104神猫 ミーちゃん、ゴブリン調査開始する。
森の中に入りY字の編隊を組み前方左右に二人ずつ、後方にも二人の斥候役を配置。真ん中は気配察知を持たない者が配置される。
前方二組は、蒼竜の咆哮、暗闇の牙のみなさんが交代で担当。後方はペロとセラにお願いしている。もちろん、セラは黒豹の姿に戻っている。
ミーちゃんはユーリさん、ルーくんは猫獣人のアニヤさんに抱っこされてる。アニヤさんは模擬戦の時にルーくんの魅了眼にやられて以来、ルーくんにメロメロ状態。今だに魅了状態なんじゃないの? って、思ってしまう程です。
「しかし、あれで良かったのか、ネロ君?」
「仕方ないでしょう。ミーちゃんがキレるくらいですから」
「あら、ミーちゃんも怒ったの?」
「み~!」
「フンッ、当然だ。誰だってあんな言い方されたら、頭に来るよ!」
「「「……」」」
暗闇の牙の虎耳のお姉さんラウラさんが憤慨してるけど、あなた最初はもっと酷かったですよ。敢えて、口には出しませんけどね。
「それで、予定としてはどうするつもりじゃ? 闇雲に探すと言う訳ではないのじゃろう?」
「我々が目指すのは、あの南側にそびえる山の麓ですかね。集落を作るにしても砦を作るにしても適してると思います。逆に言えば、あの山を越える事はないと思ってます」
「だとしても、相当な広さだな。ユーリ、精霊から何か情報は得られないか?」
「今のところは駄目ですね。精霊は興味のある事しか話しませんから」
ちなみに、今この周りに居る精霊はミーちゃんとルーくんに興味があるようです。ミーちゃんは神猫だから精霊も何かを感じ取ってるのかもしれない。ルーくんはたまに遠い目をしてる事があるので、もしかしたら魅了眼を持っているので精霊が見えてるのかもしれないね。
アニヤさんに抱っこされてるルーくんに
「ルーくん、もしかして精霊見えてる」
って、聞いたら
「がう」
って、答えてくれた。ユーリさんが驚いている。
「会話はできる?」
ルーくんは、キョトンとした顔して首を傾げているからできないんだろ。
移動中何度かゴブリンを前方の斥候組が見つけてるけど、上手く回避できている。昼を過ぎたくらいのところで始めてゴブリンの集落を見つけた。
それ程大きな集落ではないけれど、白亜の迷宮から半日程の場所に集落があった事に驚きです。ここがゴブリンの前線基地って事なのかもしれない。
マップスキルに周りの様子、目印になるようなものを記載していく。
「この程度なら俺達だけでも潰せるな」
一緒にゴブリンの集落を偵察に来た、暗闇の牙のリーダーケヴィンさんがポツリと言う。
「そうかもしれませんが、ここで相手に警戒されたら元も子もありません」
「そうだな……済まない。目的を間違えるところだった」
ケヴィンさんの反応が普通なのかもしれない……。小さい時からモンスターは敵で倒すべき存在として位置付けされ、ハンターになって実際にモンスターと戦い商隊や村などが襲われるのを見ていれば当然なんだと思う。体や心に刻み込まれてしまった憎しみ……。
でも、俺はそれが違う事を知っている。モンスターの中には人と共存したいと考える者も居る。現にセラは一度も人に怪我をさせていないし、ルーくんも人と触れ合う事を嫌がらない。飛龍だって同じだと思う。
その事を多くの人に知ってもらいたい。モンスターと呼ばれる者の中にも、人と良き隣人になれる者が居る事を。
「戻りましょう」
「了解だ」
みんなの元に戻り先に進む。マップスキルを見ていたら所々に道がある事に気付いた。獣道なのかな? と思って聞いてみるとゴブリンの道だそうです。
結構な数のゴブリンが動き回っていると言う事だ。と言う事は、この道を辿れば他の集落を見つける事ができるのでは? って、言ったらゴブリンにすぐ見つかると却下されました。そうですね……浅はかでした。ごめんなさい。
夕方近くなり、森の中が薄暗くなり始めたので今日の野営の場所を探します。今いる場所の近くにはゴブリンの道はありません。無いと言う事はゴブリンのテリトリーではないと言う事。ゴブリン以上のモンスターが居る可能性があると言う事でもあります。注意が必要です。
ちょっとした崖に洞窟を見つけ中を調べたけど、モンスターの形跡は無い。一応大気スキルで風を送ってみたけど、何も反応はなかった。ちょっと安心。みんなで近くの木や枯れ枝を集めて入り口を隠す。外から見ても自然に見せる所は、流石にハンターだけあって巧みです。
洞窟に入る前にミーちゃん用シャンプーを水に溶かして撒いておいたよ。用心に越した事はないからね。
洞窟に入ると、ミュラーさん達が火を起こした。洞窟でなければ火を起こす事はない。外で火を起こせば、ゴブリンに見つかる可能性がある。今日は洞窟を見つけられてラッキーだよ。正直クタクタです。みんなについて行けてるのは、ミネラルウォーターのお陰。
洞窟の奥にシートを敷いて毛布も敷く、とペロとセラはゴロンとなった。
「お腹空いたにゃ~」
「にゃ」
どうしても、先を急ぐので昼抜きになってしまう。けど、ペロには干し肉やドライフルーツを持たしているんだけど?
「あんにゃの、ペロとセラにゃんにとってはお菓子にゃ」
「にゃ」
こいつら、絶対に遠足でお菓子は三百円って守らない奴らだ。間違いない。
実はミーちゃんとルーくんはクッキーを食べている。今日の朝いつものようにミネラルウォーターと猫缶を召喚しようとしたら、新しい品が増えていたんだよね。
ミーちゃんクッキー ミーちゃん用のお菓子、食べると体力回復効果あり、豆乳とニンジン味がある。
俺も食べてみたけど、美味しかった。これで、餡子以外にもお菓子が増えてミーちゃんも喜びもひとしお。
ミーちゃんがカリカリと美味しそうに食べてるのを見て、ルーくんが欲しがったので与えてみたら喜んで食べたのだ。
「み~」
「がう」
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