106神猫 ミーちゃん、シャンプーの効果絶大です。

 目の前に、ゴブリンや昆虫系のモンスターの死骸が散乱している。


 驚く以前にこれはラッキー、ミーちゃん収納お願いします。



「み~」



 ミーちゃんと見て回るふりをして手当たり次第、収納してもらう。



「不味いぞ。ネロ君」


「何がですか?」


「どうやら、ここはゴブリンと他のモンスターの抗争地帯だ」


「尚且つ、ほんの少し前まで争ってたようじゃな」



 今は、最初の野営場所から移動して既に夕方近くになっている。後、一時間もすれば、陽が落ち始めるだろう。ここに来るまでに、ゴブリンの集落を一時間程前に一つ見つけている。おそらく、その集落のゴブリンと争っているんだろう。



「争いのど真ん中で野営か……或いは、夜も移動するか」


「野営しましょう」


「本気か?」


「虫系モンスターの対策はあります。ゴブリンとの争いも興味がありますしね」



 と言う事で、野営場所を探します。洞窟はありませんでしたが、巨木が倒れ根元がうろ状になってる場所を見つけました。また、周りを落ちてる木などで囲います。


 みんな~お風呂にしますよ~。ペロも猫化してね。


 ユーリさんとアニヤさんが手伝ってくれたので、早く終わりました。男性陣には洗ったお湯やすすいだお湯を周りに撒いてもらっています。何故って? ミーちゃんシャンプーを使った虫除けです。これで虫系モンスターは近寄れない。効果はブロッケン山で実証済み。


 お湯を水スキルで作ったら、女性陣から体を拭きたいと言われたので大きな桶に水を入れお湯にしてあげた。ついでに小さい桶にミーちゃんシャンプーを溶かして入れて置いといた。軽く拭くだけでも気持ち良いと思うからね。その後、俺は外に追い出された。気にしなくて良いのにね。


 外に出て、男性陣用にも桶にお湯を作って体を拭いた。タオルにお湯に溶かしたシャンプーを浸して体を拭く、気持ちが良いしほんのりと青りんごの匂いが清々しい。この程度の匂いなら問題ないとルーさんも言っている。


 使ったお湯も周りに念入りに、撒いておいた。



「これで本当に大丈夫なのか?」


「虫系モンスターは寄ってきませんよ。実証済みです」


「ある特定のモンスターが嫌がる匂いと言うのは聞いた事はあるが、そんな薬があるとは聞いた事がないんだがな」



 そりゃあないでしょうね。神様仕様ですから。なので、俺のこの世界での設定上で話を進める。



「婆さん秘伝の薬ですから」


「そう言えば、ネロ君のお婆さんは薬師と言っていたな」


「才能がないって言ってたけど、この薬だけでも大儲けできるわよ。私と組まない?」



 ミランダさん怖いです。目がレトになってますよ。


 ミーちゃんの猫用品は世間一般に出すには危険過ぎます。却下です。


 辺りが暗くなってきた。うろの中なので、火は起こせない。ランプに明かりを着け、外に漏れないようにする。


 夕食は火が使えないので、茹でたパスタにミートソースをかけた物をみんなに配る。



「ネロ。これ美味しいにゃ!」


「にゃ」


「がう」



 セラとルーくんはパスタが食べ難そうだったので、ナイフで短く切ってあげた。ミーちゃんは猫缶で満足そうだね。



「み~」


「なんか、毎回悪いわね」


「本来、私達が用意しなければならないのに……」


「でも、ネロの出す料理を食べると、うちらの作った料理なんて恥ずかしくて出せないじゃん」


「どう考えても、野営の時の料理じゃないものね」



 女性陣ばかりでなく、男性陣もウンウン頷いている。お気に召して頂き恐悦至極です。



「それにしても、本当に寄って来んのう」


「視線は感じられる」


「監視はされてるな。確実に」


「来ないに越した事はねぇって」



 夜の為に俺とペロ、セラに猫獣人のルーさん、ティムさん、アニヤさんは早めに休む。ゴブリンと虫系モンスターが衝突したら見に行くからだ。ミーちゃんとルーくんはお留守番なので、居残り組みの女性陣に可愛いがられている。



 どのくらい寝たのかな? 暗闇の牙のリーダーケヴィンさんが起こしてきた。



「始まったようだぞ」


「わかりました」



 ペロとセラも既に起きている。準備をしよう、装備は万全にして一応銃は両方持て行く。


 この中で、気配遮断を持っていないのは俺だけ、みなさんの指示に従います。



「凄いな」


「もの凄い数ね」


「それより、俺達を完全によけてるぜ」



 今、俺達は虫系モンスターの後方にいる。もの凄い数のモンスターが集まって来ているけど、既に先頭集団では戦端が開かれているようだ。


 蟻、蜘蛛が中心だけど、他にもムカデやGちゃんカマキリなどのモンスターも見える。モンスター達を統率してるモンスターがいるらしく、闇雲に戦っているようには見えない。


 少数のモンスターを残して、後方のモンスターが動き出した。全軍突撃ってところだろうか? 残ってるモンスターはこの軍の大将だろう。前線が気になるね。



「不味いぞ。ゴブリンが回り込んで来てるぞ」


「マジかよ……陽動ってか?」


「ゴブリンにそんな知能ないでしょう……」


「ゴブリンになくても上位種にはあります。厄介ですね……」



 俺の目にもゴブリンが見えた。虫系モンスターの後方に回り込むつもりのようだ。ゴブリンは丁度俺達と虫系モンスターの間にいる。ここは援護すべきだろうね。



「ここで虫系モンスターが敗れるのは、面白くありません。援護します」


「援護って……なにすんだよ?」


「まあ、見ててください」



 月明かりの中ライフルを構える。ゴブリンは集団になってるので、多少ズレてもどれかには当たるだろと思う。


 ヒュンッ!


 ゴブリンがギーギー騒ぎだしている。続けざまに何発も撃つ、正直当たっているか自信はない。


 ゴブリンの悲鳴が何度か聞こえ、虫系モンスターの大将も後ろのモンスターに気付いたようです。これで不意打ちの心配はなくなった。



「おいおい、それなんだよ! ネロ!」


「秘密兵器です」


「全部当たったけどにゃ、致命傷になったのは一発にゃ」


「充分なできだよ。虫系モンスターに気付かせるのが目的だからね」


「それは良いんだが……不味い状況だぜ」



 ゴブリンがこっちに逃げて来てますね……。虫系モンスターに反撃されたようですけど、こっちはゴブリンのテリトリーの反対だよ? どうしてこっちに来るのさ!



「しょうがないんじゃにゃいかにゃ?」


「にゃ……」





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