野球好きな方はもちろん、青春時代を何かに捧げて今はそこから離れている方にも読んでもらいたい短編です。「ナゴヤ球場」でなければ成立しないストーリーのまとめ方が素敵です。
甲子園に苦い思い出を持つ、元高校球児のサラリーマン。ある夏の日、球場の紅白戦で、かつてのチームメイトの姿を見て――良い短編です。夏の草いきれ、蝉の音、入道雲を感じそうな、しっかりとした文章、表現力。この作品で、ショートストーリーなごやの優秀賞を受賞しているそうですが、そうだろうなと思えるクオリティです。