40-7.さいごっぺ


 残り、六体。


 その中から、もふもふに擬態させたモンスター核を見つけ出す。

 試しに『トレーサー』で探ってみるが、どれからもフライトラップの魔力を感じた。

 おそらく、尻尾でつながっているためだろう。


「どうすればいいの?」


「いえ、やることは変わりません。他と同じように、フライトラップとつながった尻尾を切ればいいです」


 問題は、フライトラップが新たに繰り出してくるであろう再生体の攻撃だ。

 いったい、どれだけの魔力が貯蓄してあるのかはわからない。

 しかし、それも無尽蔵というわけではないだろう。


「……おれが引きつけます」


 ――補助スキル『タウント』発動


 バックラーを叩くことで、魔力をエリア中に拡散させる。

 それに当てられたモンスターは、すべての攻撃をおれに集中してくる。


 案の定、地面から微かな地鳴りが聞こえた。


「主任、もふもふの救出をお願いします!」


 おれは跳んだ。

 その場所に、新たに再生されたフライトラップが攻撃を仕掛けてくる。


 その茎に当たる部分を切り飛ばした。

 それは地面に落ちるが、すぐに切り口から新たな個体の再生を始めた。


 横から、他のフライトラップの攻撃が仕掛けられる。

 それを剣でなぎ払いながら、主任のほうに声をかけた。


「あと、どのくらいですか!」


「あと二体よ!」


「よし、この調子なら……」


 そのときだった。


 次に助けようとしたもふもふの瞳が、ぎらりと光った。


「――主任、危ない!」


 おれは迫るフライトラップを切り飛ばすと、そちらへと跳んだ。


「え?」


 主任が触れようとしたもふもふが、ぶるぶると震える。

 その口が大きく裂けたかと思うと、そこからびっしりとフライトラップの牙が生えた。


「ひっ……!?」


 あまりのことに、主任が硬直する。

 その瞬間、そいつは彼女へと飛びかかった。


 ――ズバンッ!


 間一髪、おれの剣がその首を飛ばした。

 そいつは地面を転げると、そのまま植物の身体になって枯れていく。


「……ふう」


 剣を納めて確認すると、周囲のフライトラップたちも同様に枯れていった。


 どうやら、討伐完了だな。

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