寿司コンが人生を百倍充実したものに変える物語
RAY
寿司コンが人生を百倍充実したものに変える物語
「拓、どうかした?」
ドレスシャツを素肌に
「――あっ、
シャンプーの甘い香りに導かれるように顔を向ける拓。シャツの胸元から覗く、
「カクヨム……寿司小説……コンテスト?」
前髪を掻き上げると、結衣はおでこを出すようにバスタオルを頭に巻きつける。
「寿司を題材にしたコンテストが開かれてるの」
「へぇ~そうなんだ。拓が書くとしたら――異世界のお寿司屋さんの話かな?」
結衣が口角を上げて笑うと、拓ははにかんだような顔をする。
拓は中学二年生の文芸部員。異世界物を書くのが好きで、書いたものはいつも大学の文学部に通う結衣に見てもらっていた。
「でも、どうして難しい顔してたの?」
結衣が尋ねると、拓は小さくため息をつく。
「カップルが寿司屋に行く話を書こうと思ったんだけど……」
「――だけど?」
「全然イメージがわかなくて……デートなんかしたことないし……」
「困っちゃった――ってわけね」
結衣は「うんうん」と頷きながら両腕を拓の腕に絡ませると、息がかかるぐらいの距離に顔を近づける。
「連れて行ってあげようか? お寿司屋さん」
「えっ?
拓の顔に驚きと喜びがいっしょになったような表情が浮かぶ。
「デートの相手がこんな年増でいいなら――だけどね」
「い、いいに決まってるよ! 僕、
思わず声を荒らげる拓。結衣の大きな目が優しく見つめている。
拓は心に誓った――「
ここに一つの物語が始まる。
寿司コンに挑む
そのとき、
RAY
寿司コンが人生を百倍充実したものに変える物語 RAY @MIDNIGHT_RAY
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