第5話 閉じ込められて
連れて行かれた所は、僕の部屋くらいの場所だった。
「ごめんな。こんなことに巻き込んで」
「ううん。僕は大丈夫だけど……あれってもしかして、お父さん?」
「そう頑固オヤジ。人の話になんか耳も傾けない人でなしだ」
「人でなしって……」
自分の父親にそこまで言わせる確執が二人の間にはあるのだろうと察した。
「さて、この状況を楽しんでる場合じゃないな。行くぞ」
「えっ? だって鍵がかかってて……」
「任せとけって」
言うが早いかドカッとばかりに回し蹴りをしたかと思うと、ドアノブを蹴破ってしまった。
「行くぞ。長居は無用だ」
「行くってどこへ?」
「決めてないけど、ここ以外のどこか」
僕は手を引かれながら、一所懸命走った。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
「はぁ、はぁ……」
「悪いな、付き合わせて」
「ちょっと怖かったけど、スリルがあって楽しかったよ」
「お前、根性あるな」
さもおかしいといった風に笑う。
「さてと、どこに行くかな」
「あてはあるの?」
「まぁな」
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