28神猫 ミーちゃん、キャリーバッグを気に入る。
実質、寝ていられたのは二時間くらいかな、周りが騒がしくなり寝ていられなかったよ。
起きてからテントを畳むまでがこれまた大変だった。慣れてないから四苦八苦。ギリギリ、朝食に間に合いました。
ミーちゃんは俺がテントを畳んでる間に朝ご飯を食べて、また寝てしまいました。ミーちゃん、どこで寝てるかと言うと、新しく召喚できるようになったショルダーベルト付きのソフトキャリーバッグの中でお休み中です。防音、耐揺れ機能付きと言う高性能ぶりはお約束。中にバスタオルを敷いて、シュバルツさんのお店で買った保温具を入れるとポカポカですよ。もし、俺も中に入れたとしたら、もう出てきたくなくなる事間違いなしだね。朝ご飯の後、寝ていたミーちゃんをキャリーバッグの中に入れてあげると幸せそうな顔して寝ていたね。
軽い朝食をとって商隊は村を出発する。ハンターさん達が手を振って見送ってくれた。ガイスさんは見当たらない。二日酔いなんだろうか?
商隊の人達は疲れきった顔をしてる。バンさんも話をしてる時はちゃんと起きてるけど、ちょっと目を離すとコックリコックリしている。居眠り運転なんですけど……まあ、バムが優秀なようだから問題ないけどね。
ミーちゃんがキャリーバッグの上の入り口から顔を出した。起きたようだね。でも、不思議そうな顔をしている。いつの間にか村を出て知らないキャリーバッグの中に居た訳だから当然といえば当然だよね。
「み~」
はいはい、今ご用意致しますよ、お嬢様。キャリーバッグの脇からご飯とミネラルウォーターの入った皿二枚を入れてあげる。こんなに揺れている馬車の上なのに、キャリーバッグの中は全く揺れていない。神様仕様、恐るべし。
ミーちゃんはキャリーバッグをえらく気に入ったようで、道中はバッグの上の部分から前足と頭だけ出して風景を眺めている。
そんな道中は眠たい以外何事も起こらず、早い時間に目的の野営地に到着した。
野営地は大きな岩がVの字に並んでいるので、逆Vの字に荷馬車を配置して守りを固めやすくしていた。御者さん達はハンターさん達とバムに草を食べさせに行き、残りはテント張りや食事の用意をしている。
俺もテント張りを頑張ってやったよ。二度目なのでだいぶ時間は短縮できたね。
ミーちゃんはずっとキャリーバッグの中に居たので、どうやらおトイレに行きたいらしい。ミーちゃんバッグから、猫砂セットを出してもらいテントの裏に置いた。ミーちゃんだって、見られたくないよね。
そこで気付いた。猫砂セットの効果ってなんだっけ? 確かモンスターが寄り付き難くなるだったよな。この商隊の大きさなら十分に範囲内になるじゃないか! これで完全に安全と言う訳ではないけど、少しは安心して寝れるんじゃないの? ミーちゃんが用を足し終わった猫砂セットをしまわずそのまま置いておく事にする。完全に忘れてたね……。
夕食まで時間があるので、大気スキルの検証をしてみる事にした。
ミーちゃんを抱っこした状態で、人の居ない場所に移動して木に向かって構える。
取り敢えず、風を起こしてみよう。大気が流れるよう意識すると、そよ風が吹いた……ミーちゃんを乾かす時はこれにしよう。
考え方を変えてみよう。大気を圧縮して打ち出す、そう空気銃を意識してやってみた。ちなみにソフトエアガンじゃないよ。
ドンっと言う音と共に狙った木が揺れる。木自体に外傷はない。衝撃だけのようだ。牽制程度には使えそうかな?
試しに石を拾って、木に向けて掌に載せた石を打ち出すイメージでやってみると、ヒュン、ガツッと音がして石が木にめり込んだ。おぉー、これは使えそうだ。ただ掌を石が通った所が浅く切れた……い、痛いです。すぐにミネラルウォーターを掛けて直したけどね。軟弱って言うなよ。
「何をやってるんだ?」
「み~」
おわっ、びっくりした。ファーレンさん達がいつの間にか後ろに居た。ミーちゃんは気付いていたみたいだね。
「どうしたんですか?」
「どうしたって……なあ?」
「あんな音を聞いたら、誰だってモンスターかって思うだろう」
「あなた、またなんか変な事やってるんでしょう!」
な、なんですか変な事って、失礼な言い方やめてくださいよ。
「大気スキルの検証をしていたんですよ」
「大気スキルは余り役に立たないと言われてるスキルだが、昨夜後から聞いたが有用なスキルみたいだね。何か収穫はあったのかい?」
「まだ、検証中ですが少しは使えるかなと……」
「ほう、例えば?」
うーん。実際に体験してもらった方が早いかな。八つ眼の牙の盾持ちの方に盾を構えて立ってもらった。
「ちゃんと構えていてくださいね」
「お、おい大丈夫なんだろうな?」
「強く押されるだけですから問題無いと思います」
ハンターさんが盾をがっちし構えたので、合図を出して空気を圧縮して打ち出す大砲を意識した。
ドーン!
ハンターさんが吹っ飛んで行きましたね……。怪我してないと良いけど。
「な、なんなのよ! またどーんって、どーんって鳴ったわよ」
「みぃ……」
そ、そんな襟を掴んで揺さぶらないでくださいよ。首がおかしくなるし、ミーちゃんが怖がってますよ。
「痛たた……どこが問題無いだよ。死ぬかとおもったぜ……」
「これは、大気スキルを見直す必要があるな……」
「殺傷力は無いが牽制には十分に使えるぜ」
「まだ、他には何かあるかな?」
「実験段階のもので良ければ」
「見せてもらえないだろうか?」
構わないんですけどね。どうやってやろうか? 同じ事したらまた手を切るだろうな。
ミーちゃんを炎使いのお姉さんに預けて周りを見渡す。大きめの枝を小剣で削って平らにして、拾った石を載っけた。
「何をしてるんだい?」
「実験器具の作成です。準備ができたんで、俺より後ろに居てくださいね」
みんな下がったので、大きな木の幹に狙いを定めて 石を高圧の空気で打ち出すように意識する。
ヒュン、ガツッ!
良い感じで幹に食い込んだけど、狙った場所ではなかった。石が飛んで行くとき変化球のようにブレて飛んで行ったので、形が歪なせいで空気の抵抗を受けたようだ。
開いた口が塞がらないとはこう言う事を言うんだろうか? みんな固まって動かない。
「ちょ、ちょっと! ひゅんって、ひゅん、がつって! 弓矢より凄いじゃないのよ!」
だから、襟を掴んで揺さぶらないでくださいって……。ミーちゃんはお姉さんに必死でしがみついているよ。
「凄いな……」
「めり込んでるぜ……」
「俺、弓使い辞めようかな……」
「あたしも……」
「でも、どうしてその木に載せたんだ?」
木を渡して見せてあげた。木の上を一筋の傷がはしっている。さっきより酷い状態だ。手に載っけていたら大変な事になってたかも……。
「成程な、だが十分に使えるんじゃないのか?」
「駄目ですね。狙いが定まりません。下手すると味方に当たりますよ」
みんなその光景を想像したようで、ブルっと体を震わせる仕草を見せる。
「何か道具を作らないと駄目ですね」
「そうか……。これから向かうクイントは職人の街だ。相談してみれば良いかもしれないぞ」
ほう、職人の街ですか。職人さんに銃のような物を作ってもらえばいけるんじゃない?
道中考える時間はたっぷりあるから、少し考えてみよう。
あ、ミーちゃん戻っておいでって……お姉さん達いつの間にかミーちゃんをモフっている。ミーちゃんを解放してください!
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