VSエルドン&VSデュル
第三十一話 マッチョの尻尾 その1
W町は、人通りもまばらで、自然も豊かだ。
また、そこには山地もあり、そこに人はほとんどいない。
その山地には、大きい一軒の家が立っている。
そして、ドアの前に3人、立っていた。
「......ここが、クローバーのメンバーが住んでいる家なのか?」
「ええ、サナによるとね」
アマツとアリアスが話している。
アリアスもサナに言われたのか、さん付けはしていない。
「にしても、クローバーも馬鹿だぜ。仮面とか何かで顔を隠してないとすぐばれるって分からなかったのか?」
ジュールは、クローバーの不用心さを指摘する。
「まあ、警察じゃ強すぎて手を出さないと思ってたんですかね。ディフェンサーズも人間を殺しに出るなんて考えてなかったんじゃないですか? 俺ら一応エネミー専門なんですし」
「一応、警察の許可は下りているらしいわ。これで私らディフェンサーズは、クローバーに攻撃できるわ」
普通なら、ディフェンサーズと言えども、悪人を殺してしまうと殺人罪として逮捕される。
だが、国家機関である警察が許可したということは、間接的に国が許可したことになる。
つまり、ディフェンサーズはテロリストであるクローバーを全滅させる権利が与えられたことになる。
サナはこの前「役員が賛成派と反対派でもめている」と話していたが、警察の許可が出たことによってそれは収まり、クローバーを倒すということで一致した。
「はぁ......」
アマツは憂い、溜息をつく。
「お、どうした?」
ジュールがそれに気づく。
「いや、やっぱ人殺しはきついっすね......」
「何を言ってるんだよ。俺ら今まで散々エネミー倒してきただろ? 人間の内臓なんて余裕で見れるだろ」
ジュールが彼の前に立ち、説得する。
「でも......」
「アマツ、これも仕事だ。我慢するんだ」
「......はい」
彼は仕方なく説得に応じた。
ここまで来たんだ、あとには引き下がれない。
「......じゃあ、入るぞ......」
ジュールの言葉に、二人は頷く。
ジュールはドアを押した。
しかし、鉄でできたドアは動く様子はない。
「やはり、鍵がかかってるか。アリアス、壊してくれ」
「はい」
と、アリカスがジュールの前に出ると、右手をドアの前にかざし、インシネレーションを放つ。
ドアは壊され、家の中が見える。
「入るぞ」
と、3人は家の中に入る。
家の中はコンクリートがむき出して、電気は一つもついていなく、暗い。
3人は周りを探すも、人がいる気配も無い。
「誰もいないわ。体格はかなりでかいから、すぐに見つかるはずだけど......」
「おそらく、留守だろうな」
ジュールの予想は当たっていた。
3人が話していると、ドアのほうから人が入ってきた。
「なんだ、これは......」
アマツは、その人物がこの家の荒れ具合に驚愕しているのが分かった。
3人はその人物の方向に振り向く。
「......貴様らか、俺の家をめちゃくちゃにしたのは......」
と、怒っている様子のその人は、玄関の2つのスイッチを入れた。。
すると、人物がいる玄関と3人がいたリビングと思われる広い部屋に明かりが点いた。
アマツはようやくその人物の全貌が見える。
その男は、スキンヘッドのいかつい顔をした男性。
体はガチムチで、体格もでかい。
そして右腕には、剣が装備してある。
「あの剣を気を付けろ......」
ジュールは二人に小さく言う。
「空き巣は静かにするものだぞ」
どうやら聞こえていたようだ。
その男は男は段々近づいてくる。
その男の迫力はすごく、アマツはそれに萎縮する。
エネミーとはまた違った雰囲気だ。
「お前は、『エルドン・カイ』だな?」
だが、ジュールは強気な姿勢で言う。
「それがどうした?」
エルドンは顔をしかめる。
「......お前の命をもらいに来た」
と言った途端、エルドンの右腕についている剣が伸びて、ジュールに向かって行く。
「ジュールさんっ!!」
ジュールはそれを回避したが、右頬が裂けた。
剣はコンクリートの壁に突き刺さり、亀裂が入る。
「......とうとうディフェンサーズが動き出したか......」
そう言って、彼は剣を抜く。
「いてて......」
ジュールは血が垂れている頬を触る。
「貴様ら全員、あの世へ送ってやる!」
エルドンは剣を2回振り回した。
やる気だ。
それを見たアマツは、エルドンを倒さないと生きて変えることはできないと確信し、
(気圧されてる場合じゃない!)
と、恐怖を振り払い、エルドンを倒すと決意した。
彼は腕に炎を宿し、こう言った。
「望むところだ、エルドン!!」
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