第一話 大学生とニート

彼は外に出ることにした。

 最近外に出ることはなかったからだ。

 3日ぐらい引きこもっていた。

 これ以上外に出なければ、干物になってしまうと考えた。


 ちなみに食料などはネットで買っていた。

 ネットの偉大さをその時改めて彼は感じた。


 彼のアパートを出て5~10分ぐらい歩くと、少しでかい公園がある。

 彼がその公園のベンチに座ると、彼を呼ぶ声がした。


 「お、アマツじゃないのか?」


 そのチャラい口調の声の方向に彼は振り向いた。

 それは彼の知り合いであった。

 彼の名前は十郎じゅうろうである。

 高校からの仲である。


 「あ、十郎か?久しぶりだな」

 「久しぶりにしては短くないか? 1か月前に会ったんだぞ?」

 「1か月前って久しぶりだろ」

 「俺の中では半年前から久しぶりなんだぜ」

 「知らないよ。ていうか俺たちどんだけしょうもない会話してるんだよ」


 彼らはこういうくだらない会話をしては、笑いあっていた。


 「あ、そうだアマツ、お前もう就職した?」

 「? してないけど」

 「そうなのか。お前大学入らないもんだから、就職しているもんかと」


 十郎は大学に進学していたが、アマツはしていなかったのだ。


 「いやだって、大学面倒くさそうだし」

 「そんなことないぜ? サークルやら行事やらで結構楽しいぜ? まあたしかに勉強はきついけどな......」

 「ああ、でも肝心の就職先が決まらない......」

 「なんだよそれ、お金はどうしてるのか?」

 「お金は親からもらった金を切り崩して生活してるから、あと1年以上もつかな?」

 「それ結構やばい状態なんじゃね?」


 彼らが少し黙り込むと、十郎が口を開いた。


 「そうだお前、ディフェンサーズに入ったら?」

 「なんで?」

 「だってお前、炎でるじゃん。それ使ってエネミーを焼くつくせるんじゃないのか?」

 「うーん、でも、あまり使い道ないんだよなこの炎、威力あまりないし......放火でお前の家を燃やすことぐらいならできるかな?」

 「......お前今さらっとすごいジョークいったよな?」


 その時だった。



 ドォォォン


 地響きがした。


 「なんだ?」

 「エネミーでも現れたのか?」


 辺りを見回すと、巨大な鰐みたいな生物が現れた。

 10メートル前後はあるだろうか。


 「やっぱりエネミーだ、アマツ、逃げるぞ......おーい、アマツ?」


 アマツは固まっていた。なぜなら......。


 「あのエネミーが向かっている場所、俺のアパートじゃねえか!?」

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