1-3.スライムを狩ろう
本日のクエスト
お題:スライム討伐
最上層部に生息するスライムの討伐
モンスター核三つを収集、提出することでクエスト達成とする
制限時間なし
基本報酬:三つで三千円
追加報酬:一つにつき千円
「というわけで、とりあえずスライムがいそうな水場を探しますか」
「ここ、この前のところじゃないの?」
「この前、教えたじゃないですか。ダンジョンは日によって形を変えるんですよ」
ダンジョンは生きている。
基本的な構造は同じだが、通路が変化しているのだ。
つまりそのたびのマッピングが必要であり、そうしなければこの転移の間に戻れなくなってしまう。
「お、覚えてるわよ。あんたを試したの」
「……主任。一応、モンスターハントはおれのほうが長いんですけど」
「わかってるわ。だから不本意ながら教えを享受してもらってるんじゃない」
享受ねえ。
それなら、もうちょっと敬ってくれてもいいんじゃないかな。
「とにかく、行きましょうか」
おれはランプを掲げながら先行する。
曲がり道や分かれ道のたびにその構造をマップに記録していった。
そして視界が開けた空洞に、微かに水の音がした。
「……いました」
薄暗くてよく見えないが、うにょうにょと動く影を見つけた。
非常にポピュラーな下級モンスター。
粘液状の身体を持つ不可思議生命体だ。
とはいえ、ここは異世界のダンジョン。
油断をすると……。
「主任。そういえばスライムのハントはまだ……」
言い終わる前に、すでに彼女は飛び出していた。
「どりゃあああああああああああ!」
とても下品な叫び声をあげながら、自分の背丈ほどもある大剣を振りかぶる。
「あ、ちょっと!」
おれは慌ててランプで空洞をかざした。
そして、絶句した。
水場を中心として、びっしりとスライムがいたのだ。
まずい!
思った瞬間だった。
案の定、主任はその一匹を踏んづけた。
ずるんっ!
コマ割り映像のような感覚で、主任が尻もちをつくのが見えた。
……あっちゃあ。
そして悪いことは続く。
ぞわぞわぞわ。
モンスターハントはスポーツだが、決して遊びではない。
なんといっても、相手は野生のモンスター。
襲われれば、当然ながら警戒態勢に入る。
「あ、え、う、うそでしょ……」
黒木主任は半泣きになりながら、慌ててこっちを振り返る。
おれは舌打ちすると、空洞に飛び出して右手をかざした。
転移スキル『エスケープ』発動!
途端、主任とおれの周囲に青い魔方陣が生まれる。
おれたちの身体は、その青い光に飲み込まれた。
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