64神猫 ミーちゃん、悪者包囲網に参加する。
男の子の名前はヤン君、病気のお母さんと妹さんの三人で暮らしているそうだ。お母さんが病気で伏せっているので、ヤン君の稼ぎだけで生活するほかない所にこの話だ。泣きっ面に蜂だよ。
「みぃ……」
ミーちゃんがヤン君の肩にのぼり、ほっぺをスリスリしている。ミーちゃんなりの気遣いだね。
それにしても、街の半鐘が鳴らされている。これは大事になりそうだよ。ははは……はぁ。
ハンターさん達が集まるまで時間がかるそうなので、スミレを宿の馬舎に連れてきた。スミレは絶賛、興奮中のようです。ペロ曰く、私も行って悪を成敗するわって息巻いてるそうです。スミレはおとなしく馬舎で待っててね。王都内でスミレに暴れられたら、俺が捕まって牢屋に入れられるから。勘弁してくださいよ。
スミレは渋々、しょうがないわねって仕草を見せてくれた。あんな死にそうだったスミレが立派になったもんだ。お兄ちゃん嬉しくて涙が出てきたよ、グスン。
「み~」
ハンターギルドに戻ると……目が点になった。何人居るんでしょうか。少なく見積もっても三百は居ると思われます。
ジンさんがヤン君と一緒に壇上にあがり演説をしていている。周りからは口笛や喝采が飛んでいる。
「み~!」
ミーちゃんも一緒になってキャリーバッグから頭と前足を出して、バッグをテシテシ叩きながら喝采をあげてる。やる気満々のようだね。
「お腹空いたにゃ~」
ペロはブレないねぇ。ミーちゃんバッグから屋台で買った串焼きを出してやったよ。
ジンさんの号令の元ハンターさん達が移動を開始した。
ジンさんの作戦はこうだ。西区の北六と呼ばれる一帯をハンターで封鎖する。封鎖が完了したら腕の立つ者で班を組み、街のチンピラとOHANASIをして回り情報を集め大元を見つけ出すと言うシンプルな作戦だった。悪者包囲網作戦とでも名付けようか?
ジンさんの予想では大元は、西区を仕切ってるマフィアだろうと言っている。
王都の人々は何事が起きたかと遠目だけど興味深げに見ている。今から起こる事など想像する事すらできないだろう。
そして封鎖が完了した。さあ、OHANASIの時間です。
どんどん、ガラの悪い人達が連れて来られ、折かn……もといOHANASIされ知ってる事を教えてくれる。そう、教えてくれるのだ。あらやだ、怖いわぁ~。それに、たまにOHANASIの終わった人がどこかへ連れて行かれているけど、俺は何も見ていない事にする。気にしちゃ駄目なんだ、気にしちゃ駄目……。
「みぃ……」
「あいつら、どこに連れてくにゃ?」
「にゃんこは知らなくても良い事だぜ。ニヤリ」
「ペロはにゃんこじゃないにゃ!」
ジンさん怖ぇーよ。それに自分でニヤリなんて言う人初めて見たよ!
多くの人達とOHANASIした、そのうち三分の一がどこかへ消えていった……。
「さてと、欲しい情報は揃ったぜ。乗り込むとしましょうかねぇ」
ジンさんはハンターさん達を引き連れて、とある建物を包囲する。
「聞け! 中に居るのはマフィアと闇ギルドの連中だ。容赦する必要はねぇからな! 殺(ヤ)られる前に殺(ヤ)っちまえ!」
「「「おぉー!」」」
ジンさん怖ぇーよ。討ち入りですか? 討ち入りなんですね……。
「坊主はここで待機だ。兄ちゃんはどうする?」
ジンさんはニヤリと笑っている。行きますよ、行けば良いんでしょう! 乗り掛かった舟です、最後まで見届けますよ。
「行きますよ」
「み~」
「悪が栄えた試しなしにゃ!」
「良く言った! 安心しろ指一本触れさせねぇよ」
そして、突入が始まる。
五階建ての立派な建物だ。王都のギルドには敵わないにしても、他の街のギルドよりはるかに立派な建物。
ジンさんと俺達も建物の中に入る。他のハンターさん達は上の階を目指しているようだ。怒鳴り声や大きな争う音が聞こえてくる。
ジンさんと俺達は一階を隈なく調べる。ジンさんとペロが気配察知を持っているので、殆ど不意打ちは効かない。悪党共をバッタバッタと倒していく。
「ほう。にゃんこ、やるじゃねぇか」
「にゃんこじゃないにゃ! ニャイトペロにゃ!」
途中一度だけ忍者のように天井に張り付いて気配を殺した奴が居たけど、ミーちゃんが見つけて教えてくれたので空気大砲で撃ち落とした。ミーちゃん偉い!
「み~」
「そっちのにゃんこもやるな。こいつは、相当な殺し屋だ。俺の気配察知に引っ掛かりやがらなかったぜ……。すまん」
「流石、姫にゃ!」
ジンさんはしっかりと止めを刺した。自業自得だから仕方ない……。
どうやら全ての階を制圧したみたいだけど、肝心のボスが居ないらしい。実はマップスキルで地下に降りる階段を見つけている。
食料庫の床に階段がある事をジンさんに伝えた。
ハンターさん達が降りて行って調べたけど、既にもぬけの殻でした。上の騒ぎに気付いて、持つものも持たずに逃げたようだ。ハンターさん達が地下を調べた結果、王都の排水用の地下道に繋がっていたようです。残念ながら追跡は不可能と判断して戻ってきたようだ。
地下には執務室のような部屋の他に居住の部屋、武器防具庫、図書庫があった。ハンターさん達は居住の部屋や武器防具庫から荷物を嬉々として持ち出している。盗賊か! って言いたい所だけど、図書庫の本は要らないと言っていたのでミーちゃんバッグに全て収納してもらった。本って貴重なのにねぇ。
残すは、執務室。机の上に紙で包まれた箱が置いてある。これが奪われた荷物なのかな? 回収しておく。机の中や棚の物も全て回収。少しばかりの金貨や銀貨が見つかる。
一人のハンターさんが金庫を見つけたようだ。マップスキルにはもう一ヵ所怪しい場所があるのだけど、どうやって開けるかわからない。
「ネロ? どうしたにゃ?」
「ここに何かあるんだけど、どうやって開けるかわからなくてね」
ペロとミーちゃんが壁を叩いたり、蹴ったりしているがうんともすんとも言わない。諦めてハンターさんを呼ぼうかなと思った時、ペロがランプを載せると思われ台にジャンプした。すると台が下に動きギーと音がして足元に金庫が現れましたよ。ペロやるじゃないか!
「よ、予想通りにゃ……」
ペロ君、たまたまだったのね。
「み~」
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