【発売まであと3日】トキシックボア
――補助スキル『タウント』発動!
バックラーを叩き、その振動に魔力を乗せて敵の攻撃を自身に集中させるスキル。
しかし水の中にまではその振動は届かない。
トキシックボアは、眼鏡ちゃんへの攻撃をやめようとしない。
噛まれる前に、その身体から引き剥がさなければいけない!
眼鏡ちゃんが逃げようともがいている。
でも、それは逆効果だ。
「ヘビは毒より、その締めが厄介だ! 身体から力を抜いて!」
「そ、そんなの、む、無理で……!」
くそ、剣で斬ろうにも、こんなに動かれると眼鏡ちゃんが危ない!
しかし、ためらった瞬間だった。
トキシックボアが、その口を大きく開けた。
その鋭い四本の牙が、ぎらりと光る。
……まずい!
おれは反射的に動くと、その口に自分の腕を割り込ませた。
――ドスッ!
その腕に、トキシックボアが牙を立てる。
「ぐあ……!」
その傷口が、かっと熱くなる。
びりびりと痺れるような感覚のあと、身体の動きが鈍くなっていく。
麻痺毒スキルは回復のための動作を阻害する。
そっちに手間取るよりは、いっそのこと……!
「寧々!」
振り絞るように叫び、残りの力でトキシックボアの頭を掴む。
やつは気道を潰される形になり、眼鏡ちゃんからこちらへと巻き付いた。
「ぐ……っ!」
スキルの展開が遅れ、その締め付けをまともに食らってしまう。
ギシギシと身体の骨が軋む中、寧々の声が聞こえた。
「よーし、動くなよー」
彼女の魔力の糸が飛び、トキシックボアの身体に巻きついた。
それを媒介に高熱スキルを発動する。
――ズバンッ!
トキシックボアの身体が切断された。
途端、力が抜けて、ずるりと温泉の底に沈んでいく。
「……ハア、ハア」
おれは傷口に右手を当てて、回復スキルを使用する。
体内の毒が浄化され、やがて痺れが消えていった。
「大丈夫?」
眼鏡ちゃんがこくこくとうなずいた。
「よし、寧々。これでいいのか?」
「あ、ああ。そうなんだけど……」
なぜか寧々が渋い顔をしている。
「それ、雌だろ?」
「え?」
見ると、そのトキシックボアの腹が赤かった。
これは確かに、雌の証拠だ。
「なにか問題があるのか?」
「目撃情報だと、つがいで行動しているらしいんだ。しかも、雄のほうがでかい」
おれはスキルを展開した。
――探知スキル『エコー』
+
――追跡スキル『トレーサー』
周囲の魔素を探知する。
すると温泉の底に、ぬらりとした巨大な長い影が映った。
その向かう先は――。
「寧々、伏せろ!」
――ザバア――――ンッ!
数メートルもある大蛇が、寧々たちに向かって飛びかかった。
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