トランペットの視点から語られるという、ユニークな吹奏楽団の物語。
楽器との出会いは運命、とよく言いますが、ひかえめな内藤さんとしっとりとしたクセの強い音色を持つトランペットのフォルトゥナさんの出会いもまさにそうだと思います。
フォルトゥナさんは、内藤さんにいつも語りかけていますが、決して一方通行ではないのです。内藤さんの音色やちょっとした仕草から、フォルトゥナさんへの信頼感が伝わってきました。
演奏は、いつもふたりで。
私も楽器をやっていたので、
あのとき楽器たちはこんなふうに考えていたのかな!
などと懐かしく想いを馳せ、
現役時代に読みたかったかも、と思ってしまいました。
ちなみに、私の密かなお気に入りポイントは、トランペットどうしの会話です。
奏者に似たのか個性的で、思わずにやりとしちゃいます。
雨上がりの匂いのする読後感。
晴れの空より曇りの日が落ち着く人にもおすすめです。