第4話 お泊り

 初めて他人の家に泊まることになってしまった。

 どうしよう? どうしたらいいかがわからず、ぼーっと突っ立っていると、

「お前どうしたんだ?」

 唐突に聞かれた。

「いや、どうしたらいいかが分かんなくて……」

「普通にしてろよ、あー疲れた。お前も疲れただろ?」

「まぁ」

「まぁって、お前の方が疲れた顔してるぞ?」

 嘘がバレバレだ。

「明日は休みだし、ゆっくりしてけよ。俺も予定は入ってないから」

「うん」

 コンコン。ノックの後、突然ドアが開いた。

「お前は、今日がどんな日かわかってるのか? パーティーも途中で抜け出すし、挨拶もおざなりで、さっさと自室に帰ってしまうし。何を考えてるんだ!」

 入ってきたのは、威厳に満ち満ちた厳格な顔つきをした知らない人だった。

「うるさいな。俺がどうしようと勝手だろ? それに俺をパンダにでもする気なのか? あんなに人を呼んで」

「今日は藤堂家次期当主初披露の日なんだぞ! お前はこれが何を意味するか分かってるのか!?」

「何度も俺には関係ねーつってるだろ! 俺は自分の道は自分で決めたいんだ」

「貴様、何様のつもりだ! しかも、こんな普通の子供をパーティーに呼ぶなどもってのほかだ」

「俺の友達にケチつけるのやめろよ! あんたには関係ないだろ!」

「おい、とっととこいつをつまみ出せ」

 後ろで待機していた黒ずくめの人が僕を無理やり連れて行こうとする。

「気安く触んな! お前等俺の友人に何かあったらただじゃすまないからな!」

 言うが早いか、みぞおちに一発くらわせると、僕はあっけなく解放された。

「お前……本気で言ってるのか?」

「そんなに次期当主が欲しいなら、他のやつにでも渡せばいいだろ? 欲しがってるヤツなんか腐るほどいるんだからな」

「少し頭を冷やすんだな。連れていけ」

 そう言うと、今度はマッチョな黒ずくめの人が光君を拘束する。

「ついでに、そこのやつも連れて行け」

 僕らは部屋から連れ出され、別室へと連れて行かれた。 

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