男子校生は平凡な恋を求め続ける

弐戸 健太 

第0話 大後悔の始まり

受験。

つまり、何かしらの試験を受けることだ。

幼稚園受験から始まり、小学校受験、中学校受験、高校受験、大学受験、専門資格試験……。と、数多くの試験があり、未来の選択肢を広げるために多くの人がそれを受ける。そして、受かったらその先の資格や人生を進み、落ちたらまた再チャレンジしたり、その道を諦めたりなど人それぞれだ。


そして、そんな無数にある試験の中で、一番大変であると言われているのは、だ。


中学受験が一番大変だと言われている理由はおおきく3つある。


一つ目にであるという事。

これは他の受験ではありえないことで、中学進学は義務教育のうちなので、絶対にどこかしらの中学校に行かなければならないのだ。だから、落ちたらそこまでの努力はすべて水の泡。失敗して一番後悔する受験でもあると言える。


二つ目は学校で教えられる範囲とあまりにかけ離れていることだ。

難関校にかぎらず、様々な学校で学校で教えられる内容ではなく、高校入試レベルの問題もちらほらみられるくらいの能力を要求されるのだ。だから、高校受験や大学受験の時と異なり、小学校がバックアップをしてくれないという事も大変な理由の一つだ。


最後に受験する年齢だ。

中学受験するときの年齢は心身ともに成長過程まっただ中。つまり、遊び盛りの12歳であり、遊びたいという欲求を抑えながら塾に通い勉強に勤しむのは大きな苦痛であるということだ。中学受験性の多くが小4か小5で受験勉強を始めだしている。

(ちなみに俺は、小4の頃から勉強を始めた派だ)しかし、その小学生の大半が親に強制的に受験を勧められて始めた子がほとんどで自分の意思など皆無だ。

だから、学校選び等も人任せや学力任せになることが多い。


そう、俺もその中の一人であった。

親に中学受験をやれと言われ始めて、いやいや受験を始め、何度も塾のクラスで落ちぶれそうになったが、謎のプライドが作用して一番上のクラスを保ち続ける。

そんな中学受験生活だった。

当時俺は塾でも友達を作り、小学校よりも進んだ授業を受けて、塾生活に若干ながら充実したものを感じていた。

かといって成績がいいわけではないのだが、小学校よりは楽しい(小学校にも友達はいた)とも思っていたし、なんだったらいい学校に行ってやろうとも思っていた。


そのせいもあり、関東でもトップクラスの学校を勧められ、何も考えずにそこを受けようと考えた。そして、親から受けたい学校の希望も聞かれても、正直自ら始めた受験ではないから、特に希望もなく、その時年頃であった俺は、女子をうっとおしく思っていて、『』とだけ言っておいた。


ここで俺は大罪を犯したのだ。

人生一度きりの青春を何も考えずに、棒に振ってしまったのだ。

男子校に行きたいなどというたった一言で、だ。

俺はこの自分の言葉ほど、人生で後悔している言葉はない。


何故、俺は男子校というむさっ苦しい監獄に自らを追い込むような真似をしたのだろうか?

何故、進学校だからといって何も考えずに進学を決意したのだろうか?

何故、中一二の頃は『男子校最高!!』などと馬鹿なことを考えていたのだろうか?


ああ。後悔しか浮かばない。


確かに、最初のころはよかった。

中高一貫の進学校に進み、男子校ライフを満喫している俺がいて、女子がいないことに膨大なメリットを感じていたからだ。

女子という監視の目がなく、先生にチクられるという恐怖がないため、好き放題することができた。それに、女子に引かれる下ネタを言ったり、趣味を暴露したりなど、本当に生き生きとした生活を送ることができた。


ただ、そこまでであった。

6年間恋愛ができない。つまり、6年間男しかいない生活。

その事の重大さに気が付いたのは中二の最後であった。


周りでは彼女がほしいと思うようになり、一部の彼女持ちを除き、大抵がうまくいかず二次元を愛する者になったり、にする者があふれ始め、自分もこのままソッチの道に進んでいいのか?どうなんだ?

と、疑問に思うようになった。


勿論答えは『絶対にダメだ』。


だから、俺は、恋がしたい。




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男子校生は平凡な恋を求め続ける 弐戸 健太  @tanikotoke

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