105神猫 ミーちゃん、木登りする。
蒼竜の咆哮のルーさんと暗闇の牙のティムさんが周りの偵察に出ている。
その間に、夕食の準備をしましょう。ミュラーさんが出した大鍋でクリームシチューを作る。ここに来るまでに狩った野鳥の肉と、ユーリさんが集めたキノコ類をたっぷり入れます。
他にも兎モンスターのラピットのお肉をシャイナさんとラウラさんが焼いている。なかなか豪華な食事になりそうです。
どうやら、ルーさんとティムさんが戻って来たみたい。
「この辺にはゴブリンは居ないみたいだ」
「奴らの勢力外って事だな」
この辺りはゴブリンの勢力範囲とそれ以外のモンスターの勢力範囲の中間地点らしい。
みんな揃ったので夕食にしよう。みんなにシチューとパンを配っていく。蒼竜の咆哮のジルさんと暗闇の牙の犬獣人のラルスさんは入り口で警戒にあたるようで食事をそっちでするようだ。
ミーちゃんに猫缶を出してあげ、セラとルーくんの分を皿にシチューを盛ってあげる。ペロはシチューの鍋の前に陣取ってます。
「「「いただきます」」」
「み~」
「いただきますにゃ」
「にゃ」
「がう」
ルーさんが焼けたお肉をみんなに配ってくれてます。
「ちび助、お前もルーなんだってな、俺もルーって呼ばれてるんだ。同じルー同士、仲良くしようぜ」
「がう、がう!」
ルーくんがルーさんをペロペロして、ペロが皿をペロペロしてる。なんか紛らわしい……。
「北西方向に明かりが見えた。おそらくゴブリンの集落だと思う」
ルーさんと一緒に偵察に出たティムさんが、みんなに説明している。
「明日はそこに向かうか?」
「うーん、ティムさん達はどうやって確認したんですか?」
「高い木に登って確認したが?」
「俺じゃ登れませんかねぇ?」
「俺らが手伝えばネロでも登れるんじゃねぇかなぁ」
「それなら、明日の早朝俺が木に登って確認します。位置さえ確認できれば、無理に近づく必要もないでしょうから」
「任せな」
食事も終わり後片付けを済ます。シチューはペロとセラが綺麗に平らげました。
夜の見張りは人数が多いので、二人ずつで一時間半ずつになるそうです。最初、みなさんは、俺を頭数に入れてなかったようなのでペロとセラと俺で一組として見張りに参加する事を伝えたら、一番最初の見張りに就くことになった。俺はたいして役に立たないけど、ペロとセラはお手の物だからね。
ミーちゃんとルーくんは、寝てて良いからね。
「みぃ……」
「がぅ」
二人共、でも~って顔をしてるので、見張りの代わりにみんなを癒してあげてねってお願いしたら、ミーちゃんキリっとしたお仕事モードに入りルーくんを引き連れて、お尻をフリフリさせながらみんなの所に歩いて行ったね。流石、ミーちゃん仕事人です。
寝るにはまだ早く入り口はジルさん達が見張ってるので、今日の調査したマップスキルの見直しをしている。途中で見つけた水場なども記載してるし、目印になるよな物も記載した。俺達はゴブリンの領域を東側沿いを北から南に向かって移動している事になる。
予想では二日かからずに山の麓までには着くと思う。
さてと、そろそろ見張りに就きますかね。ペロとセラを連れて入り口に行き、見張りを代わると言って休んでもらう。
黒豹姿のセラをなでなで、艶々でスベスベのセラの毛並みは素晴らしいの一言。顎下から首回りをわしゃわしゃしたら、気持ち良かったのか押し倒されて顔中ペロペロされた。黒豹姿のセラは迫力あり過ぎ抵抗できません。黒猫の時は可愛いんだけどね。
ペロがおとなしくしてるので、寝てるのかな? なんて思っていたら、ドライフルーツを一粒ずつ味わって食べてる。ペロはブレないね……。
「くにゅくにゅ……大丈夫にゃ。ぐにゅぐにゅ……ちゃんと起きて見張ってるにゃ……パクッ」
セラは俺の足に顔を乗せて、リラックスしてるから近くにモンスターの気配は無いんだろう。そんなセラの頭をどのくらいなでなでしていたんだろ。ピクっとセラが動いた。モンスターか? と思ったら、奥から暗闇の牙の犬獣人のラルスさんと猫獣人のアニヤさんが現れた。
「交代の時間だぞ」
もう、そんなに時間が経ったのか? モフモフは時間が経つのが早いね。
「夜食にゃ。食べて良いにゃよ」
「おっ、悪いな」
ペロがドライフルーツをラルスさんに渡してる。珍しい光景をみてしまったよ。明日は雨でも降るのかなぁ、嫌だなぁ。
寝場所に戻る時にペロに聞いたら、あげたドライフルーツはペロの好みの味じゃなかったみたい。納得した。
ミーちゃんとルーくんは丸く寄り添いあって寝ていた。セラが更に寄り添って、尻尾で二人を包んでいる。ミーちゃんとルーくんは、これ以上ない安心感に包まれているんだろうね。
さあ、寝ようか。
「ネロ、そっちじゃない。手前に足を掛けるんだ」
「こっちですか?」
「だから、手前だって。そんな格好で、次にどうするつもりだ?」
「だぁー、死ぬ~。もう無理~、だじけて~」
「体にロープ巻いてるんだ。落ちても俺達が引っ張ってるから問題ねぇよ。んなことより、さっさと登れよ」
「み~」
「はひぃ~」
夜が明ける前に蒼竜の咆哮のルーさんと暗闇の牙のティムさんと、この辺りで一番高い木に木登りを始めましたが、これが大変。ルーさんは、ミーちゃんを肩に乗せたままスルスル登っていく。
ミーちゃんどうしても木登りがしたかったようで、下で必死に木にしがみついていたのですけど、誰が見ても明らかに無理っぽい。見かねたルーさんが、ミーちゃんを肩に乗せ
「落ちるなよ。おチビちゃん」
「み~」
って、事でミーちゃんを肩に乗せたまま、ティムさんと俺に木登りの指導をしながら木を登っているのだ。
それでも、なんとか三十分かけて木のてっぺんに到着。
「み~」
ネロくん、遅いよ~って感じでドヤ顔されてます。ミーちゃんだってルーさんの肩に乗ってただけじゃないのさぁ! でも、ミーちゃんだから赦す!
辺りを見渡すと既に陽が登り始めてる。遠くに何本もの煙が上がっているのが見えた。
「思った以上に大きな集落のようだぜ」
「昨日は夜でわからなかったが、そのようだ」
俺はマップスキルに集落の場所を記載していく。上からだとわかりやすくて良いな。あんまりやりたくないけどね……。
「ミーちゃん、満足した?」
「み~」
目をキラキラ輝かせているけど、しっぽはしっかりとルーさんに絡めてる。地上から五十メルくらいの高さだろう。風でゆらゆら揺れている。怖いんですけど……。
ハァ……降りますか。
「得意の大気スキルで飛び降りれば、良いんじゃね?」
「!?」
そ、そんな事が……できる訳ないでしょう! 死んじゃいますよ。プッチっと……。
ミーちゃん、その目を輝かせて期待する目はやめて……。
「み~?」
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