第6話 光君の友達

 着いた所は、光君の家と変わらないくらい大きなお屋敷だった。

「……というわけで、今夜泊めてくれないか?」

「それは良いわよ。でも、お父様に怒られるんじゃないの?」

 口元に人差し指を当てて、心配げに光君を見つめる。

「かまわない、いつものことだし」

「そう、なら部屋を用意させるわね」

 いそいそと、携帯を出すと、部屋の手配をしてくれる。

「あ、こいつ高里歩、俺の友達。こっちは……」

「まぁ、可愛い~光にもこんな可愛い友達がいたのね! 私は桜木奏」

「奏さん、ですか……あの、頬ずりするの、やめてもらえますか?」

 僕はおずおずと奏さんに申し出た。

「あら~ごめんなさいね~あまりにも可愛かったものだから……それよりあんた達、汗臭いわよ。お風呂に入ってらっしゃい!」

「わーったよ。行くぞ歩」

「うん」

「あ、私も一緒に入ろうかしら?」

「お前はいい。来んな。うるさいから」

「もう、そんなことばっかり言って……仕方ないわね、今日のところは諦めるわ。でも機会があったら、歩君是非一緒に入りましょうね~」

 ひらひらと手を振りながら、廊下で見送ってくれた。

「あの~」

「なんだ?」

「奏さんって男の人……ですよね?」

「ああ、あいつ面白いだろ?」

 クスリと笑うと、

「家族が女姉妹ばっかりで、あんな口調になったんだとさ」

「なるほど……」

「身も心も女女してるから、男の方が好きらしいけどな」

「はぁ……」

 僕は身の危険を感じていた。

 夜這いされたらどうしよう?

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恋愛ってなんだろう? 相澤春夏 @AIZAWA_HARUKA

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