1日目……? 違和感。

人の痛みってのはやられて感じて初めて分かるのだと思う。


「あはは」


楽しそうな笑いとは裏腹に辺りには何かを殴りつけるような鈍い音が響いている。


「ねぇ、痛い?痛いよね?」


「ごめんなさい、許して、もう許してください……!」


少年の顔はもはや誰だったのかさえ分からないほど顔が腫れ上がっている。

手や足も赤黒いアザや地面で擦ったのだろうか擦り傷が無数に出来ていてだんご虫のように腹を頭を庇って丸まっている。

庇うのは動物としての本能だろう、よく出来ている。


「すごい痛そうだね?俺は全然痛くないよ!」


ガッガッガッと規則正しく拳を"得体の知れない生き物"に叩き込む。

生き物は変な呻き声を上げ、動かくなった。


そこで潔く"俺"は手を止めた。

死んではないだろう、どうでも良いが。


動かなくなったモノみても何の感情もわかない。

汚いなってただそう思った。


…………


……



「あれ?俺、何をした?」


いつも通り登校して、いつも通り上靴がなくて、

いつも通り絡まれて、いつも通り裏庭で殴られた。


でもそこからはいつも通りじゃなかった。


痛くなかったんだ、どんなに殴られても蹴られても

首を絞められたって何も感じなかったんだ。

心さえ穏やかで……?


こんなに痛くないなら俺がやり返したっていいんじゃないかってふと思ったんだ。


そこから首絞めで反応しなくなった俺が気を失ったと勘違いをして校舎に向かい歩き始めた奴に背後から地面に転がっていた廃材で殴りつけると、

どんなゲームより簡単すぎるくらいにそいつはさっきまで俺が寝ていた場所でのたうち回っていた。


(痛いと喚くあいつをみて、それをお前は俺に毎日のようにやっていたんだと怒りがわいて……?)


ハッと正気に戻ればこのありさまで……


俺は自分自身が怖くなり震えが止まらない身体を抱きしめて暫くその場で蹲って"彼"の酷い姿をみてさらに己の犯した罪の深さに泣いた。


人の痛みは自分が感じるから分かるものだ

自身が痛みを感じなければ、容易に人を傷付けることが出来てしまう。


「痛くないって嬉しいにゃね、だから泣く必要はないにゃ」


どこから現れたにゃんこが、小さい手で僕の頭を撫でた。


「でも悲しいならこのことも無かったことにしようにゃ」


撫でてた手が止まりぽうっと淡く光ったと思うと、

俺はそのまま意識を失った。


次に目を開けたら俺は校門に立っていた。


……次?あれ?今来たとこだよな。


やれやれ、本格的におかしくなったのだろうか?

まぁいい、さて今日も辛い1日がスタートだ。


「ご主人今日も頑張りましょうにゃ~」


にゃんこは相変わらず俺にしか見えないようだからくっついてきても問題ないらしい。

人間だったらたぶんヘラヘラ笑ってるだろう顔で俺の肩によじ登った。

それからにゃんこは校舎を指をさして言った。


「さ、遅刻するにゃ、いきませうにゃ」

「遅刻なんて今更だろ」


半不登校児なのだから


キーンコーンカーンコーン


チャイムがなり始めた。


「早く行くにゃ!」

「……わかったよ」


俺は校舎に向かって走り出した


脳の片隅に小さな違和感を抱いたまま。

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傷付きにゃんこ しほ @Shihonyasuke0130

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