2日目

「こんにちは、マンマンマンです」

「やっぱり来たのか…ノックぐらいしてくれない?いきなり背後に現れるの心臓に悪いんだけど」

「マンマンマンは心臓の疾患については保証しませんのであしからず」

「そうじゃなくて」

ついこの間発売されたばかりの新型ゲーム機、Smith で遊んでいたところこいつはやって来た。

「そもそもマンマンマンは壁やドアをすり抜けるのでノックなどできません」

「床はすり抜けないの?」

「4センチ浮いてるんです」

「そこは3センチじゃないんだ…」

「3センチだと訴えられるかもしれないじゃないですか」

「その台詞は全身美容整形手術を受けてから言うべきだと思う」

「私の外見が見苦しいとでも言うんですか?訴えますよ?」

「いやそうじゃなくて…めんどくさいな、今日もあんた食べたりしないし帰っていいよ」

なぜ私はこいつと当たり前に会話をしているのだろうなどと言う疑問は考えたら負けだ。

「いえそれがですね、マンマンメン本部からここの家の主と契約してこいと言われてしまいまして」

「断る」

「契約期間中私が毎日参上します。2年縛り、その間に解約しようとすると法外な違約金を支払っていただくことになります」

「断る」

「私だってこんな無愛想な人に頭下げたくないのでさっさと契約して下さいお願いしません」

「ことわ…何が無愛想な人だてめえ」

「だってヒーローですよ?ヒーローが現れたというのに話はゲームしながら聞くだけであまつさえ追い出そうとする、そんな人に頼みごととかしたくないじゃないですか」

「頭からつま先までパチモンの、見ているだけで自分の正気を疑いたくなるような奴にわーい!!きみはお腹が空いた人を助けるフレンズなんだね!って言える訳ないだろ」

「ともかく契約して下さい、契約してくれないと私の首が飛ぶんです」

こいつの姿形では首が飛ぶのはむしろ宿命ではないのだろうか。

「やだよ、帰れ。さもないとゴキブリホイホイに縛り付けるぞ」

「それは嫌です、帰ります」

「…もう二度と来るなよ」

「しょうがないですね、本部に持ち帰って案を練ってきます」

「いや、だから来るなって」

「それではまた御機嫌よう」


帰っていった。

疲れた。寝よう。

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また来た!マンマンマン! 保護フィルム @P_film003

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