「おすし」

第1話 「おすし」

いらないことはなにひとつ言う必要がない。だって一言で良いのだから。

「おすし」

まず、語感が素晴らしい。そう思いませんか。もちろん「Osushi」なんてものも最近はありますけれども、やっぱり私たちが食べたいのは「おすし」なわけです。

語源を辿れば、すし＝酸しなわけで、酸の味覚の最上級的な、とにかく敬意をもって「お」をつけて「おすし」と今でも呼ばれていたりして。

なんて素晴らしいことでしょう。酢と混ぜて腐りにくくした米に魚の生身を乗せて食べようと考えた先人の漁業や漁師の生活、あり方。

そういう形のない文化に敬意を表したい。そして、いただく。きっとすしがもっとずっと美味く感じられることでしょう。

ところで、あなたの好きなネタはなにでしょう。すしやに行ったら、まず一皿目はこれを食べる「ファーストおすし」はあるでしょうか。

数多ある魚の中からたいていの人がマグロ、と答える時代は終わり、今ではサーモン人気が沸騰してきているようです。若者パワーでしょうか。鯖やら鰤やらも脂が乗って美味しいのですが。

私は納豆巻です。ひきわり納豆が好きなもので。