<Chapter 11>


 今日も、色んな客が来た。人数が少なかった分だけ、とても濃い時間を過ごしてもらった気がする。七人の客のうち、誰もが笑顔を絶やさなかった。そんな楽しい時間が提供できたのは、ウェイトレスの彼女にとってとても嬉しいことだ。だからこの仕事は辞められない。

 夜も遅くなった頃に、彼女のモップがけもようやく終わる。あの後も何人か客が来店し、接客が忙しくてまともに掃除が出来ていなかったのだ。いそいそと窓の雑巾がけも終わらせて、店内がピカピカの状態になる。とても、気分が気持ちいい。

 今日の客で一番楽しそうだったのは、やはりあの奇妙なカップルだろう。二人だけの世界に入るまでが長かったが、それからはとても充実した時間を過ごしてくれていた。あの二人がこれからも末永く幸せでいるよう、ウェイトレスは願うばかりだった。

 女子高生二人組も、帰る時は楽しそうだった。会計の際恥ずかしそうにしていたが、ああいうケースはしばしばある。だから彼女としては慣れたことだったのだが、客の方はそうもいかない。皆申し訳なさそうに小銭を出して、今時のレジの性能に驚嘆する。エンターテイメントを提供できるのなら、彼女はそれだけでも満足だ。

 男子大学生三人グループは、とても楽しそうに騒いでいた。客が多い時だったら周りの迷惑も考えて欲しいが、まぁ今回は七人だけだったし大目に見てやる。約一名だけツッコミ役でとても疲れていそうだったが、こなれていたところを見る限りいつもあんな調子なのだろう。とても仲の良い友達同士というのは、彼女も少しだけだが羨ましい。

 今日も本当に、色んな客が来た。そしてその誰もが楽しそうに食事して、満足しながら帰っていく。だからウェイトレスは業務日誌に、いつもと同じくこう記すのだった。

 ――サンテラスは、今日も通常営業です。

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Restaurant SUN-TERASU! 柊 恭 @ichinose51

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