第十七話 小学生と忍者

 No.12、ベンガル

 No.11佐助


 二人は、大魔王ペソの手下である、ユーロを倒すために共に行動している。

 昼間なのにもかかわらず、この森林の下は薄暗い。

 

 「今日が休日でよかったですよ。じゃないと学校でここに参加していませんし」


 ベンガルは、佐助に背負われている。

 その佐助は、木と木を飛び越えながら進んでいる。


 「ああ。しかし、小学生だからって、この距離なら一人で動けるだろ」

 「僕もこのくらいなら動けますけど、さすがに佐助さんのスピードにはついていけませんよ。時間の無駄ですし」


 「!」


 すると、佐助が急に止まりだした。

 その反動で、ベンガルの顔が佐助の背中にあたった。


 「い、いてて、鼻が......」

 「何かいるな」

 「え?」


 佐助は気から降りると、その気配の正体を探し始めた。


 「何者だ! 出てこい!」

 「ユ、ユーロですか?」


 ベンガルは鼻が痛いのか、涙を流している。


 「ああ、恐らく......」


 すると、カサカサと草が擦れるような音がした。

 二人はすぐにその方向に向くと、音の方向には、光を放っている。


 「なんなんでしょう?」

 「あれは......! 危ない!!」


 佐助はとっさにベンガルを抱きかかえ、木の上に移動した


 「うわっ!?」


 その直後、その光からビームが出てきた。

 そのビームは、地面にくっきりと跡を付けていった。

 そのビームが発射された方向から、前進真っ白のエネミーが出てきた。

 ユーロだ。


 「貴様か、あのビームを撃ったのは」


 佐助は口を隠していたマスクを外した。


 「お前たちを止めに来た。ペソ様の邪魔はさせぬ!」


 ユーロは、尻尾を二人に向かって振り回した。

 ベンガルを抱きかかえた佐助はそれを避けて、地面に降りると、そこにベンガルを下した。


 「危ないよ、そこの目玉。佐助さんが助けてくれなかったら蒸発してたよ」


 するとベンガルは、ポケットからキューブ状のものを取り出した。


 「なんなんだ、これは......?」


 ユーロは目を凝らしながらそれを見る。


 「これはね、いろんなものに変形できるんだ。例えば......『スタイルαアルファ』」


 すると、彼のキューブは勝手に動き始めた。

 そしてキューブは、バラバラになったかと思うと、それは彼の両手両足にくっつき始める。

 そして間もなく、彼のそれは、機械に包まれた。


 「んん!?」


 ユーロは驚いた。


 「まあ、エドナさんの天獣手の劣化のようなものだけど......」


 ベンガルは、一瞬でユーロに近づいた。

 

 「!!」


 ユーロはベンガルに向かってビームを放ったが、気づいたら、ユーロの左手を持っている彼がいた。


 「こんな風に戦うこともできるんだよ」


 ベンガルはユーロの腕をポイっと捨てる。


 「お、おのれ......」


 ユーロの目は、怒ったのか、充血していた。


 「おい貴様、俺もいるんだぞ」


 ユーロの背後から、佐助が飛び出してきた。


 「このっ!!」


 ユーロは体中から手のようなものを生やし、それを佐助に向かって伸ばした。

 が、佐助は背中の刀を抜くと、次々とその手を切断していく。

 そして佐助は、その刀をユーロの目に刺した。


 「ぬごおおおおああああああああ!!!」


 ユーロは大きな目を押さえながらもがき苦しんでいる。


 「佐助さん、避けて!」


 ベンガルは、佐助にこの場から少し距離を取るように指示する。

 佐助が従うと、ベンガルは両手を、ビーム砲に変形させた。


 「『スタイルγガンマ』」

 ベンガルはエネルギーおをチャージさせていった。


 「うわ、な、何をするつもりだ!? やめろ!!」


 ユーロは目が見えないのもあって、とてもおびえていた。


 「やめるわけ、ないでしょ」


 ベンガルはそういうと、チャージし終わったエネルギーを一気にユーロにむけて放出した。


 「ぐわあああああああああああああああああ!!!」


 ユーロは断末魔をあげたが、それはユーロがはなったビームよりも大きいビームの発射音によって掻き消されてしまった。


 ビームを発射し終えると、そこに彼はいなかった。


 「討伐完了ですね、佐助さん!」


 ベンガルは満足そうな顔を浮かべながら、彼の体についていた機械をもとのキューブに戻している。


 「そうだな、案外あっさり終わったな。」

 「ま、所詮は幹部でしたね。あーあ、どうせ戦うんなら、エドナさん達のペソと戦いたかったなぁ......」


 一方アマツたちは、もう一体の幹部、マルクに苦戦を強いられていた......。


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