第2話 リアルヤンデレCDですか?
~中学時代~
「ただいま~」
「お帰り
「あの、昨日と変わらないと思いますが」
「違う、2分も遅かった。おかしいよね?何?何処で何してきたの?誰と居たの?友達?クラスメイト?彼女?先生?ねえ誰?」
「いや、普通に寄り道せずに帰ってきただけですが」
「嘘つかないで!ねえ、誰に毒されたの?誰と付き合ってるの?男?女?僕の知ってる人?知らない人?たとえ知ってる人でも許さないよ、兄さんは僕達のモノなんだから、ね?」
「あの、ちょ」
「ただいま」
「か、
「お帰りなさい
「ただいま、碧、
「え…(ただの友達だけど…なんで写真持ってんだよ)」
「碧兄?コイツが彼氏なの?そうなの?ねえ、碧兄?」
「え、ちが」
「そうなのか?…あれだけ言ったのにまだ懲りないのか?碧、お前は俺達のモノなんだぞ?なんで分からないんだ?」
「ちょ、待っ」
「なんで!?なんでなの碧兄!僕は、僕達は碧兄の事が好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで気が狂うほど大好きなのに!?僕達じゃダメなの!?こんなに愛してるのに何がいけないの!?答えてよ碧兄!」
「落ち着け、凪。碧がまだ分からないと言うなら、また教えてあげればいいだけだろう?俺達の愛を」
「あ、そっか!さすが海兄!…そうだ、今度は碧兄手錠をかけて閉じ込めちゃえばいいんだ!」
「なるほど…凪は頭がいいな。なら首輪も付けようか。碧には何色が似合うだろうなぁ……」
「(やべええええ!目が!目のハイライトが!待って怖い!慣れてても怖いもんは怖い!)」
「ねえ、碧兄?」
「なあ、碧?」
「ぎゃああああああああああ!」
「ただいまー…あら、あんた達みんな帰ってたの?」
「チッ」
「チッ」
「(母さんナイスタイミングううううううううう!)」
「お分かり頂けただろうか…これが俺がここに転校してきた本当の理由であることを……」
「…なんというか、お前も苦労してたんだな」
「なんだ、蜜。今日は優しいんだな」
「今日はってなんだ今日はって」
不満そうな顔をして言い、蜜は缶コーヒーを口に付けた。
畜生、涼しい顔しやがって。
そう、俺の悩みの種だった兄と弟。
どちらもαの、俺の実の兄弟だ。
兄さんはともかく、凪はダメだろ年齢的に。
小さい頃は普通だったのに、成長するにつれ病み度も成長していった2人は、今では立派なヤンデレへと進化してしまった。
母さんにコイツらの育て方を問い詰めたい。うん。
どれだけのヤンデレかというと、
◎俺の観察日記をつけている(弟)
◎隙あらば俺のストーカー(兄)
◎切った俺の髪で性欲処理(両方)
◎使用後のストローは宝箱行き(弟)
◎俺に近づいた者の排除。殺しはしない(両方)
◎自室は俺の盗撮写真でびっしり(両方)
思えば小学3年の辺りから手遅れだったんだ。
俺をからかったクラスメイトを川に突き落とした兄さんの姿は忘れられない。あ、死んでないからな。
俺宛てのラブレターをシュレッダーにかけている凪の姿も目に焼き付いている。
当たり前だが、ここに逃げてくる…ゲフンゲフン、転校してくる時の2人といったら、修羅場という他ない。
俺の精神がボロボロになるから、その話は割愛させてもらうけど。
正直このα共から逃げ回るのも大変だけど、ヤンデレ共に追われるよりはいい。
あれはツラい。ツラい(2回目)。
「おい、生きてるか?」
「生きてる」
「なんかムンクよりひでぇ顔してるぞ」
「うるせえ」
あのヤンデレ兄弟が諦めるわけない。
それに気付いたのは転校した翌日のことだった。
『元気?碧。俺すっごく心配だよ。こんなに可愛い碧が男子校なんて言ったら襲われちゃうよ?まあ、襲われたらそいつの事殺してやるけど。いや、ただ殺すだけじゃ許さない。たくさんたくさん苦しませてから殺してやる。ふふ、ごめんね?でも浮気なんかしたら…分かってるよね?』
『愛してるよ碧兄。捨てないでね?捨てたりなんかしたら…外国だろうと宇宙だろうと、天国だろうと地獄だろうと何処でも探しにいくからね。愛してるよ、愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる愛してる碧兄、俺の碧兄。』
こんなメールや手紙が来るようになったのは言うまでもない。
此処に押しかけてこないのが不幸中の幸いだ。
「碧ー?また兄弟から手紙…」
「焼却炉に突っ込んどいて」
「碧、ケータイ震えて…」
「スルーして」
「いや、でもそれ電話」
「スルーして」
俺の転校当初の話?
……また今度ね。
狩猟本能VS逃走本能 @Ia7933
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