるだろう」
安堵したのか、みんな思い思いに話し始める。
俺はシートを敷いて毛布も敷き、ミーちゃんとルーくんをキャリーバッグから出してあげる。
「み~」
「がう」
ミーちゃんとルーくんに猫缶とミネラルウォーターを出してあげると、ミーちゃんがみんなは~? みんな大丈夫~? って顔して見てくる。ミーちゃんは優しいね。みんな大丈夫だよ、後で食べるから先に食べて寝ててねって言っておいた。ミーちゃんやルーくんが元気がなくなる方が士気が落ちるから、ミーちゃんとルーくんには元気で居てもらわないといけない。
みんなには大きな桶に水を出してお湯にする。汗をかいて体を拭きたいだろ。って、また男性陣は追い出されました。ほんと、気にしなくて良いのにね。
外でも桶に水を出しお湯にして体を拭う。ふぅ~気持ちが良いね。
軽く夕食をとって休む。時間も時間なので見張りは免除してくれた。もうすぐ夜が明けると言うくらいになり、やっとペロとセラ、ルーさんが戻て来た。
「いやぁー、参ったぜ。しつこいなんてもんじゃなかったな」
「にゃ」
「ネロ~、お腹空いたにゃ~」
「ドライフルーツもクッキーも渡したろう?」
「あれはお菓子にゃ! ご飯じゃ無いにゃ」
と言いつつ、しっかりと全部食べたそうです……。
俺達の代わりに陽動してくれてたペロ達はゴブリンに執拗に追いかけられたようですが、虫系モンスターのテリトリーに入った所で虫系モンスターがゴブリンに攻撃し始めたので一緒に戦って撃退したそうです。助けてくれたとみて良いのかな?
取り敢えず、三人にミネラルウォーターを飲ませてから食事を用意してあげる。ミーちゃんとルーくんも起きてきて三人にスリスリ、ペロペロと激励して回っている。
「み~」
「がう」
三人には食べやすいようにピラフおにぎりを出してあげた。セラにはお皿に載せてね。
「ピラフおにぎりは最高にゃ! から揚げも欲しいにゃ。チラッ」
「にゃ」
「うんめぇー」
「はい、から揚げ……」
「ウマウマにゃ!」
ルーさんには疲れているところ申し訳ないけど出発します。ペロとセラは猫化して抱っこしてもらいながらの移動になる。女性陣は喜んでるけどね。
「俺も猫になりてぇーよ……」
いやいやルーさん、あなた立派な猫獣人ですよ。可愛いらしい顔立ちだし。
ゴブリンを回避しながら初日に野営した洞窟に着いたのは昼過ぎ、一度通った場所なのでマップ通りに進むとだいぶ時間短縮ができた。マップって便利だね。
入り口を偽装して、見張りを交代でする事にしてまずは寝る。見張りの交代で起こされるまで爆睡だった。
ペロとセラを連れて洞窟の入り口の場所で見張りを交代。
黒猫状態のセラをモフりながらスキルについて考えてみる。今回新たに覚えられるようになったのは、気配遮断、遠目、夜目、登攀の四つ、他に虚偽、料理、商才、苦痛軽減、火、剣技、恐怖軽減、気配察知、毒耐性、体力UPが覚えられるスキルだ。
新たに覚えられるようになった登攀は必要はない。遠目使えそうだけど、望遠鏡があるのだから代用できる。夜目、夜は寝ていたい……。気配遮断、ミーちゃんが持っていないので俺だけ持っていても意味がないような気がする。
苦痛軽減や恐怖軽減は前に考えた通り危険過ぎるので却下。毒耐性は耐性の指輪を持ってるし、気配察知はペロとセラが持っている。となると、火か体力UP辺りかな? 火スキルは使い勝手が悪そうだし、体力UPよりは身体強化の方がトータル的に上がって良いよなぁ。
虚偽は嘘が信じられやすくなるスキル。詐欺師向き。料理、商才はその通り、商才あたりは取っても良いかもしれない。
ですが、保留にします。そのうちまたもっと良いスキルを覚えるかもしれない、その時で良いや。今のところ今あるスキルで間に合ってる。無理して取る状況でもないしね。
見張りの時間も終わり夕食の準備に移る。今日は火が使えるので豪華にいきましょうかね。
野菜を入れたクリームシチューを作り、下ごしらえ済みの魚を用意してひと手間加える。水スキルを使って骨を柔らかくするのだ。少し失敗したものもあるけど、概ね成功。鍋に投入する。
別の火元ではお肉を焼いてもらっている。そして、白パン。これにはみなさん驚いている。
何故白パンは高いのだろう? 確かにライ麦に比べれば小麦の方が高いけど、そこまで量が取れない訳ではない。現に小麦粉をバザーで何度も買ってるしね。真っ白な小麦粉にするのに手間がかかるって聞いた事がある、その辺なのか或いは酵母か作り方の違いがあるのだろうか? パン職人じゃないからわからない。白パン自体は日本で食べてたパンには到底敵わないけど、黒パンに比べれば美味しいのは確か。フワフワ、モチモチのパンが食べたい……。
あと魚、特に海魚はなかなかに珍しい物らしく大変喜ばれた。猫さん系の方が多いからね。骨まで食べれると言ったら驚いていた。
でも、ミーちゃんは猫缶が好きなんだよねぇ。
「み~」
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